2003年
 つぶやき

2/1
◆商学交流事業
 商学交流とは商店街と大学が結託して
 地域の活性化に取り組むことである。
 全国的に成功例はほとんどなさそうなので
 ここ鹿児島でひとつ成功させてみようか。
 わが商経学科の組織的な取り組みにしたいが
 最初から組織性をねらうと必ずうまくいかない。
 だから,おもしろがり屋だけで出発しよう。
 つまり,ぼくの一人踊りから始めよう。
 地方銀行を商学交流の仲介,スポンサーとすべく
 近日中に企画書をたずさえて乗り込もう。
 と,寝床のなかで考え,一人燃えた。

◆じゃーす
 種子島にいる正義の味方タネガシマンについて
 地方テレビ局KYTのWebページのコラムを読むと
 彼らの敵は「ジャアスロウ帝国」である。
 ジャアスロウは「どつくゾ」と人を威嚇する方言。
 ん? ジャアスなら福岡県の八女でも言うぞ。
 「じゃあす」「じゃーす」でネット検索したら
 遠く伊勢志摩にも同じ方言があった。
 関西弁の「どやす」も同根だろうけど
 小学生のころの経験によれば
 「じゃーす」は福岡県内でも通じないところがある。
 この方言はまだらに分布しているみたい。


2/2
◆Dorfgemeinschaft
 鹿児島市立美術館の横山大観展は今日が最終日。
 入場料千円で入館すれば,中は満員状態だった。
 人の肩ごしに作品を眺めていると
 後ろから小声で「斉藤先生!」と名を呼ばれる。
 かつての卒業生が会場の係員をしていた。
 券を出せというので,渡すと千円くれる。
 招待券が1枚余っていたからだそうだ。
 コネ社会というか村落共同体というか
 鹿児島では顔見知りだと御利益がある。
 ようやくそれにあずかれる身の上となったようだ。

2/3
◆マーケティング
 『九州マーケティング・アイズ』から寄稿依頼。
 なんで私に,と少し驚く。
 ま,誰も読まなそうな薄手の季刊誌だから
 商学交流を素材に,学科の宣伝でもしようかな。

2/4
◆試写会
 「戦場のピアニスト」(The Pianist)試写会に
 インターネットで応募したら当たった。
 試写会に行くのは初めてのことである。
 開場時刻にはすでに長蛇の列ができていた。
 ラーメンを食べてから入る予定だったが
 この列を見て,あわてて並ぶ。
 映画の最後はコンサートシーンで
 演奏の終了と映画の終了がシンクロする。
 フランスの映画館なら観客も同時に拍手するだろう。
 しかし,鹿児島では客はさっさと席を立つ。

2/5
◆へそまがり
 学長としばしば学食で昼をともにする。
 彼はちょっと偏屈で,ものを斜めに見るタイプ。
 奄美大島は長寿の島という報道があれば
 「新生児からの平均寿命はよそと変わらん」といい
 デフレによる不況が話題になれば
 「中国は日本に安価な製品を輸出し繁栄する」と
 一人で勝手につっこんでくる。
 この人も人から愛されないタイプだな〜,と
 つい同病を哀れむ思いがこみあげる。

2/6
◆朝食
 通勤途中「めしや丼」という店に立ち寄り
 納豆定食(330円)をとる。
 ふだん朝食は食べないから,ほんの気まぐれ。
 ほんとうは喫茶店でモーニングをとりたかった。
 通勤の道筋に喫茶店がないこともあるが
 そもそも鹿児島には「喫茶店文化」がなく
 名古屋のように人々がモーニングに集う光景もない。

2/7
◆反マーケティング
 九州マーケティング協会から原稿を依頼され
 その気になって書き始めたところ
 今日になって「お断り」されてしまった。
 昨日,編集委員長からの電話によれば
 鹿児島県のマクロな景況についての「概説」
 これがぼくに要求されている内容だった。
 それは私の書きたいものと違いますね,と答えたら
 今日の「お断り」につながったわけだ。
 しかたないね。
 なにしろぼくが書き始めた文のタイトルは
 「反マーケティング――ものが売れない喜び」
 だもんな〜。

