2003年
 つぶやき

3/1
◆銭湯めぐり
 うちの奥さん,鹿児島に来るとまず銭湯。
 だもんで,ぼくが車で連れて回ることになる。
 家の掃除が来鹿の名分ではあるが
 じっさいには「骨休めの慰安旅行」という趣き。

3/2
◆下品な宣言
 城山への登り口,西郷洞窟前の「長寿泉」は
 施設は貧弱でも湯量豊富で泉質も良い。
 脱衣所に掲げられた宣言文にも驚かされる。
 そこのお湯は下半身に効くというものだが
 トイレの落書きレベルなので詳しくは紹介できない。

3/3
◆木が邪魔
 玄関先の木(松など)の枝が公道にとびだし
 通行人に迷惑だし,景観も損ねている。
 昨日,近所のおばさんから文句を言われた。
 たまに家にいるとこういう目に会う。
 わが家は県の公舎ゆえ,木を切るのも県に頼みたい。
 今日,庁舎管理課に電話で問い合わせてみた。
 明日,担当の職員が実情を調べに来る。
 [後記:調べにきたが反応はいまいち]

3/4
◆腰痛
 患部を暖めればよいのか,冷やせばよいのか?
 前にも似たような症状が出たが
 何をどうしたら治ったのか覚えていない。
 経験を活かせないことも大きな問題。
 [後記:保健室でもらった湿布薬がよく効いた]

3/5
◆営業力
 ゼミ生を中心としたサークルは営業に乗り出した。
 西鹿児島駅近くで街頭アンケートをとる仕事とか
 商工会議所主催の日曜市への出店とか
 もう勝手に話を進めており,感心させられる。
 「先生,サポートしてね」と声をかけられたが
 これは外交辞令で,じっさいの出番はなさそう。

3/6
◆ゼミの技法
 有斐閣のPR誌『書斎の窓』3月号を読んで
 船曳建夫(東大)の随筆にちょっと共鳴した。
 ゼミを時代が要求している,と言うのである。
 いまの学生は楽しく対話できる相手を求めている。
 知識を得たいだけならネットの方が便利だし
 一方的な受動性を強要されるのは大学受験まで。
 ゼミこそが大学の精華である。
 大学が提供する最高のエンターテインメントなのだ。
 う〜む,このあたりが鹿児島県の弱いところ。
 県はあいかわらず上から教えを垂れることが
 教育の要諦だと思い込んでいる。
 双方向型教育を柱とする県立短大よりも
 放送大学をありがたがり,金をかける。
 その志の低さ。

3/7
◆かごしまデザインフェア
 新デザインの仏壇があるというので見に行く。
 鹿児島の伝統工芸に新しいエネルギーが
 注入されているかもしれないと期待したのだ。
 しかし,あまりの陳腐さにがっかり。
 北九州の仏壇メーカー「はせがわ」とは
 比べようもないほど発想力が貧弱。
 仏壇にかぎらず,その他の展示品も
 おしなべて「とんがり」の度合いが低い。
 どうやって耕していけばよいのだろう。

3/8
◆立ち回り
 土曜日の天文館は混雑していた。
 横断歩道で信号待ちをしていた人ゴミの中で騒動。
 若者二人がケンカを始めた。
 肩が触れた触れない……類のいさかいのようだ。
 映画のようには互いのパンチは決まらない。
 ヘッドロックをしたり,もみあったり
 なんだかカッコ悪いぞ。
 それでもケンカに「乗っている」男はまだしも
 人目を気にして,ケンカをやめたがっている男は
 腰が引けている分だけますます見苦しい。
 始めからあっさり謝ればよかったのに。
 ケンカ好きの男の相手をするもんじゃない。

3/9
◆不発弾
 60年ほど前,米軍が鹿児島市に落とした爆弾が
 鹿児島駅近くで見つかり,9日に処理される。
 5百メ−トル以内の住民は避難しなければならない。
 わが家もそこに含まれる。
 朝8時までに退去せよと
 早朝7時半から放送やサイレンで促される。

3/10
◆NHKと卑語
 NHK教育テレビで現代演劇をやっていた。
 ナイロン100℃という劇団の舞台公演だ。
 夜食の準備をしながら聴いていると
 何度も「シッポが短いくせに」とか言っている。
 テレビに前に座ってきちんと聴いたら
 「チン○が短い」と反復していたのである。
 NHK教育だからこそ許されるのだろう。
 ただし芝居自体はあまりおもしろくなかった。

