2002年

 つぶやき


12/1

◆如水会
 一橋大の同窓会には出たこともなかったが
 最近,鹿児島支部会には顔を出すようにしている。
 産学の連携や学生の就職に役立つかも,と思い
 あさましく実利を求めての参加だ。
 昨日(11月30日)の会にも出席した。
 支部長(南日本銀行頭取)による金融問題講話は
 難解だったし,周囲の発言も負けずに難解だった。
 こちらは「商店街活性化」といった地べたの問題を
 そこらの誰かと語りたかったのに
 経済人たちはむしろ宙に浮いた話をする。


12/2

◆姉の憤り
 東京に住む姉から珍しく電話がかかってきた。
 うちの奥さんから賀状省略のハガキをもらい
 それで初めて葬式のことを知ったという。
 「奥さんの妹さんの具合が悪いとは知っていたが
  亡くなられたとは知らなかった。
  そういう大事なことはすぐに知らせなさい。
  同じ東京にいながら葬式に出席せず
  私は恥ずかしくてしょうがない。
  あなたも世間の常識をわきまえなさい」と激怒。


12/3

◆顔なじみ
 夜遅くスーパーの前で路上販売している八百屋。
 このところ連続して買い物をしたら
 なんだか「なじみ」っぽくなって
 バナナ一束をタダでもっていけという。
 要らないといっても押しつけてくる。
 なじみの関係はありがたいような,困るような……。
 なじみになると素通りできなくなるし。


12/4

◆妹の嘆き
 四国の田舎町に住む妹からも久々に電話。
 かつて「パソコン買うならマックを」と薦めて
 i Mac(初期型)を買わせたが,その苦情。
 2年たつのに,いまだに使えないというのである。
 PC講習会やPCショップで尋ねても
 「うちはマックはわかりません」と追い払われるので
 Windows にしておけばよかった,と嘆く。
 マック=初心者向けと思ったのは錯覚で
 妹にはとんだ迷惑をかけてしまった。


12/5

◆鼻声
 ジェンダーを語りつつ女性性を武器にする女性。
 通俗的な風刺絵で描かれそうな姿だが
 じっさいにいるんだな〜,こういう手合い。
 「一人じゃできな〜い,手伝って〜」と鼻声。
 ぼくにはその手が効く,と思っているのだ。
 はい,まんまと手伝いをさせられました。

[後記]
 この文に「私のことですか」との抗議が来て
 修正すると,今度は別方面から「意味不明」との非難。
 で,元に戻した。(優柔不断)


12/6

◆みかん山
 このところ連日みかんを買って食べている。
 昨日は八女(やめ)産のみかんだ。
 なつかしいね。
 高校生のときのガールフレンドが
 八女のみかん山の娘だった。
 誘われてその山に登ったこともある。
 日曜日の昼下がり,ひと気のない山のなかで
 ぼくはただひたすらしゃべっていたような気がする。
 昔からバカだった。


12/7

◆商学交流
 商店街と大学が街を活性化するため交流すること。
 「地学連携」(地域と大学の連携)という言葉もある。
 いずれにせよ,地域のための大学として認知されたい。
 これは大変というより,おもしろい活動なのに
 おもしろがりが他の教員に伝染することはない。
 組織をあげての動きを求めると文句が出るので
 おもしろがる人この指とまれ方式でやろうとしても
 同僚たちのまなざしは冷ややかだ。
 いつものように人徳のなさをかみしめる。


12/8

◆地域社会は大学の宝
 ふつうなら「大学は地域の宝」と言うところを
 田中弘充(鹿児島大学学長)はひっくりかえす。
 日本科学者会議九州地方区が主催したシンポジウム
 「21世紀の大学づくり,地域づくり」での講演。
 地域社会(問題の現場)は学生の心をゆさぶり
 通常の講義では得られないものを学生に与える。
 学生が社会に実践的に関与することを励ましたい……
 という田中学長の言葉はすてきだが
 鹿大の教員間に浸透しているわけでもなさそうだ。
 ならば,そのすきにお宝はこちらがいただいちゃおう。


12/9

◆桜島小みかん
 みかんは小さい方がおいしい,というが
 桜島小みかんには種があるのが難点。
 その点を忘れてどっさり購入した。
 種つきみかんの上手な食べ方も忘れたみたいで
 手がベトベトになり,もう買うまいと思う。


12/10

◆営業で外回り
 信用金庫につとめて3年になる卒業生が来る。
 預金の勧誘だ。
 「大変だね〜」となぐさめると
 「いえ,この仕事,おもしろいです」という。
 いろんな人と会えて,いろんな話が聞けて
 デスクワークより,よほど人生の勉強になるから
 楽しくてしょうがない,というのだ。
 こちらまでうれしくなった。