2/8
◆Avant-garde
 安部公房の初期短編集を読んでいる。
 さほどおもしろくないが
 アヴァンギャルドの味はなつかしい。
 大衆の先頭に立って時代を切り開く前衛。
 旧来の価値観を180度ひっくりかえす。
 かつてはこれが左翼文化人の役割だった。
 いまではアヴァンギャルド(前衛)も死語に近い。
 しかし,学生に発想の逆転をせまる立場で
 ぼくの気分はプチ前衛。

2/9
◆ツイン
 新しいスズキの二人乗り自動車「ツイン」。
 49万円の廉価版もあり興味をそそる。
 愛車ミゼット2は昨日みたいな雨の日に
 ガラスが曇りやすいのが定評で
 冬でも窓を開けて走るしかない。
 そういう不便も味わいのひとつだし
 車の買い替えはまだ先と考えていたが
 そろそろ潮時かもしれんな〜。

2/10
◆たそがれ清兵衛
 あれこれの賞のおかげで鹿児島でも再上映中。
 日曜日でも館内はけっこうガラガラだ。
 オヤジたちを泣かせるという評判の映画だが
 思ったより泣かせどころは少なかったね。

2/11
◆オヤジの力
 民家をまるごと借りてのゼミ合宿。
 牛肉のトマト煮込みという得意料理をつくって
 学生に喜んでもらったばかりではない。
 翌朝,学生の車がパンクしていたので
 タイヤ交換の技も披露でき,ちょっとうれしい。

2/12
◆社会学部
 一橋新聞総務局長を名乗る学生のページをみた。
 一橋の社会学部はなぜバカ社と呼ばれるか,と問い
 それは1年次必修の導入科目のせいで
 社会学部の学生はバカになるからだそうだ。
 社会科学概論・社会研究の方法・社会研究の世界
 いずれも垂れ流し型のマスプロ授業で
 学生は入学早々からやる気を失ってしまう,という。
 この推論は間違っていると思う。
 そんな科目がなかったころから
 社会学部の学生はバカだった。

2/13
◆地域めぐり
 高齢者にやさしい商店街づくりというテーマで
 県商工会連合会がもうけた委員会の長となり
 約束の3年間がすぎた。
 県民に役立つ商経学科を売り出すため
 最初は「人柱」のつもりで引き受けたのだが
 だんだん乗ってしまい,地域めぐりを楽しんだ。
 しかし,昨日でそれも終わり。
 来年度も地域めぐりの要請が来るかどうか。

2/14
◆TMOとの絡み
 今日は鹿児島商工会議所へ出向く。
 学生たちの活動の場を拡げようと思い
 その相談,というかお願いに行ったのである。
 昨年来,うちの学生は活動力を評価されており
 TMO(Town Management Organization)に
 その力を使いたいとあちらも考えていたので
 明るく「前向きの」お話し合いができた。

2/15
◆IT環境
 商経学科の学生にパソコン必携を呼びかけ
 あらゆる学科情報をホームページに載せ
 パソコンなしでは暮らせないような
 環境づくりで学生の満足度を高めようとした。
 しかし,学生にとってはケータイの方が便利らしい。
 また,教員もメールさえできれば十分と考えており
 そうなるとパソコンはとくに必要ない。
 学生サービスの観点からしても
 ケータイですべての学科情報が入手できるよう
 今後はiモード中心の環境づくりをしようか。
 ぼく自身はケータイをもたず,かつ嫌悪しているが
 他の教員は逆にWebページ利用を好まない。
 学科長としてはマジョリティに配慮しなきゃ。

2/16
◆資本の代弁者
 今日の日経新聞は書評欄でネグリ『帝国』を紹介した。
 評者(上村忠男)はこういう。
  この書は新世紀の『共産主義者宣言』であり
  その起爆力はあなどりがたい。
  資本とその利益の代弁者はくれぐれも警戒すべし。

 さすがは日経新聞というべきか
 「敵方」の理論武装の内容にも目配りする。

2/17
◆飲み会の段取り
 ゼミの学生と飲み会をすることになり
 もののはずみで日程調整役を引受ける。
 これが大失敗。
 各自の都合をメールで問い合わせているが
 まったく調整がつかない。
 つまり,学生たちはみな忙しい。
 昔とは違うのである。

