2003年
 つぶやき

7/1
◆和風テレビディナー
 録画しておいたサッカーの仏 vs.カメルーン戦を
 ひとりで見ながら夕食をとる。
 近所のスーパーで買ったのは,ご飯の小と
 サバの缶詰,豆腐,もやしの酢の物,もずく。

7/2
◆メルヘン館
 鹿児島市内にある「むだなもの」のひとつ。
 1年のゼミ学生とともに探検に行く。
 鹿児島独特の「メルヘン」は皆無に近く
 ピーターパンなど,定番っぽいものばかりが並ぶ。
 大人の貧弱で低俗なメルヘン観を
 子どもに押しつけて情操教育をしているつもり。
 おまけに出し物は10年前の開館時から不変のまま。
 さすがにお役所だね。
 客を増やすより暇で無事故の方がよい,ってか。

7/3
◆ "8 Mile"
 浪人している息子が観たいと言っていた映画。
 世紀末デトロイトの貧しい人々の暮らしを描く。
 はたして息子はどれだけ理解できるだろうか。
 白人ラッパー Eminem の自伝的な物語だが
 ラップのバトルというのも興味深かった。
 韻を踏むことと舌鋒の鋭さを競い合う。
 日本でも昔は言葉の文化があったような気がする。
 博多にわか,とかね。

7/4
◆ "Bend it like Beckham"
 客はぼく一人の映画館で「ベッカムに恋して」を観る。
 イギリスにおけるインド人の生活と文化を
 ステレオタイプ気味にだが,おもしろく紹介し
 一人で観るのはもったいないような気にさせる。

7/5
◆貧民窟
 鹿児島の小売り業にとって単身生活者は
 マイナーでネグリジブルな存在らしい。
 スーパーのお総菜コーナーに行っても
 一人者向けの総菜や食材パックがない。
 おかげさまで何を買っても食べ残しが出る。
 残った分は冷凍保存するという芸もあろうが
 んなことはめんどい,と思っているうちに
 我が家はスラムの一隅のような様相。

7/6
◆散髪
 なじみのじいさん床屋はまたしても休業中。
 そこでふたたび近くのおばーさん床屋に行く。
 エアコンでなく扇風機で涼む仕掛けも味わい深い。
 おしゃべりも洗髪もヒゲ剃りもなく15分で終了。
 それがここの基本形なのだろう。
 お代は1800円だった。

7/7
◆さらに小食化
 日曜日,午前中から自転車で銭湯に行く。
 お湯は循環じゃないというのが自慢の温泉。
 さすがに湯上がりの肌はスベスベだぜ。
 風呂屋の2階の食堂で「ざるそば」を食う。
 手打ちというが,外観も食感もボソボソだ。
 つけ汁はひたすら甘い。
 途中で食欲を失い,半分残した。

7/8
◆流れる汗
 自転車通勤は快適だが,降りると汗が噴きだす。
 ママチャリ時代は汗知らずだったから不思議なもんだ。
 研究室に着替えがあるわけでもなく
 ただジッとして汗が乾くのを待つ。

7/9
◆南日本銀行
 高校・大学と同窓の男が専務をしている。
 鹿児島銀行よりもっと小さな県内2番手の地銀だ。
 県立短大を鹿児島大学と見比べたときと
 位置関係が相似しているように思えてならない。
 そのマイナー同士でおもしろことをやろうよ,と
 以前に呼びかけたときは反応が悪かったが
 このごろは「南銀も地域貢献をしなきゃならんので」と
 こちらのアイデアに乗る構えを見せ始めた。

7/10
◆鹿児島のダメさを売る
 太田誠一議員の「レイプ=男の元気」発言や
 森喜朗前首相の「石女への福祉不要」発言は
 いずれも鹿児島における会合の場で出たものである。
 その鹿児島は8日に再びすてきなニュース種を提供してくれた。
 県議会は「ジェンダーフリー教育に反対する陳情」を採択した。
 男らしさ,女らしさを失わせてはならないというのである。
 性差解消を唱える書籍を図書館から追放せよ,と
 新たな焚書坑儒をも求めている。
 乱暴というか野蛮というか,絵に描いたような時代逆行ぶり。
 情けない,と嘆くのは簡単すぎるから,ひとひねりして
 これを鹿児島の文化として売りにしようか。
 鹿児島=封建的という既存のイメージを裏切らず
 さらに補強し,鹿児島の蛮風を観光資源にしよう。
 教育の現場ではついでに方言の使用も強制する。
 チャラチャラした言葉を使うやつの首に「標準語札」をかける。
 これも絵になるぞ。

7/11
◆痩せ始めた
 ズボンの腰回りがゆるくなった。
 先日,風呂屋で体重を計ったら70キロだったから
 1ヶ月で3 kg ほど減ってる。
 ダイエット効果てきめん,というやつだが
 このままの勢いで痩せ続けたらどうなる,と
 逆の不安も芽生えたりして。