12/11

◆だからどうした
 夜間部の「経済学史」について学生が寄せた感想。

  けっこう先生の話はおもしろかったが
  3年になると同じことを何度も聞いているみたいで
  おもしろくなかった。
  以前は,こんな考えがあるんだ,とか
  何てことを言っているんだ,とか
  すごく話を聞くのが楽しみだった。
  しかし,最近は「だからどうしたの」とか
  ただの昔話に聞こえてくる。
  俺達が聞いて学んで,世の中が変わるわけでもないし
  経済は川のように自然に流れていくから
  どうしようもない。


12/12

◆デジカメでスナップ
 すでに実行している人も多いと思うが
 デジカメを日常携帯し,ピンときたら即写の構え。
 型落ちのデジカメを廉価で入手したので
 いつも被写体を求めてキョロキョロしている。
 しかし,即写は心がけてもなかなかできぬものだ。
 おもしろいものを見つけるのにも修業が必要。

 ついでにいえば,デジカメも安物はダメだね。
 起動が鈍重で,ピンときても即写できない。
 まちかど撮影には28mm程度の広角がほしい。


12/13

◆DTP
 日仏社会学会年報の編集を終えた。
 あとは印刷屋のしごとだ。
 創刊号から10年,編集はずっと一人でやってきた。
 いや,なに,しごとは簡単。
 フロッピーやメールでもらったワープロ原稿を
 マックのDTPソフトで整理するだけ。
 一貫してPageMaker という簡単ソフトを使っている。
 本当はもっと専門的な InDesign を使いたいが
 なかなか操作法に慣れず,今年は使用を断念。


12/14

◆閃輝暗点2回
 午前中,商工会議所での Workshop のとき
 ひさびさに閃輝暗点(視野の欠損)が出る。
 昼から学科会議のあと研究会。
 さらに夕方から忘年会と続くが
 その直前,またしても閃輝暗点。


12/15

◆ウォーターフロント
 今日は日曜だし,学校のインターネットも使えない。
 鹿児島大が停電すると県立短大にも影響するのだ。
 それで繁華街にでて映画を観ることにした。
 デパ地下で弁当と飲み物を買って行く。
 ところが映画館は満員で入る気も失せる。
 海辺に走り,ホームレスおじさんの横で弁当を食べた。


12/16

◆筆禍
 この「つぶやき」はときどき同僚を憤らせる。
 私はしだいに人々から疎んじられていく。
 職場の公式ページからここにたどりつける点も
 問題視されているので,少なくともリンクは外そう。


12/17

◆暇人会議
 「鹿児島新世紀100年プロジェクト」の集まり。
 市の一般公募に応じ,委員となって1年がたつ。
 委員は互いに職業・肩書を知らぬままである。
 有閑ジジイたちがとりとめなく語り合うのを
 市から委嘱された委員が上手にまとめる。
 彼はやはり一般委員よりステージ(死語?)が高い。
 そのまとめ方を眺めるだけでも勉強になった。
 別に組織された「子供会議」の「まとめ」を読むと
 われわれ「ジジイ会議」のそれよりも数段おもしろい。
 ジジイ会議の「内容」そのものは陳腐だ。
 とにかく,このお話し合いも昨日で幕。

◆パソコン改造
 休眠中のPowerMac 9500を蘇生させたい。
 6年前は最高位の機種だったし,お世話になった。
 心臓部(CPU)を150→800MHzに上げ
 ハードディスクも3→80GBに増量する。
 USBポートを付け,システムもOS-Xにする。
 それやこれやで費用は約9万円。
 深夜,せっせと作業にいそしむ。
 今日(17日)も早起きしてパジャマ姿で作業。


12/18

◆痴愚魯鈍
 冷淡な能吏と,心優しい感激屋の魯鈍
 どっちが好き?と問われた場合
 昔のぼくなら後者,今なら前者を選びそうな気がする。
 しごとの段取りが悪くてグズグズしている人を
 今のぼくは「困った人だ」と眺めてしまう。
 障害者を「邪魔者」と思うのと同じ視線だ。


12/19

◆フランス語字幕
 アマゾン・フランスで映画のDVDを買う。
 「人生は長く静かな川」(1987年,仏)
  La vie est un long fleuve tranquille.
 13日に注文したら18日に届いた。
 2枚組,約3千円という安さもさることながら
 聴力障害者用に字幕つき,これが決め手。
 仏語字幕つきDVDは日本製には見当たらぬ。
 DVDの地域コードは日本・ヨーロッパ共通だから
 仏製のDVDもパソコンのモニターで鑑賞可能だ。

 追記:
 調子に乗って,さらに4本を追加注文した。
 「大いなる幻影」(1937):超名作
 「大乱戦」(1974):ルイ・ド・フュネスの喜劇
 「デリカテッセン」(1991):お目当てのもの
 「ロスト・チルドレン」(1995):上と抱き合わせ
 あわせて約1万円のお楽しみ。


12/20

◆帰り支度
 学会の用で21日には上京しなければならないので
 ついでにそのまま年休をとり
 正月明けまで鹿児島には戻らない。
 家族の要望で明石家の「かるかん」と
 中園久太郎商店の「つぼ漬け」を
 鹿児島の老舗デパート山形屋からまとめて発送。


