2003年
 つぶやき

1/1
◆ゆる〜い人になる
 大みそかにコンビニで年賀状を買い
 大急ぎで決めた2003年のモットーがこれだ。
 人をバカ扱いすると人から嫌われるので
 今年は自分の方がもっとユルユルになって
 ゆる〜い人間どうし,蛇のようにつるんで遊ぼう。
 そして,みんなで「ぬる〜い地獄」に首までつかるのだ。

1/2
◆ A Beautiful Mind
 ゲーム理論の「ナッシュ均衡」で有名なナッシュを
 主人公にした映画(2001,米)。ようやくDVDで観る。
 冷戦下,天才数学者も「お国のため」に働いていた。
 「お国のため」はともかく「世のため人のため」に
 励む学者はぼくの身近にゃあまりいない。
 少ししみじみとそのことを考えさせられた。
 それにちょうど講義用の小ネタ探しに
 『ゲーム理論活用術』なるビジネス本を読んだばかり。

1/3
◆賀状
 幼稚園以来の友人がいる。
 いまは渋谷で宝飾品の小商いをしている。
 彼もホームページに日々の雑感を書いてるので
 年賀状の交換はしないが消息はわかる。
 その点,大学教員になった友人らは概して年賀状派。
 メールは愛用してもホームページは設けない。

1/4
◆ゆるい本
 阿部謹也(元一橋学長)の本はけっこう読んでる。
 『日本社会で生きるということ』(朝日新聞社,99)も
 古本屋の100円コーナーで買った。
 中世ヨーロッパから近代日本へ一足飛び。
 話(語り)はたしかにおもしろいが,やはりゆるい。
 中世史には詳しいが,社会学の面では教養に欠ける。
 その自覚をもたないのは本人にとって幸せだ。
 同僚(ぼくにとっては師匠筋)の悪口も興味深く
 そのちょっとした下品さに「親しみ」がわく。
 「世間」という金太郎飴で「商売」している点もゆるい。
 差別や人権を語り,同和団体から「好人物」扱いされ
 本人もすっかりその気になっている。
 ゆるさの極みだ。
 ぼくもこういう人になりたい。(本音です)

1/5
◆学生による授業評価
 1月5日付,朝日新聞のトップ記事。
 一橋大が開講科目のほとんど全てについて
 教官の実名入りで授業評価を公開するという。
 んなことはうちの短大では7年前からやってる。
 しかも,こちらはネット上で公開している。
 一橋の場合は図書館での閲覧可という程度だ。
 また,14の質問項目にも工夫がない。
 にもかかわらず一面トップのビッグな扱い。
 不愉快である。
 研究を売りにできなくて教育に走るのならわかるが
 有名校までがこれをやると無名校の立つ瀬なし。

1/6
◆せり落とす
 ヤフーオークションでブランド物のイスを狙う。
 上限を1万8千円にして3連敗し
 2万円にあげたとたん,せり勝った。
 朝のうちに銀行振込をすませる。

1/7
◆電気毛布
 鹿児島は東京より寒いぞ。
 押入の奥から電気毛布をひっぱりだす。
 かつてはその暖かさが心地よかったが
 ひさしぶりに味わうと不気味な暖かさ。

1/8
◆スケジュール管理
 手帳,卓上カレンダー,そしてパソコン。
 パソコンといっても複数のソフトを使うので
 同じデータを複数回入力しなければならない。
 てなわけで,あちこちにデータが散らばり
 最終的には自分の記憶力が唯一の頼り。

1/9
◆夜寒
 古いパソコンの筐体をあけて中をいじくる。
 緊急の必要などない,たんなる戯れ。
 吐く息も白い,寒い部屋で深更まで遊ぶ。
 就床時には足が冷えきって,なかなか寝つけず。

1/10
◆ハプニング
 草間彌生を特集した雑誌『美術手帖』93年6月号を
 ゼミ生たちが見つけ,中を見て驚いていた。
 60年代後半,「ハプニング」と称するゲージツが流行し
 草間もオージー(乱交)ハプニングを企てている。
 ニューヨークの街中で男女が全裸で乱舞する。
 学生たちはその写真を見たのである。
 ぼくが一種の「懐かしさ」を覚える絵に
 学生たちは「ヒエーッ」と眉をひそめる。
 いつのまにか世界はすっかり「健康」になった。

1/11
◆叱咤
 賀状に「ゆる〜い人になる」と書いたら
 案の定というべきか,お叱りの返事をいただいた。

  目標は高く,仕事は地味に [後略]

 指導教官というのはありがたい。
 こちらがいくつになっても叱ってもらえる。
 また,学部時代の先生もたいそう不愉快なご様子。
 ほとんど白紙の賀状によって不機嫌さを示された。


1/12
◆アルマ・マータ
 自分としてはちょっとした発見なので書き留めておく。
 昨夜,アメリカの田舎大学の学生コーラスを聴いた。
 その一曲 "Drink to Me only with Thine Eyes"
 津田塾の校歌 "Alma Mater" と同じメロディーだ。
 それぞれの曲についてリンクを張っておく。
 前者は自動演奏されるが,後者は RealPlayerを使う。

