2003年
 つぶやき

8/1
◆締め切り間近
 経済学史学会年報の原稿締め切りは8月末,
 と思いこんでいたのは,とんだ間違い。
 投稿規定をよく読むと「8月10日必着」だ。
 ひえー! 計算が狂ったぜ。
 夏休み中にチャッチャと仕上げる予定だったが
 8月8日までは学校の仕事があるんだよ〜ん。

 [後記:投稿先を日仏社会学会年報に変更した]


8/2
◆挨拶上手の人
 外部から講師を招いて職場で講演会。
 開会の挨拶は長いうえに無内容だった。
 しかし,空疎な言葉を長く連ねるのは一つの才能だ。
 意味の充満を求める方がまちがっている。
 それも一種の「真空恐怖症」。
 セレモニーでは,言葉を流れるように紡ぎだすのが
 礼儀にかなう大事なことがらなのである。
 これがぼくにはできない。

8/3
◆炭酸飲料水
 甘味飲料水を遠ざけること,すでに2ヶ月。
 しかし,冷蔵庫にはちゃんと入っている。
 昨夜,ついに1本とりだして飲む。
 五臓六腑にしみわたるとはこれか。
 ひとり深夜しみじみと幸福感に浸る。

8/4
◆焼き魚
 自炊の内容がしだいに「高度化」している。
 干した魚を焼くのは既習得なので
 こんどは味噌漬けの魚を焼いてみた。
 焼き加減を適当にしたせいでもないと思うが
 全然おいしくないんだな,これが。
 一切れ百円の安モノだからだろうか。

8/5
◆まちづくりシンポジウム
 聴衆は多くても20名ぐらいと踏んでいたら
 100名ほど集まったので少し驚く。
 ぼくはいつものように持ちネタを披露した。
 まちづくりには「バカモノの存在」が重要不可欠。
 そのバカモノを育て,あるいは励ます環境を
 この鹿児島につくることができるかどうか。
 西郷隆盛の「私学校」の精神は
 我が商経学科が受け継ぐ,と力説した。

8/6
◆学生自治会
 学校に対する学生たちの要望を聞く会に出る。
 代役だから黙って座っていればよいのだが
 何だか途中からムズムズしてくる。
 学生たちは「トイレのドア内側にフックを」などと
 ごく控えめな要求を小声で言う。
 回答は「県費節約のおり予算がない」と冷たい。
 んなもの,ぼくが日曜大工で作ってやろうか。
 その他の件についても教員側の回答はくだらない。
 ぼくが学生なら「首でも締めたろか」と思うような
 官僚的答弁を担当の教員がいい
 司会役の教員が同じ言葉を要約せずに反復する。
 人をうんざりさせるような時間の空費が
 こういう場での正しい型なのだろう。

8/7
◆上京延期
 台風接近で8日の大学見学会は延期。
 鹿児島大学は中止したのだから
 横並びで中止する手もあるのに
 「だからこそやる」という正論におされた。
 けっきょく上京は13日以降になりそうだ。
 受験生の息子の生活が乱れているらしい。
 父親の出番だよ,と奥さんから要請が来たが
 息子にむかって何かが言える,とも思えない。

8/8
◆台風対策
 職場のワインパーティーに出て,最終のバスで帰る。
 ほかに乗客がいないせいか運転手が話しかけてくる。
 夕方の豪雨は10年前の水害並みでしたね,という。
 あのときはぼくも……,と話に絡もうとしたが
 運転手は割りこむスキを与えず
 自分は450万円の車を失ったなどと自慢する。
 下車するまぎわには,食糧の備蓄をすすめられた。
 なるほどと,スーパーに立ち寄れば
 弁当も食パンもバナナも売り切れ。
 みな同じことを考えているようだ。

8/9
◆手弁当
 奥さんが通う大学院での勉強会に招かれている。
 サロンのつもりで気楽に,と誘われたのだが
 突然「講義の題目を知らせろ」との要請。
 こ,講義かよ!
 講義だと1〜2万円ほど謝礼も出るらしい。
 奥さんに「謝礼はいらんよ」というと
 「いらないわよねー」と返事は軽い。
 そういえば,4日のシンポジウムも手弁当だった。
 謝礼をあてにしていたわけではないが
 商工会議所では足代はおろか昼の弁当も出ず。

8/10
◆麻のジャケット
 夜2時,蚊に刺されて目を覚まし
 寝つけぬままテレビで深夜映画を観る。
 「真夏の出来事」(1996)という三流サスペンス。
 ハーベイ・カイテルのヨレヨレの服に目が行く。
 ああいうの着たいと思っているせいだ。
 じつは先日デパートに立ち寄ったのだが
 値札を見てすぐに退散した。
 根がケチなので,あきらめるのも早いのよ。
 でも,来月のハワイ研修に着ていく服がないから
 それらしいのを買わねばならない時期ではある。