12/21

◆長幼の序
 恵比寿の日仏会館で知り合いとぱったり出会う。
 大学院の寮で暮らしていたときの後輩だ。
 いまはそこそこ「偉く」なっているようだが
 かつての「上下関係」を忘れていないのも偉い。
 こちらも図に乗って,軽口などをたたくと
 「斉藤さんは30年前に確立されたキャラのままですね」
 オイ,それはイヤミか。


12/22

◆イス
 ヤフー・オークションでイスを探している。
 有名品のアーロン・チェアーはさすがに高い。
 どうしても10万円を超えてしまう。
 オカモトのエルゴ・チェアでもいいかと思うが
 これは1万5千円が見積もりの上限。

 とつぶやきつつ,オークションの勢いにのって
 1万8千円の段階まで参加してしまった。
 1万9千円のとき,はたと我に返って退く。


12/23

◆上海
 息子は年末,仲間と上海博物館見学に行く。
 ほ〜,そうか,上海ならぼくも2回行ったぞ。
 と,話に割って入るが,誰も聞いてくれない。
 娘も年末・正月はソウルで遊ぶし
 下の息子はいちおう受験勉強だ。
 奥さんまでなぜかお勉強で忙し気。


12/24

◆微熱
 36.8度だが何となく不快である。
 それでも奥さんが昼前から不在なので
 昼食も夕食もぼくが作る。(けなげ)
 パンクした自転車とオートバイを修理に出す。
 夜は犬がねだるのでお散歩。


12/25

◆風邪薬
 熱が37.6度まであがったので近くの診療所へ行く。
 感冒薬をもらって帰る途中、ラーメン屋で昼食。
 熱があるせいで変な味がしたが完食。
 今日はひたすら静養するためにDVDを借りる。
 スポーツドリンクで水分補給しながら映画三昧だ。


12/26

◆中途半端な不快感
 薬が効いて昨夜は体温が36.3度まで下がり
 もうこれで完治したかなと思ったが
 今朝はまた37.6度で、舌苔も白い。
 熱は高めに安定しているせいで寒けはしない。
 節々やノドが痛いなどの症状もない。
 しかし、全体としてそこはかとなく不快である。


12/27

◆佐賀君の樹
 風邪も治り、本屋で新刊本数冊を買っての帰り道。
 一橋大学(東校舎)は何か工事をしていた。
 南裏門は工事車両が通るために撤去され
 あたりの木々も除去されている。
 佐賀君を記念する樹もついでに取り払われたようだ。
 佐賀君はいまから30年前,構内の院生寮で死んだ。
 クモ膜下出血による急死だった。
 院生寮の卓球室でお通夜をした。
 絵に描いたような「いいやつ」だった佐賀君を
 忘れないために院生寮の裏に樹が植えられた。
 じっさい,ぼくはいつでも近くを通るたびに
 樹をながめ,佐賀君のことを思い出し
 思い出したことで供養した気分になれた。
 しかし、それが記念樹だと知る者はもう学内にいない。
 構内工事が始まると,他の雑木と同様に扱われた。


12/28

◆業界の真実
 奥さんは2月提出のレポートを4本かかえ
 ほとんど終日部屋にこもっている。
 このごろは口にする言葉に学術用語が混じり
 かなり研究者っぽくなってきた。
 あちこちの研究会にも顔を出していて
 そこで彼女が発見したことは
 「大学の英語の先生って英語ができないのね」
 聞く力,しゃべる力は中学教諭に劣るということ。
 業界では常識だが,奥さんには驚きだった。
 原義通りのナイーブさ。


12/29

◆Music of the Heart
 音楽教育の成功実話を映画化(1999,米)したもの。
 邦題は「ミュージック・オブ・ハート」
 DVDで鑑賞する。
 特典映像にモデルの女性へのロングインタビューもある。
 うちの奥さんは「あ,ちょっといいこと言ってる」と
 巻き戻ししてディクテーションを始めた。
 何かの素材にするつもりらしい。
 ついでに本編も監督のコメント入りでもう一度観てしまう。
 それに全部つきあったぼくも偉い。


12/30

◆大学院生寮の消滅
 消えたのは佐賀君の樹だけではなかった。
 一橋大学の工事現場を囲む白いフェンスの
 すき間からのぞけば,院生寮の姿もない。
 いつのまにやら解体されていた。
 ぼくも4年間暮らした木造2階建のボロ家。
 一橋はキャンパス統合で教室が足りず
 ここに大きな講義棟をつくるみたい。


12/31

◆火の用心
 このごろはまた「夜回り」が流行っているのか?
 犬の散歩のとき、昨夜は5つの組とすれちがう。
 年寄りから児童までの混成で
 みなけっこう楽しそうに大声をあげている。
 鹿児島市内では見かけたことがないから
 東京都郊外の方がむしろコミュニティ形成に熱心だ。
 夜回りの集合場所の公民館からも
 笑い声が聞こえ,なつかしい気分にさせられた。


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