3/11
◆ランチ・ジプシー
 春休みで学食もないんで昼食に苦労する。
 500円程度の定食を探しているからだ。
 鹿児島はラーメンが700円という土地。
 安くてうまい店を見つけるのは至難の業。

3/12
◆自前のメールサーバ
 MacをWebサーバに仕立てるApple Share IP は
 すでに旧式のソフトだが,使い勝手がよく
 動作も安定しているので手放せない。
 このソフトはメールサーバを作る機能も備える。
 それは今まで未踏の領域だったのだが
 学生サークルを応援する流れのなかで
 メールサーバちゅうのを立ち上げてしまった。
 ところが開始して2日もたたないのに警告が届く。
 上位サイトの管理者からの警告である。
 「不正メール中継に悪用されている」から
 ただちに停止せよとのこと。
 たしかに十分な勉強もせずに発進してしまった。
 マック利用者にありがちな悪癖弊習である。
 反省しつつ,すみやかに停止した。

3/13
◆報告書の書き方
 高齢者にやさしいまちづくり,というテーマで
 昨年も県内2ヶ所で調査活動をおこなった。
 その報告書というか感想文を提出した。
 アンケートの数値や分析は別の人が出すから
 ぼくは印象批評を担当したのである。
 各地の取り組みについて,いわゆる辛口の批評を展開した。
 その方が相手に喜んでもらえると思ったのだ。
 ところが逆であった。
 助成金を出している県の担当者からは
 「事業の成果がないみたいに書かれると困る」
 また,事業を指導する商工会連合会の上部からは
 「きちんと指導できてないと読まれる」として
 それぞれクレームがつき,係の職員が書き直した。
 つまり,否定的な言辞はすべて削除された。
 報告書とはこういうものでなければならない。
 鹿児島の場合はとくに「ひねり」が喜ばれない。
 むしろ歯の浮くような世辞の方が喜ばれる。
 辛口を気取るような人間にはもうお呼びはかかるまい。

3/14
◆学会報告準備
 5月に開かれる経済学史学会で報告をする。
 共通論題の他の報告者と打ち合わせねばならぬ。
 その打ち合わせの日程調整が進行中。
 メーリングリストでやりとりする。
 どの大学でもeメールが日常化しているようだ。
 さて,肝心の報告についてだが
 幹事はぼくの準備ぶりを危ぶむ。
 「斉藤さん,頑張ってますか?」と鋭く問う。

3/15
◆炭水化物
 昼=うどんライス,夜=ラーメンとポテトサラダ。
 注意していないと,こういう食事になる。
 それで太りすぎたりはしないが
 栄養の偏りはどこかに出るかもしれない。

3/16
◆愛他主義?
 娘は国分寺のライブハウスによく行っているらしい。
 そして,店のホームページづくりを頼まれたという。
 娘は自分ではろくに経験もないのに
 兄や父(ぼく)に聞けば何とかなると思い
 軽く引き受けた。
 たしかに兄も父も同様の傾向をもつ。
 さらにいえば父の父もそうだった。
 荷物を背負って,喜んでもらいたがる。
 しかし,それほどありがたがられない。

3/17
◆剃刀
 豪雨をついて床屋へ行く。
 なにしろ卒業式はもうすぐだからね。
 いつも感じることながら床屋でヒゲをそるのは怖い。
 志賀直哉の短編小説「剃刀」を思い出してしまう。
 床屋のオヤジの情緒安定を祈るばかり。

3/18
◆卒業式
 いつもなら卒業式がすんだらすぐ上京する。
 しかし,今年はそういうわけにはいかない。
 鹿児島の美風=てげてげ(=いいかげん)が通用しない。

3/19
◆飲み会続き
 卒業式の日は夕方から教職員のパーティ。
 「持ち寄り」による飲み会 Booze Party だったので
 たらふく食べて飲んで気分はハッピー。
 そして今日は夜間部学生との飲み会。
 明日は夜間部の昔の卒業生との飲み会。
 このところアルコールに強くなったおかげで
 こうした行事を平気でこなせる。
 かつてのぼく(下戸)を知る人には信じられまい。