1/13
◆ストーム
 これも回顧ネタ。
 森詠の自伝小説『日に新たなり』(集英社)は駄本だが
 生きた時代が少し重なるので,しみじみする部分もある。
 たとえば,東京外大の寮生たちが大挙して
 女子美術大の寮に押しかけるところ。
 旧制高校時代からの伝統行事で「ストーム」という。
 そうそう,一橋大の1〜2年生の寮でも
 津田塾の寮にストームをかける伝統があった。
 ぼくが2年になった春,同室の1年を連れていく。
 ところが津田の構内に侵入してすぐ
 用務員のおじさんに見つかり追い回された。
 「分かれて逃げよう」というのに1年生は離れない。
 二人とも津田梅子の墓のそばで捕まってしまった。

1/14
◆ずいま〜
 全国的に讃岐うどんがブームのようだが
 ここ鹿児島では味わえない。
 近所に「大隅そば・うどん」の店がオープンしたので
 入ってみると,とんでもなくまずい店だった。
 もし脱サラの店ならなおさら味が大事だろう。
 といっても,もうしわけないが再度行く気にはなれない。

1/15
◆モバイルギアお役御免?
 ACアダプタに問題があるのか,充電ができない。
 本体の方に原因があればお手上げだ。
 モバイルギアは旅行先でのメール送受信に役立つ。
 旅先でホームページ更新をするさいにも使ってきた。
 大きめのキーボードは Pocket PCなどより便利だし
 スイッチを入れたら瞬時に起動する。
 これはノートパソコンにはできぬ芸当。
 インドネシア,マレーシア,韓国,中国への旅でも
 また国内でもさんざん持ち歩き,満身創痍。
 そろそろお役御免の時期なのかもしれない。

1/16
◆ACアダプタ
 モバイルギアのACアダプタの純正品は6千円。
 ヤフーオークションで調べると代替品が送料込で2千円。
 出品者はいろんな機種のACアダプタを自作し
 オークションの場を借りてネット販売している。
 けっこう繁盛しているようだ。
 個人のホームページで商売しても客は来ないから
 こういうところに出張るのはなかなか名案だね。

1/17
◆ヒットされる
 「Bensaid で検索したら見つけました」と
 この「つぶやき」2001年1月の記事を見た人からメール。
 ていねいにもベンサイドの東大における講演(02年10月)の
 原文と翻訳を載せたページを教えていただいた。
 ベンサイドはフランスのトロツキストだが
 ぼくはかつて彼の著作『ベンヤミン』の翻訳を企てた。
 企ては頓挫し現在にいたる。
 「どうなってんだ?」とあらためて叱られた気分。
 また,別の人の指摘によれば
 Yahoo で「アナーキスト」を検索すると
 ぼくのサイトの1件のみ出てくる。
 それでアクセス数が急増するわけでもないが
 ときどき,こんな風に見知らぬ人から反応がある。

1/18
◆ビビる
 天文館(鹿児島市の繁華街)の問題点とその改善について
 商店街の理事長らを前に学生たちが発表する。
 ぼくのゼミ生たちはペーパーを準備した。
 そのタイトル「にぎわい通りは名前負け」を見て
 商工会議所の若手所員は事前に訂正を強要する。
 そこの商店主たちが怒ると困るからだ。
 で,「にぎわい通りはこうしよう」に変えられた。
 こんなんじゃ未来は明るくないような気がする。

1/19
◆教育の弊
 昨日の学生たちのプレゼンテーションは大成功。
 教員が口出ししなくても(しない方が)
 学生たちは勝手に準備し,立派な発表を組み立てる。
 教員が積極介入した班の提言内容は微温的。
 教員の好みにあわせて鋭さがそがれ
 教員の器にあわせて発想も縮こまる。

1/20

◆放送大学
 鹿児島の放送大学で学んでいるという人から
 つぎのようなメールをいただいた。

放送大学の学生は中高年の人が多いのですが
先生とのコミュニケーションに慣れていません。
日直は面接室みたいなのを設けて
そこに相談に行くという形式になっていますが
扉をたたいて中に入り
マンツーマンで面接するというのは
多くの人にとって苦手のようです。
 商経学科が「売り」にしている双方向型教育を
 ほめているようにも読めるが
 その空しさを笑っているようにも読める。

1/21
◆チーム
 商経学科は組織運営に役立つ経営学などを
 学科教育の柱にしているにもかかわらず
 教員たち自身は何だかチームワークが不得意。
 学園と地域(商店街)の交流を進めようとしても
 やりたい人がやれば〜,とクールなリアクション。
 いや,やりたい人がやりたいようにやれるのは
 この学科の長所でもあるんですけどね。

1/22
◆北米仕様
 モバイルギア用ACアダプタが届いた。
 純正品ではないから値段はめちゃ安だが
 詳しくチェックすると入力電圧は100〜120V。
 純正品なら100〜240Vだから全世界で使える。
 売り手に苦情を言ったら「キャンセル可」とのこと。
 しかし,ま,しばらくは国内でしか使わないし
 返品・返金の手続きもウザいので
 苦情を述べただけでチョン。

