2003年
 つぶやき

5/1
◆禁忌
 奥さんからバーサン(奥さんの母親)の動きについて
 「ホームページには書かないでね」と言われた。
 バーサンは幼児化というか知的退行が著しく
 公言するのもはばかられる状態だからである。
 似たようなことは職場にもあって
 ホームページに何かを書けば必ず苦情が出る。
 誰が読んでいるかわからないから,という理屈。
 誰も読んでないと思うんだけどね。

5/2
◆ Illustrator
 娘は人のためのホームページづくりに燃え
 音を出す仕掛けを一応マスターしたあと
 こんどはロゴやマークの製作に乗り出した。
 ちょっと教えるとなかなか飲み込みがよい。
 Illustrator というソフトの操作について
 娘の質問や要望に父親はしばしば応えられない。
 娘は興味のある方面にはかくも積極的。
 大学中退はもったいないような気もするが
 生きる底力をかいまみて,少し安心した。

5/3
◆佐野書院
 東京商大の初代学長,佐野善作の私邸だった家。
 一橋大学のすぐ裏にあり,すてきな庭がつく。
 かつて,ぼくらはそれを院生寮にしようとしたが
 老朽化が甚だしく,企てを断念した。
 現在は同窓会の資金援助で建て替えられ
 こぎれいなホール,りっぱな談話室を備える。
 昨日,フランス革命の講演会が開かれた。
 ぼくは午前中,一橋の古典センターにいたが
 そのセンター教授が講演会の主催者なので
 浮世の義理で会に出る。
 久しぶりの佐野書院の風情ありげなたたずまい。
 鹿児島にはこういう建物がないんだよな〜。

◆自賠責保険
 娘の原付の自賠責保険を更新しなければならない。
 インターネットで調べると,コンビニで更新できる。
 さっそく近くの店に走る。


5/4
◆夜遊び
 下の息子はガールフレンドを家まで送っていき
 朝まで帰って来なかった。
 浪人のくせに,いい気なもんだ。
 さぞかし楽しかったろう。
 母親は「お父さん,ちゃんと叱って」と言うが
 その趣旨は「相手のスキに乗ずるな」ということ。
 女の子の母親は看護師で夜勤,父親は単身赴任。
 そのスキを狙うのは下品だというのだ。
 道徳よりも美意識の問題になっている。

5/5
◆サブカル本
 帰鹿の途中,浜松町駅の大型書店に立ち寄る。
 サブカルチャーの棚に並ぶ「お下劣」本を
 しばし立ち読みしたが,買わず。
 興味が失せたわけではない。
 アパートを引き払うとき捨てるべき駄本を
 けっきょく鹿児島に送ったので
 その整理を思うと,新本を買う気がなえた。

5/6
◆学生からの刺激
 今月末,経済学史学会で発表することになっている。
 先週,ほかの発表者たちと打ち合わせをした。
 ほかの連中は大学院でも教えているので
 教育と研究が絡み合って,いいですね,というと
 意外にも「そんなことはないですよ」との返事。
 最近の大学院は昔の学部レベルだし
 その上,シラバスと授業評価が強要され
 段取りよく「教え込まねばならない」。
 むしろ学部の方が学生は「荒々しい」から
 接して楽しく,刺激も得られるという。
 ならば,短大は宝の山ってことになる。
 連休が明け,今日からまたその山に入る。

5/7
◆連絡手段
 今週末,学科で新任教員の歓迎会を催す。
 会場その他についてメールで知らせ
 参加人数確認のため返事を,と頼んだのに
 返信をくれた教員は半数以下だ。
 情報教育を売りにしている学科だが
 内部連絡はやはりペーパーもしくは電話
 あるいは研究室への直接訪問で行うしかない。
 しかし,じつはここにポスト情報社会の
 予兆のようなものを見てとるべきかも。

5/8
◆恥じらい
 論文などの執筆で忙しそうにしている人をみて
 かつてのぼくは「恥ずかしくないのかな」と思った。
 稚拙なアイデアを稚拙な文章でさらすのは
 世過ぎのため「やむをえず」すべきことだった。
 しかし,こういうWebページを作るようになって以来
 自己露出はぜ〜んぜん平気になっちゃいました。
 だから学会報告なんてのも平然と引き受ける。
 これは進歩なのか退廃なのか。
 逆に,論文をよく書いていた者たちは
 Webページでの自己露出に消極的。

5/9
◆布団
 来週末,奥さんが友人2名と来鹿する。
 おばさん連中は全員わが家に泊まる。
 部屋に余裕はあるが,布団が足りない。
 大学会館にあるボロのマットレスを借りよう。
 おばさんたちに文句はいわせない。