8/11
◆バリカン
 新しい床屋に入ってみた。
 刈るのは聾唖の青年で,店の主人が注文を聞く。
 「バリカン,やっていいですか?」
 これは「始めていいですか」の意と思い,うなずけば
 なんと,本当にバリカンでの散髪が始まった。
 電動バリカンで作業は速いが,その速さがこわい。
 不安は的中し,しっかり刈り上げられる。
 父によく似た顔の老人が鏡に映る。

◆眼鏡屋
 4年前に買った眼鏡のレンズのみ交換する。
 3万6千円と安くはない。
 小さな店の,まじめそうな主人の
 丁寧な対応を思い出し,再訪したのである。
 これも自分なりの「まちづくり」実践。


8/12
◆あら煮
 毎日魚を食べようと決めて2ヶ月。
 減量が進んだいまでも律義に続けている。
 たまには煮魚を,と回転すし屋に行き
 「あら」の山盛り,一皿110円をとる。
 時間をかけて肉をホジホジする。
 しかし,やっぱり目玉のところは苦手。

8/13
◆大学見学会
 古本屋で買ったビジネス本からヒントを得た。
 「教わったことは身に付かんちゅうこっちゃ」
 このフレーズをいただく。
 大学見学会に来た商経学科志望者に向かって
 「うちの学科はものを教えません」と言い放ち
 「学生の心に火をつける」と美しくしめくくる。
 ひとり汗をかきながらしゃべったが
 言葉が届いたかどうか不明,という不明。

8/14
◆「トップ・ハット」
 小型のPCを求めて秋葉原をうろつく。
 これは,というマシンは見つからず
 ふと目にとまったDVDソフトを買っただけ。
 ミュージカル映画"Top Hat" (1935)
 フレッド・アステアが軽やかに踊る。
 最近のイギリス映画「リトル・ダンサー」でも
 1シーンが借用されていた歴史的作品だ。
 3800円が2800円になっていたので買う。

8/15
◆我が家で3台目の i Book
 旅先携行用に,結局 i Book(VRAM 32MB)を買う。
 定価12万4800円をヤマダ電器では13%還元。
 ほたて型の旧 i Book(3年前に買って今は動かない)の
 Air Mac(無線LAN)や増設メモリー128MBが
 再利用でき,ムダにならず,うれしい。
 まっ白の外観はやや間抜けだが
 ソフト移転に一日を費やし「使える武器」に変えた。

8/16
◆アジア映画
 レンタルビデオ屋でDVDを借りまくっている。
 国立市の小さな店だがマイナーっぽい作品が揃う。

8/17
◆クローン作成
 OSばかりでなくアプリケーションも込みで
 丸ごとバックアップできるソフトがあった。
 Carbon Copy Cloner というフリーウェア。
 FireWire(IEEE1394)というケーブルで
 i Book を別のマックにつなぎ
 T[Target の T]のキーを押しながら起動すれば
 i Book が外付ハードディスクとして認識される。
 こうして別のマックの内容をそのまま i Book に移せる。
 ほぼ1時間でクローンの作成作業は完了した。
 な〜んだ,簡単じゃん。

8/18
◆アイリス・マードック
 お盆が明け,バーサンのデイケアも再開した。
 DVDで英映画「アイリス」を観たが,他人事と思えぬ。
 Iris Murdoch といえば"The Flight from the Enchanter"や
 "Under the Net","The Bell"を学生時代に読んだ。
 そのとき感動したという気分は覚えているが
 しかし今,いずれの粗筋も断片も思い出せない。
 ただ文字を目で追い,すべてのページをめくって
 それで「英語の本を読んだ」気分になっていた。

8/19
◆昔の住処
 夜9時ごろになると,犬が散歩をせがむ。
 散歩コースには院生時代の後半に住んだアパートがある。
 家賃がめちゃ安なので,その後も借り続けたが
 この春,ついに取り壊され,いまは駐車場。
 大学構内にあった院生寮もすでになく
 また,すぐ近くの学生寮も近日解体の気配。
 現在,工事用フェンスに囲まれている。
 [後記:フェンスには「国際交流会館」と書かれている]