1/23
◆お願いされても
 この「つぶやき」に書かれた人の悪口を読んで
 笑っているという人からお願いのメールが来た。
 「私のことは絶対に書かないように」
 「つぶやきにだけは登場したくない」んだと。
 ふふふ,そうはイカのキンタ●だ。

1/24
◆賃金カット
 給料は銀行振込だから気づくのも偶然だったが
 今月から給料が下がっている。
 私だけか,と事務室でこっそり尋ねたら
 県の職員は一律に減給されたんだそうだ。
 中高年の減額は月々1万円を超える。
 給料が下がると人間的評価も下がったような
 そういう気分になることを初めて実感した。

1/25
◆あくび指南
 誤字を書いて平気な人がいる。
 いや,「2ちゃんねる」系の誤字ではない。
 たんにワープロの変換ミスに気づかぬだけ。
 つまり,ゆるい。
 別の人は,注意されたことを必ず忘れる。
 ローマ数字や丸付き数字は機種依存文字なので
 ネット上では使わぬようにと注意しても
 絶対に覚えず,必ず忘れる。
 やはりゆるい。
 小事を気にしない鈍感さは一種の「生きる力」だが
 この力を習得するのに必要なのはまず素養。

◆寝床
 学生が授業で作成したホームページは
 ひそかに皮肉がこめられ,なかなかおもしろい。
 教師が主観的にはサービスをしたつもりでも
 学生はそれを教師の自己満足と喝破する。
 「大きな歓声に大満足」する顔写真をつける。


1/26
◆BGM
 露天風呂つきの銭湯(330円)に行く。
 冬木立,青空,遠くの丘の住宅群を眺める。
 心も洗われるが,問題はBGMだ。
 イージーリスニングのクラシックが流れている。
 露天風呂では風の音や水の音も楽しみたいのに
 これでは台なしだ。
 うるさい日本……と中島義道が嘆くのもよくわかる。

1/27
◆エライさん
 かごしま新100年を構想するという集会に参加。
 市が市内の有閑者を集めて去年からやっているが
 昨日はその最終回。
 委員長は宮廻(みやさこ)という鹿大教授。
 行政の各種イベントによく顔を出す人物だ。
 小泉行革のタウンミーティングでも
 鹿児島のコーディネータをつとめ
 奄美振興がらみでも政府から委員に指名される。
 だから市レベルの,しかも有閑者らの会議なんて
 と会そのものを軽んじ,予定時刻より早く閉会。
 もちろん市の側も有閑者の「構想」などを
 本気で聴くつもりがなく,単なるガス抜き。
 ノイジーなマイノリティーを囲い込んだだけ。
 それでも出席者たちは自分らの立派なアイデアが
 今後の市政にどう活かされるかを聞きたがる。
 自分のことを「偉い人」と思っている点では
 これらの老人たちと宮廻氏は同類だったのだ。

1/28
◆なべ
 2週間後の合宿で得意のシチューを作るために
 大きめの圧力鍋を買おうかな〜と思った。
 本当は同僚から借りれば済むのである。
 デパートに行って舶来物を眺めていたら
 ベテランの店員にあれこれささやかれ
 つい3万円の鍋を買いそうになった。
 すんでのところで正気をとりもどし
 カタログだけもらって引き上げる。

◆ジジ抜き
 お昼は学食で同僚と歓談するのが慣わし。
 「人事異動はババ抜きだ」と大笑いしていたら
 居合わせた学長が「ジジ抜きといいなさい」という。
 理由の一つは,ババアは差別語であること。
 もう一つは,ババ抜きのババはジョーカーで
 誰にもそれとわかる印がついているが
 ジジ抜きの場合は本人にすらその自覚がない。
 なるほろ。


1/29
◆誤記
 誤字を書くのが「ゆるさ」の証拠なら
 ぼくもだんだん成長したようだ。
 Web上で人の名を2度も誤記した。
 それを指摘してくれた人からは
 「大丈夫ですか〜?」のお言葉を頂戴する。

1/30
◆アーミーナイフ
 めったに使わないが常時携帯している。
 ゼミ合宿でフランスパンを切るのに使おうかな。
 数年前,そのしぐさが「かっこいい」と
 ほめられたのを忘れない単純なオヤジである。
 ところが,そのナイフが見当たらない。
 家中さがしても見つからない。
 先日行ったデパートの遺失物係にも電話した。
 また新しいのを買わなきゃな〜と思っていたら
 車(ミゼット)の座席の上にあったよ。
 すんごく幸せな気分。

1/31
◆同窓会
 高校の同窓会(同期会)が消息不明者を調べている。
 そのリストをみて,たわむれにネットで検索すると
 会社の人事部長とか
 ハイブリッド車の開発主任とかが
 顔写真入りで現れた。
 それを見ると昔の面影があるような,ないような。
 だから別人かもしれない。
 ともかく,彼らが同窓会と連絡を絶っているのは
 彼らなりに理由があってのことだろう。

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