5/10
◆隠居というライフスタイル
 早起きして上京した。
 日仏社会学会の理事会と研究会に出席。
 テーマは「老若共同参画社会」についてで
 老人差別からの脱却をめざす点は理解できたが
 生涯現役が規範みたいになるのはどうだろう。
 フランス人などのように早期引退と
 悠々自適の生活を志向するのも悪くない。
 日本にだって昔は「隠居」という老後があった。
 いま老人は年寄りの分に甘んじてはいけないらしい。
 ぼくはそのへんについて質問したが
 報告者からは喜んでもらえなかった。

5/11
◆桑原時夫
 桑原時夫を支援するページがあった。
 サラ金の被害者を食いものにした悪徳弁護士として
 昨年末,弁護士資格を失い,この4月に破産宣告。
 ぼくの知る昔の桑原はそれほど悪人ではなかった。
 25年の弁護士生活で人が変わったのか。
 たしかに札束を見せびらかし,子分をはべらせ
 女にマンションを与え,競馬の馬主になり……
 と,最近はバカな噂をよく聞いた。
 しかし,根が貧乏ゆえ上品さとは縁遠くても
 金儲けや蓄財に狂奔する男じゃない。
 サラ金の被害者を救済しようとした初心と
 処理方法をシステマチックにした独創性
 この二つがたまたま巨額な収入につながった。
 また,弁護士資格の剥奪についても
 彼の方が被害者との指摘もある(自由法曹団通信)。

5/12
◆クリエイティブ・シンキング
 おもしろがってビジネス本ばかり読んでいる。
 脱常識とか思考のこわばりの打破とか
 それこそ大学が引き受けるべき領域なので
 何を読んでも授業の参考になるような気がする。
 頭脳の筋肉の,いわば基礎体力をつけさせ
 パワフルな地域人を育てていきたい,と
 シミジミ考えながら,飛行機で鹿児島に戻る。

5/13
◆すぐれた授業
 児童らの魂を動かす,涙と笑いの授業。
 小学校教諭の教育実践記録をテレビでみた。
 子どもたちの涙に,つい感動させられた。
 うちの同僚にも,学生の魂を動かす人がいる。
 立派だと思うが,ぼくにはできない。
 泣かせたいとも思わない。(趣味じゃない)
 講義を聞いて「ひとつ利口になりました」と
 言われるぐらいがちょうどいい。
 が,これはこれで至難のわざなのである。

5/14
◆二人乗りの車
 一人乗り(ミゼット2)に乗っているが
 車内には荷物を置くスペースがなく
 外の荷台もじつは使い勝手が悪い。
 だから二人乗りの小さな車がほしい。
 外国産のスマートは試乗してみて
 動きのタルさに失望。
 スズキのツインは先日,街角でみかけたが
 外観が凡庸で,インパクトが弱い。
 ダイハツの軽スポーツ(コペン)も
 何だかすぐにアキがきそうでヤだ。
 結局ズルズルとミゼットに乗り続けるのかな。

5/15
◆床屋
 行きつけの床屋は70才をこえたジイサンだ。
 好色の,昔でいう「プレイボーイ」だから
 町内でも浮いてる,というか嫌われ者。
 女房子供にも逃げられて……
 と,他人とは思えぬハグレぶり。
 その床屋が閉まっていた。
 ドアに「入院につき閉店」と貼り紙がある。
 で,初めて同じ町内の別の散髪屋に行く。
 そこも高齢のバアサンが一人でやっていた。
 洗髪台も古色蒼然。味わい深い。
 ヒゲ剃りは省いたら,代金2千円と安価。

5/16
◆4万アクセス
 昨年10月の3万アクセスから7ヶ月。
 学科のホームページからのリンクをはずしても
 アクセス数の減少は見られないので
 従来の「客」は離れていないようだ。
 私の「つぶやき」は職場の同僚の不興を招き
 「やめれば」とか「リンクは張るな」と言われ
 昨年からリンクをはずしたままである。
 その効あって,学生には読まれていない。

5/17
◆混浴
 奥さんとその友人,計3名が来鹿した。
 夕方,桜島に連れてゆく。
 古里温泉の「海辺の露天風呂」に入る。
 男の入浴客がたくさんいたが
 オバサンたちは平気だ。
 風呂に入り,海に入り,で大喜び。
 「鹿児島に来たって感じね」と言う。

5/18
◆特攻
 奥さんを案内し,久しぶりに訪れた知覧は
 映画「ホタル」の成功でさらに変貌していた。
 とくに特攻隊を記念する平和会館は
 展示品が倍増し,語り部までいた。
 語り部のジイサンは泣かせどころを心得ており
 じっさい,ぼくもググッときたし
 女性客の多くは声をあげて泣く。
 ジイサンはしてやったりと満足げ。

5/19
◆心労
 薩摩半島のあちこちを駆け回った。
 ドライブにも疲れたが人にも疲れた。
 夕食のとき湯飲み茶わんをヒジで倒し
 奥さんのヒザに熱いお茶がかかったが
 ぼくはすばやくフォローする元気もなく
 奥さんの困った様子を呆然と眺めるばかり。