3/20
◆ヤギ汁
 沖永良部(奄美群島)の名物料理らしい。
 「あれは苦手だ」という人も多い。
 昨日の飲み会で初めて食する機会を得る。
 おでんっぽい感じで「こいつはいける」と思い
 女将に「ヤギ汁っておいしいですね」というと
 「あ,それはおでん。ヤギ汁はこの後」
 そして出てきたヤギ汁は,や,ヤギ汁だった。
 いちおうお椀一杯分は完食できました。

3/21
◆ Valley of Tears
 昨年の第二部斉藤ゼミの卒業生と会う。
 1年前だから,さほど懐かしいってこともないが
 誰もがそれなりに涙の谷間を渡っており
 がんばれよ,と言いたくなる。

3/22
◆チョムスキー 9.11
 と題する記録映画の上映会に行く。
 150席ほどの館内に観客があふれる。
 上映後は講演とフリートーキング。
 アメリカによるイラク攻撃が始まったが
 鹿児島でもようやく反戦の動きが高まりつつある
 と思われ,一人しみじみとうなずく。

3/23
◆組織の理念
 春休みの,しかも日曜だというのに学生が集まる。
 斉藤ゼミを中心とした「まちづくり」グループである。
 起業を視野に入れての活動だから熱も入る。
 25日には市役所に出向いて「仕事」をもらう。
 そのさいに用いる説明パンフ作りが今日の仕事。
 パンフの冒頭に掲げる理念について議論する。
 ぼくはコーヒーを飲みながら傍聴した。

3/24
◆隣人
 3軒ならんだボロ家(県の官舎)に住んでいるが
 隣のことは全然知らない。
 県職員の異動のたびに住人は入れ替わる。
 こちらの方が先住民なのに,引っ越しの挨拶もない。
 ぼくは入居時,菓子折りをもって挨拶回りをしたぞ。
 先日,隣の男とぱったり出会う。
 そして,お互い挨拶もせずに目をそらす。

3/25
◆ストーブ
 ストーブ不要の陽気だが,まだ使っている。
 その炎でひとり暮らしの孤独をなぐさめる図柄。
 手をかざしながら,物思いにふける。
 その姿はサマになっている,ような気がする。

3/26
◆ベトナム
 学生の「まちづくり」サークルが始動したが
 最初のアクションである市役所訪問は
 「仕事」のゲットにはつながらず,少し残念。
 実績がないから当然かもしれないが
 担当職員の「眼力」不足にも問題がある。
 しかし,学生の方は「これをバネにしよう」と健康だ。
 ベトナム料理店に結集してランチを食べながら
 新しい営利活動のアイデアを語りあう。
 そして,夏休みにはベトナムへ行こうという話になった。
 まったくもって明朗快活,元気いっぱい。

3/27
◆節句働き
 これまでずっと意味をとりちがえていた。
 期限間近にならないと始動しないことではなく
 正しくは「怠け者の節句働き」といい
 ノラクラ者に限って人が休んでいるときに働くの意。
 ま,正誤をとわず今のぼくは節句働き。

3/28
◆息を殺す
 夜10時前だから,いつもより早めの帰宅だった。
 夕食も遅めで,スーパーで買った弁当をパクつく。
 そのとき,もうしわけなさげにドアを叩く音。
 男が小声で「こんばんわー」という。
 町内会か何かの集金のようだ。
 無視して,また弁当にむかう。

3/29
◆歓送迎会
 3月末なのに鹿児島にとどまっている。
 家族宅に一度も帰らぬまま,新学期を迎えるのだろうか?
 しかし,おかげで初めて職場の歓送迎会に出席できた。
 事務局は県の職員異動にともない大きく入れ替わる。
 しかし,ぼくが歓送迎会に出る気になったのは
 それで夕食をすませようというさもしい魂胆。

3/30
◆花見
 鹿児島で満開の桜を見るのも初めてのような気がする。
 学生から「花見をしましょう」の呼びかけあり。
 ぼくが鹿児島にいるのは仕事があるからで
 さすがにここ数日はおつきあいできない。

3/31
◆鹿児島紅茶
 かつて国産紅茶の大半は鹿児島産だった。
 輸入の自由化で全滅したかにみえるが
 どっこい,がんばって作り続けている人がいる。
 といった話は地元のテレビや新聞で報道されたが
 意外にも学生たちは全然知らない。
 ということは全県的にも知る者は少なかろう。
 ならば,物語を付加して鹿児島紅茶を売ろうと
 「まちづくり」支援学生サークルは屋台を出す。
 教員にとっても未知の世界に入ろうとしている。

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