2025年
 つぶやき

4/1
◆ 頭を使う
 基本的に、もうむずかしいことは考えられない。
 というか、もう何も考えられない。
 足を動かすのに、自分で一二三四……と数を数える。
 それを声に出していると、頭ん中はからっぽだ。

4/2
◆ ゆうちょダイレクト
 居間の壁紙などリフォームしたのでその代金を業者に振り込む。
 が、なぜかうまくいかない。
 昨夜はあきらめて、朝からまた何度もトライ。
 ぼくがモーロクしたせいでもない、と思うんだけどなあ。

4/3
◆ レターパック・ライト
 人に書物1冊を送るために、自転車で郵便局へ行く。
 宛名や自分の名前などは自分のペンで書かねばならない。
 精一杯きれいに書こうとしたが、書いた文字のあまりの汚さに泣く。

4/4
◆ 体を動かす
 作業療法士のおばさんが週1回(40分間)家まで来てくれる。
 短時間だから、まあ、たいしたことはしてくれない。
 でも、ぼくは文句など言わず、ありがたそうにふるまう。

4/5
◆ ぎっくり?
 朝、咳払いをした拍子に少し腰を痛める。
 で、以後は終日用心しながら歩く……
 というより、はい、よぼよぼ歩きしかできないんですけど。

4/6
◆ この本は当たり!
 津野海太郎『生きるための読書』新潮社、2024年。
 ぼくもこんなふうに、すいすい読めて、しかもぐっとくるような文章が書ければ。

4/7
◆ デイサービス
 通所リハビリを受けることになったので着替えなどを用意する。
 入浴の援助を受けたら、下着などを替えねばならない。
 下着にもバスタオル・フェースタオル、それぞれに氏名を書かねばならない。
 何だか保育園といっしょだね。

4/8
◆ 入浴介助
 大人になってからは、ひとに体を洗ってもらったことがない。
 銭湯で友人と背中を流しあったこともない。
 恥ずかしながら、風俗も利用したことがない。
 だからデイサービスでの体験はことごとく新鮮。

4/9
◆ 耳が遠くなった
 ネット配信で映画「ある男」2022年、を見た。
 評判どおりのいい映画だったが、ときどきセリフが聞き取れない。
 ぼくの体はもう年相応に、全般的に劣化してるんだよね。

4/10
◆ 体力も低下
 2日ぶりに自転車に乗ると、ハンドル操作も危うい。
 なんだか「つぶやき」もこの手の話題ばかりだね。
 スーパーの店内をよろよろ、よたよた、やっとの思いで歩き回る。

4/11
◆ ゼミ教官を囲む会はなくなった
 先生が亡くなって2年ほどが経つ。
 3年かもしれない。が、もうどうでもよい。
 先生のことは折に触れて思い出せば、それが供養。
 先生の教えはぼくの存在の中に溶け込んでいる。

4/12
◆ 昔のゼミ仲間
 お勉強がよくできる女性で、料理も上手。
 彼女はインスタグラムでその出来映えを披露している。
 ぼくはご相伴にあずかったことがなく、ただただ羨ましいばかり。
 ああいう腕前の人はどこでも豊かに生きていけるね。

4/13
◆ 津野海太郎には感心する
 『最後の読書』(新潮文庫、2021)も良い本だ。
 書かれていることのあれこれが、いまのぼくに突き刺さる。

4/14
◆ 無教養
 ぼくはそこそこ有名な受験校の出身だ。(有名人ではホリエモン)
 ぼくの同期生の掲示板で「ルソーの翻訳をした」と書いて
 「へー、すごいね」とかの反応を期待したが、あまかった。
 「それ、だれだか分からないので調べてみました」なんて、元田舎の秀才が書く。

4/15
◆ それも教養
 学生時代のサークル仲間の飲み会での話。
 ぼくがルソーの名前を持ち出したら「それ、絵かきの人?」なんて言うやつがいた。
 ルソーといえばアンリ・ルソーと思うやつもいるんだと知って驚く。