7/12
◆オヤジ殺し
 オヤジを手玉にとるような学生がいる。
 提出レポートでの「告白」にドキリとさせられ
 どんな女の子かと思えば,肉感的というより
 単なるプクプク系なので少し笑う。
 それでも,昨夜ひらかれた学内の夏祭りで
 事務局のオヤジ連中はその子に群がっていた。
 聞きしに勝るフェロモンの威力だ。

7/13
◆非常識は共有されない
 元気な中小企業のキモは「非常識の発想」にあるという。
 「顧客を減らす」とか「売れないものを作る」とか
 とんでもない方針が逆に利益を生んでいるケースを
 昨夜,NHK教育テレビが紹介していた。
 非常識ならまかせてくれ,と思ったが
 本当のキモはその非常識を経営方針にすることにある。
 つまり,経営者がその方針で組織を動かすこと。
 ひるがえって考えれば,ぼくはこのごろ「丸い」。
 学科の長になったころは「妙なアイデア」を投げかけて
 学科全体に「うねり」を作ろうとしたが
 今や「反対に抗するのは疲れる」ので問題提起すらやめた。
 ま,リーダーの器じゃなかったわけですね。

7/14
◆緑陰読書
 学期も終わりに近いが,講義のネタを仕入れに走る。
 午前中,街の本屋に行って5冊買い
 広々とした中央公園の木陰でひもとく。
 強めの風が心地いいぞ。
 自慢の速読で新書2冊を攻略。(理解度は1〜2%)
 ウィークデーなれど,どのベンチにも人がいて
 あれま,鹿児島もけっこう都会じゃん。

7/15
◆生活音
 裏の家も同じく県の公舎だが,乳児の声がする。
 県庁移転前,そして市電の一路線が廃止される前
 ここは通勤に便利なのでけっこう偉い人が住んでいた。
 今は老朽化が進み,かつ県庁からも遠いため
 喜んで入居したがる人は少ないようだ。
 だから短期出向組の若夫婦にあてがわれたりする。
 隣人は顔も見せぬまま,ここ数年で何組も入れ替わった。
 夏ゆえ窓を開け放っていると
 生活音で隣人の暮らしがわずかにうかがえる。

7/16
◆マッサージ
 盲学校のマッサージ実習のため我が身を投げ出す。
 この齢で恥かしながらマッサージは初体験である。
 だから,もみ方の上手下手はわからない。
 痛さと,くすぐったさが交互に来る。
 他の「客」は「気持ちい〜」などと言っていたが
 そうした法悦の境地は味わえず。
 ただ全身をゆだね,触るにまかせていると
 母に体をさすってもらった幼児期の記憶が
 じわーっと湧いてきて,シミジミとする。

7/17
◆共訳
 レイモン・アロンはサルトルと並ぶ往年の知的スターで
 マルクス主義を批判する頭目の一人だった。
 彼のソルボンヌでの講義録(60年代)が出版された。
 『マルクスのマルクス主義』と題され,けっこう評判だ。
 この本の翻訳に手を貸せ,との依頼が来た。
 引き受けようかな,と思う。
 共訳の方が仕事が進む。
 いや,能率が良いという意味ではない。
 単独での場合は怠けてしまうのである。
 肝心のプルードンやベンヤミン関係の翻訳は
 一人でやろうと思ったばっかりに筆が進まず。
 相手がいれば,いやでも仕事をしなきゃならん。
 じっさい,これまで本になったのは共訳ばかりだ。

7/18
◆サロン
 いつ上京するの?と奥さんから電話。
 大学院の先生が「ご主人に話をしてもらいたい」と
 ぼくの7月中の上京を期待している模様。
 フランスの現代思想について話を聞きたいらしい。
 サロンのような雰囲気で,ともいう。
 なんじゃらほい,てな感じだね。

7/19
◆孤立無援
 わが商経学科は地域との連携を進めます,と
 学外者に会うたびに宣伝してきた。
 しかし,学科内では「勝手な活動」と見なされている。
 「それは学科の決まりではない」と念を押された。
 個人プレーとしては放任された(ようだ)から
 残り半年,学科長の名で勝手な活動を続けよう。
 ともかく学科内での孤立は最近ますます顕著で
 ぼくが夏休み中に家族宅へ戻ることさえ
 おもしろくないから邪魔してやれという空気。
 この場合には「管理職としての自覚を持て」と言われる。

7/20
◆マック同好会
 鹿児島 Apple User Group の会合に出る。
 出席者数は100人を越え,大盛会だった。
 Illustrator や FileMaker の達人による実演を見る。
 ふと気づけば,ずっと口をあけたままでいた。
 集中すると口が開くのは昔からの癖だ。
 お〜い,与太郎〜。