8/20
◆情報提供料1万円
 奥さんに連れられ,津田塾での「お勉強会」に行く。
 第2言語教育や日本語教育の教員とか
 院生やOGらが集り,本日はぼくが講師役。
 「哲学と思想」の大まかな流れと現状について
 午前10時から1時間の講話と1時間の討論。
 内容はともかく,一応それらしい形になった。
 「情報提供料」と書かれたお包みをいただく。

8/21
◆神経痛
 背中というか肩の後ろが痛い。
 こういうのを神経痛というのだろうか?
 病名は知らないが,この症状はときどき現れる。
 昨夜は寝返りをうつのも痛かった。

8/22
◆脳の活性化
 バーサンがとつぜん話しかけてきた。
 「鹿児島はどちらにお住まいですか?」
 言葉を発すること自体も珍しいが
 ぼくが娘婿だとわかっているらしいことにも驚く。
 自分の実の息子は見分けられない人だからね。
 デイケアに行った日は頭脳が活性化し
 ときどき回路がつながるのよ,と奥さんはいう。

8/23
◆ Idealtypus
 一橋大学図書館の古典資料センターにいたら
 かつて長く師事してきた先生と出会う。
 先生のような「研究者」を範型としてきたため
 そうなれない自分を「ダメなヤツ」と思い続け
 その呪縛からなかなか解放されなかった。
 先生からも愛想を尽かされたが,そのおかげで
 このごろようやく平気で生きられるようになった。
 つまり,世の中をなめて,陽気に生きている。
 平然と「研究者でござい」てな顔をしている。
 先生の顔をひさしぶりに見て,また落ち込んだ。
 先生はぼくを横目で見ただけで何も言わず。
 ぼくも最初に目礼しただけ。

8/24
◆パンの耳
 お昼用のフランスパンを買いに西国分寺へ行く。
 駅ビル内の「サン・ジェルマン」というパン屋だ。
 犬のために「パンの耳もください」とたのむと
 「あと5分でできあがります」という。
 変だなと思いつつ,隣の本屋で時間をつぶす。
 戻ると,注文したものはすべて袋に入れられていた。
 帰宅して袋をあけたらパンの耳はない。
 入っていたのは Pain de mie[パン・ド・ミ]
 すなわち「ノーカットの食パン」一斤だった。

8/25
◆ Carpe Diem[今を生きる]
 浪人中の息子が朝からデートに出かけた。
 夜12時になっても帰って来ないので
 母親が携帯で叱り,帰宅を促した。
 「お父さんも叱ってよ」というが,叱れない。
 受験期だからガマンすべきこともある,なんて
 正しいことなのかどうか,よくわからない。

8/26
◆デジカメで複写
 雑誌を買わずにカメラ付き携帯で記事を写すヤツは
 本屋にとって万引きと同じくらい迷惑だという。
 図書館の場合はどうだろう?
 古い書物は大きく開くと背が傷むから
 コピー機よりもむしろデジカメで複写するほうがよい
 と勝手に判断し,古典センターで数枚写してみた。
 小型のデジカメ(SONY U-20)をスパイ風に用いる。
 片手での撮影ゆえ少しブレたが,ま,読めなくはない。

8/27
◆バネ指
 ふと気づけば,このごろバネ指の症状が出ない。
 健康ってのは無自覚だからね。

8/28
◆杉浦茂
 NHK-BS で杉浦茂の漫画を語る座談会を観た。
 みなもと太郎(56)は夏目房之介(53)と同世代扱いされ
 「小学生のとき6年生と3年生じゃ別の世代」と反発した。
 そうだよな〜,と思う。
 また,一同が杉浦茂のもたらす「幸福感」を語るとき
 これにも大きくうなずいてしまった。

8/29
◆リバウンド阻止
 2週間前,家族のところへ帰ってから
 ご飯を食べまくり,体を動かさないので
 体重が上昇し始め,ちょっとあわてた。
 修正の効あって,体重はふたたび下降傾向に。

8/30
◆バイクの故障
 オートバイ(250cc)のメーターが動かなくなった。
 息子に代わって父親がオートバイ屋まで運んでいく。
 スピードメーターのケーブルが切れていた。
 部品代1040円,修理代1600円。
 パソコン関係の修理よりはるかに安い。
 修理の難易度に差があるとは思えぬのだが。

8/31
◆わが身さえこそゆるがるれ
 犬づれで散歩をすれば道ばたで遊ぶ子らに出会う。
 小さな女の子が熱心に縄跳びをしている。
 見ていて涙が出そうになった。
 わが娘の小さいころの姿がダブる。
 いまは成人し,昼夜逆転の生活をしているが
 昔は体を動かすのが大好きな子だった。
 父親は娘の飛び跳ねる姿を見るだけで幸せだった。

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