4/16
◆ 自己採点
 体がだんだん不自由になってるのを嘆いたりしている。
 そもそもそういう態度がまちがっている(ようだ)。

4/17
◆ イチジク浣腸
 自転車で買い物に行けるときに、腸閉塞に備えて薬を買っておく。
 イレウスでは3回入院したが、いずれも発症は予兆なしだった。
 ピンポイントで効く薬はないので、いわば何となく気休めの措置。

4/18
◆ 健忘
 動画配信サービスで、映画をもう毎日楽しんでいる。
 見終わったあと、タイトルのほか、短いコメントをメモ帳に書く。
 ところが、このごろはそれが難しくなった。
 あらすじが追えなくなったりするのだ。

4/19
◆「ゲバルトの杜」
 半分ドラマの映画(2024).副題は「彼は早稲田で死んだ」。
 1972年、内ゲバで学生が殺された。
 革命闘争ってなんだろう?と考えさせられた事件である。

4/20
◆ 体力の減退
 自転車でスーパーに行った帰りに問題発生。
 自転車にうまくまたがれない。足が上がらない。
 通りがかりのおばさんに体を支えてもらった。
 自転車にまたがれればOK、あとはヨロヨロしながら帰れる。

4/21
◆ 町田康
 図書館から2冊借りているが、いずれもすでに予約あり。
 『入門 山頭火』『俺の文章修行』
 2冊目はまだ半分だが、なるほどどちらも読ませる本だね。

4/22
◆ 老人たちに囲まれて
 朝から夕方までのデイサービス、利用するの3回目。
 う〜む、だいぶん慣れてきたが、積極的には口をきかない。
 ぼくはちょっと上品ぶってるわけだ。

4/23
◆ 寝る態勢
 いつになく考え事してたら11時をすぎてしまった。
 いつもなら、考え事してるのもわからぬうちに寝ちゃう。

4/24
◆ スケジュール管理
 朝10時、ふと気づいたらCTの検査が9時半からだった。
 病院にお詫びして、別の日に変えてもらった。
 この家では、ボケ老人が自分の日程の管理を自分でやらねばならない。(いいえ、文句を言いたいのではありません)

4/25
◆ 増田書店
 立川の病院に行く用事があり、帰路に国立駅に寄る。
 ついでに駅前の本屋に入り、ぼくの訳書が本棚にあるのを確認。
 ほんの数分で退散したのは、疲れて足が上がらなくなったから。

4/26
◆ 老人のサークル
 隣の福祉館に週1であつまり、足踏みやら腿上げなどをしている。
 最近は、これにおもちゃのピアノで30分間、指の「体操」が加わる。
 ぼくはヘ音記号が読めないので、左手がうまく使えない。
 驚いたことに、おばさんたちもインテリっぽいのに鍵盤が弾けない。

4/27
◆ ホストファミリー
 うちの奥さんは趣味で留学生を家に招いて、国際交流の手伝いをしている。
 ソウルの大学院生、シドニーの高校生、ミシガンの大学生と続く。
 ぼくの出番はないにひとしいが、食事時は同席しなければならない。
 英語とか使わないのが正しいので、ぼくはもっぱら沈黙している。

4/28
◆ てんやもん
 裏の町中華から食べ物を取り寄せた。
 チャーハンや鶏の唐揚げやニラレバ炒めなどだ。
 住宅街にポツンと一軒の店だけど、ものどれもおいしい。

4/29
◆ 作文
 2千字ほどの文章ふたつ、4月末が締め切りだ。
 おい、おい、ぼんやりしてられないよ。
 翻訳と違って、これには元ネタがないんだ。

4/30
◆ 自転車に乗るのも危うい
 1キロほどの道のりは、歩くのはダメでもチャリに乗れば行ける。
 近くのスーパーなら、なんとか自転車で買い物に行ける、はずだった。
 それがだんだん心許なくなってきた。
 一歩目というか、漕ぎ出しがうまくいかない。

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