2/18
◆日本フィル
 今夜,鹿児島で日フィルのコンサートがある。
 昔の女友達から「行ってね」と頼まれた。
 彼女のつれあい(事実婚)が楽団員だからだ。
 頼みは聞いてあげたいが,急な話だし
 男に挨拶するためにだけ行く感じだし
 文化ホールは遠いし,ほかにやることあるし……
 と,昨夜ウジウジしながら寝たら夢を見た。
 同僚に1万円払って代行してもらう夢。

2/19
◆学生サークル
 学生とともに地域調査や地域活動をやってきたが
 学生たちはそうした活動をおもしろがり
 自主的にサークルを立ち上げた。
 さらに商工会議所に出向き,挨拶までしてきた。
 偉いね。
 放っておいても学生は勝手に成長していく。

2/20
◆貧乏自慢
 県内企業との就職懇談会が駅前のホテルで開かれた。
 いつもは野良着の学長もネクタイをしめている。
 ぼくはセーターを着てきたことを学長に弁解した。
 「ワイシャツのボタンが取れているのを隠すんです」
 すると学長はポケットから眼鏡をとりだして
 「この眼鏡は百円。だけど一番の愛用」

2/21
◆早起き
 暗いうちに目が覚めたがそのまま起床。
 朝から入試関連の作業があるため二度寝はできない。
 寒い風呂場でシャワーを浴びる。
 体を右回りさせながら頭を洗う。
 お湯がかからない部分は寒いからだ。

2/22
◆キムチ納豆ラーメン
 このごろ即席麺をけっこう美味に感ずる。
 納豆とキムチを入れるとさらによい。
 キムチはスーパーで韓国産の瓶詰めを買う。
 賞味期限が妙に長いし,値段も妙に安いが
 おいしいと思うのでしょうがない。
 このところ連夜食べて,あきることがない。
 ビンボー人の魂が燃える。

2/23
◆スマート
 朝マックで食べていると小型車のスマートがやってきた。
 車から降りたのは頭の悪そうなカップル。
 それを見たらスマートを買わなくてよかったと思う。
 ああいう手合が乗る車だったとは知らなんだ。

2/24
◆Mont d'Or (モンドール)
 鹿児島三越の地下にパンを買いに行く。
 夜,小腹がすいたときのためだ。
 ついでに地下のフロアをうろついたら
 チーズ売り場で「モンドール」が売られていた。
 ジュラ地方の名産で,秋冬限定の品だ。
 懐かしいが,小箱で3800円は高いと感じた。
 相場なんだろうけど貧乏が趣味だからね。
 それに,このごろはワインも飲まないし。

2/25
◆喜び組
 ゼミ学生を中心とした新しいサークルができ
 昔の歓楽街(青線)の飲み屋でコンパをした。
 狭い2階の座敷が味わい深く一同興奮。
 まちづくりのNPOをめざすサークルだが
 正式名称はまだない。
 狭い部屋で学生に囲まれ,ハーレム気分のまま
 「かごしま喜び組」という名前を思いついた。

2/26
◆安い航空券
 うちの奥さんが鹿児島へ「家の掃除」に来る。
 東京ー鹿児島往復の航空券をネットで検索したら
 「出張プラン」だとホテル1泊つき2万2千円!
 (正規料金だと片道でも3万5千円)
 東京が起点だからで,鹿児島発だとそうはいかない。
 なんだか不公平のような気がする。

2/27
◆学生の本づくり
 法政大学社会学部の加太ゼミが本を出した。
 『東京地下鉄日和』A5版153頁,700円だ。
 Web版の朝日新聞で知り,メールで注文して購入した。
 数年前,上智大学の学生たちが作った本:
 『アジアを食べる日本の猫』(梨の木舎)でも感じたが
 こんな本をうちの学生にも作らせたい。
 と同僚に語ったら鼻で笑われた。
 陳腐なアイデアらしいが,それでも取り組もうと思う。

2/28
◆ Customers Rule !
 ビジネス本の原題だが,邦訳のタイトルは
 『なぜ誰もネットで買わなくなるのか』
 (ダイヤモンド社,2002年10月)
 この本,原題もいいけど邦題の方がわかりやすいね。
 また,かねがね疑問に思っていたことが
 この本を読んで氷解したのでうれしい。

過去の記事
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2001年---------10-11-12
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