7/21
◆レーザー光線
 ウォーターフロント・フェスティバルという祭で
 うちの学生が50人以上「社会活動」している。
 どんな祭か見ておこうと,夕方出かけた。
 広大な会場に人があふれている。
 しかし,内容は村の祭の単なる拡大版。
 目玉イベントも今どき時代遅れのレーザーショーだ。
 緑の光線が大音量のビートにあわせて宙を舞うが
 その動きや構成には芸も何もない。
 音がひびわれるPA(音響装置)も悲しい。
 2世代ほど昔の企画をそのまま使う方も使う方だが
 レーザー光線の無意味な動きに拍手する観客も観客だ。

7/22
◆魔笛
 ベルイマン監督の「魔笛」DVDを買った。
 モーツァルトのオペラを映画化したもの。
 他にゴダールの「勝手にしやがれ」も購入。
 うちの学校の図書館のDVDコーナーは
 街のレンタル屋と似たような品ぞろえなので
 こうした名画系は自分で買うしかないのだ。
 ベルイマンの「魔笛」はかつて観そこなった映画。
 昔,わざわざ岩波ホールまで行ったのに観られず。
 だから昨夜の鑑賞は余計に力がこもったよ。
 誰かの映画評どおり,「魔笛」の解釈が変わった。
 というか,この齢になってようやく筋が飲み込めた。

7/23
◆商店街診断
 来年には鹿児島にも新幹線が来る。
 駅裏の商店街にも何らかの影響が出るだろう。
 その一帯の通行人調査に,うちの学生も関わった。
 昨日,調査の結果報告を聞く集まりに行く。
 しかし,診断員による分析は中学生レベルでがっかり。
 わざと凡庸に仕立てるのがプロの手か?
 雇い主(=市)は鋭い分析など求めていず
 調査と診断の完了という形だけを求めるから?

7/24
◆シンポジウムの打ち合わせ
 鹿児島にとって新幹線はプラスかマイナスか,なんて
 「何をいまさら」と笑いたくなるようなテーマで
 シンポが企画され,ぼくもいちおうパネリスト。
 PRしないので一般の聴衆は来るはずがない。
 シンポ開催という事実づくりに意義があるようだ。
 ぼくは企画者の怪しい意図を感知しながらも
 押しの強さに負けて,連座するハメに。
 地域と結びつく商経学科をアピールしてきた手前
 こうしたテーマのイベントは断りにくいのよ。

7/25
◆ゴーヤ
 苦瓜の料理に初挑戦した。
 料理というのも恥ずかしい,単なるおひたし。
 失敗するはずもない簡単料理だが美味なり。

7/26
◆喫茶店でランチ
 A定食(焼き魚)600円の看板を見て入る。
 ゲーム機のテーブルという「古さ」が懐かしい。
 ほかの客も「それっぽい」ぞ。
 ウェイトレスのぞんざいさもうれしい。
 ゾクゾクするほど型どおりの田舎のスナック。

7/27
◆自由分散性
 非常勤講師との交歓会は学科の恒例行事だが
 昨夜は,転出する同僚の送別会も兼ねた。
 つまりダブルで大事な会なのに,集まりが悪い。
 チームの意識の希薄化がますます進んだようだ。
 学科の改編にとっては好都合な流れでも
 自分が切り捨てられる側なら背筋が寒くなる。
 お前もセルフ・ヘルプに励め,ってか。

7/28
◆冷凍する?
 同僚の「つましさ」に学ぼうとした。
 夜10時頃,スーパーの総菜を半額で買い
 ラップして冷凍保存するのだそうだ。
 こうすれば月3万円で暮らせるという。
 この人は六本木ヒルズの横に自宅を
 そして鹿児島空港の近くに別荘をもつ。
 ふだんは月額7千円の官舎に住み
 上述のとおり「つましく」暮らしている。
 ぼくもマネして総菜を冷凍した。
 レンジでチンして食べたが,味も食感も劣化。
 解凍のしかたにコツがあるのかなあ。
 それとも食べられればそれでいいってこと?

7/29
◆アラビア語
 教育テレビでアラビア語講座が始まった。
 短期の集中講座だから毎晩ちゃんと見よう。
 わけのわからなかった文字の形が
 しだいに理解できそうな気分になり
 ワクワクしてくる。

7/30
◆ Sweat and Tears
 校内の机・イスを移動する力仕事で汗をかく。
 校費2割削減で,教職員の労働奉仕も増えた。
 他方,放送大学や「生命の学習館」を祭った
 県の豪華施設「県民交流センター」は
 ランニング・コストだけで年間 5億3400万円
 つまり,職員賃金を除いても一日 146万円かかる。
 その蕩尽に比べると,こちらの貧困はまさしく涙もの。

7/31
◆減量は底を打つ
 2ヶ月のダイエットで約6キロ減量した。
 いまでは夕食のごはんも「小」で足りる。
 不足しても肥満部分を燃焼させて
 体力を維持してきたようだ。
 しかし,それも底を打った感じがする。
 昨日,ふと甘いものが欲しくなり,そう思った。

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