5/20
◆教養の崩壊
 笠井潔と東浩紀との対談本からの孫引きだが
 東大の石田英敬は院生にバフチンの説明をしたとき
 「先生,ドストエフスキーって誰なんですか」
 と質問され,「ついにその日がやってきた」と悟った。
 「その日」とは教養崩壊の時代のことである。
 んなバカな,でなく,ありそうな話だと思う。
 さて,この対談本『動物化する世界の中で』も
 けっこうおもしろかった。(集英社新書,03年4月)
 偉そぶる笠井(48年生)を東(71年生)が
 はじめ慇懃,だんだん露骨におちょくる。
 読んでいて小気味よいような,つらいような
 複雑な股裂き気分を味わう。

5/21
◆なめくじ
 数年ぶりにナメクジが現れはじめた。
 久しく姿を見なかったので死滅したと思ったが
 どっこい,そうは問屋がおろさない。
 またぞろ,廊下まで進出し徘徊している。
 古い官舎ゆえ,洗濯排水は地面吸収で
 浴室の外はいつもぬかるんでいる。
 このところ連日洗濯が行われたため
 それがナメクジを蘇生させたのかもしれない。

5/22
◆実踏調査
 1年生の基礎ゼミの学生を外に連れだす。
 タウンウォッチングというやつである。
 教育プランが行き詰まったときはこれに限る。
 裏通り,路地裏をさまよい歩くだけでも
 学生にとっては良い「勉強」になる。
 こちらは小学生の遠足の引率者気分。

5/23
◆モバイルギア
 あちゃ〜,愛用のモバギが壊れてる。
 京都3泊のために持参して
 Webページの更新やメール送受信をしたいのに
 出発間際にチェックしたら不調。
 ウンともスンともいわない。
 したがって,26日(月)までページ更新不能です。

◆レジュメ
 週末,同志社大にて開かれる経済学史学会で
 発表することになっている。
 事前配付の大会報告集に載せたものを
 当日さらに「発展」させることを要請された。
 当然の話だが,発表者としてはやや面倒だ。
 昨夕から今朝にかけてレジュメ2枚を作成した。
 スカスカの内容だが,ないよりはましだろう。
 報告者3人で4時間のフォーラムってのも
 ちょいとつらいな。


5/26
◆鶴橋
 京都での学会発表はいちおう無事終了。
 自分の出るフォーラム以外はパスして
 観光に励もうと思ったが,足にマメ。
 人のすすめで「哲学の道」から始めたのが失敗。
 市バスの1日乗車券でグルグル回っただけ。
 昨夜は,大阪で泊まる。
 一駅隣が鶴橋なので,今朝行ってみたら
 予想以上にコリアンな迷路的市場に感動。

5/27
◆足もとを見られた
 先日,奥さんの友人から質問された。
 玄関を見ると「まともな」靴がないけど
 学会にもこのどれかを履いていくの?
 というのである。
 つい意識させられ「一番まし」なので行く。
 つまり,履き慣れない靴で京阪をめぐる。
 足にマメができたのはそのせいだ。
 いつでもどこでも小汚く,というポリシーを
 守りきれなかった自分の心の弱さ。

5/28
◆食い倒れ?
 大阪ネタをもうひとつ。
 ホテルのフロントで「おいしい店」を尋ねたら
 「彩華というラーメン屋が評判ですよ」という。
 ピリ辛と聞いていたが,要するにキムチラーメン。
 味も,ぼくのつくるラーメン以下だ。
 即席ラーメン+キムチよりもまずいのである。
 店は夜10時過ぎでも満員だったから
 大阪の人はああいう味を好むらしい。
 食い倒れの街ってのは虚妄だったのか。

5/29
◆おとなげ
 友人が書いた本の「悪口」をここで軽くつぶやいたら
 その同伴者(ぼくは面識がない)の名で批判のメール:

  私は読んでとてもいい本だと思いました。[中略]
  ちゃんとした理由も書かずに一方的に
  「賞味期限切れだぜ」はどうかと思いました。
  大学の先生じゃなくても
  あるものを批判したいときには
  それなりの理由を明らかにするのが
  大人というものではないでしょうか。
  斉藤さんのなさった行為は大人気ないと思いますよ。

 ごもっとも,と思い,いつものように即修正。


5/30
◆外国のCM
 風強く,雲の動きも怪しい。
 嵐の予感に心も弾む。
 早めに帰宅し,DVD「世界のCM」を楽しむ。
 GAKKEN(学習研究社)が出した4巻シリーズ。
 全部で7時間と長大だが
 CMの集成なので,いつでも中断できる。
 監修者による解説本も鋭い短評を並べ,読ませる。

5/31
◆ハワイ
 ハワイ大学のコミュニティカレッジでの
 語学研修に毎年20〜30名の学生が参加する。
 今年の夏はぼくがその引率者になる気配。
 うふふ,じつはアメリカに行くの初めて。
 なんだか,ちょっとワクワクするね。

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