2003年
 つぶやき

11/1
◆一人で映画祭
 渋谷で催される国際映画祭の記事を新聞で読み
 いろんな国の映画を観てみたくなった。
 んで,レンタル DVD で一人映画祭をやる。
 「旅立ちの汽笛」(キルギス,2001)と
 「少女の髪どめ」(イラン,2001)
 前者はキルギスタンの思春期グラフィティ。
 後者はイランにおけるアフガン難民の話。

11/2
◆仁義なき闘い
 どこの店も閉店時間が遅くなった。
 国立市では,あの紀伊国屋でさえ……。
 紀伊国屋の夜の繁盛ぶりに,ちょっと白ける。
 近くのSeven-Elevenも24時間営業になるし
 小商店は生き残る隙間すら奪われる。

11/3
◆天下市
 一橋大の学園祭と合体した国立市の祭。
 子どもを肩車して歩きまわったのも今は昔。
 去年は上京せず,連休を鹿児島で過ごした。
 (おかげで「おはら祭」を初めて見物した)
 今年は上京したが,遊び相手もいない。
 うたた寝するバーサンの傍ら,DVD で映画鑑賞。

11/4
◆長命を寿ぐ,か
 バーサンがますますワイルドになっていく。
 バーサンが動けば家族の悲鳴が聞こえる。
 「きゃ〜,おば〜ちゃ〜ん,何してんの〜」

11/5
◆4年制化せず
 鹿児島県は県立短大を4年制化しないと決めた。
 長期計画から「4年制を検討する」の文字が消えたのだ。
 学内からは自嘲めいて「めでたい」の声も聞こえる。
 当面このままで存続する,とも思われるからだ。
 東京都をはじめ,よそでは大きな動きがあるが
 鹿児島県は「な〜んにも考えていない」みたいで
 その意味でも「おめでたい」というべきか。

11/6
◆バンザイ突撃
 われわれの学科の存在(ありがたみ)は
 設置者である鹿児島県には認知されず。
 ならば,これまでの「媚び」も放棄して
 本来の「批判者」的ポジションに立ち返り
 めちゃくちゃなことをしよう。

11/7
◆英文レジュメ
 学会の研究年報を現在編集中だが
 ほかの人の分のDTP作業を終えた。
 ようやく自分の論文を入力しようとして
 ファイルを開けたら,英文レジュメが消えている。
 レジュメだから,書き直してもいいが
 論文そのものの中身も忘れかけている。
 (その程度の内容ってことなんですがね……)
 半分泣きそうな気分で机の周辺を探しまくり
 反故紙の山から,この論文の試し刷りを発見。
 思わずほほずりした。

 [後記:レジュメはこのWebページに載せていた。
  それを忘れておいて,あわてふためいたわけだ。
  あとで思い出し,ひとり赤面する]


11/8
◆ジーコジーコ
 研究室の電話が壊れていた。
 着信音が鳴らないのである。
 ちっとも電話がかかってこないので
 このごろ静かだな,とは思っていた。
 昨日,大事な連絡が来なくて一騒動を起こす。
 電話機を替えてもらったが,これが旧式の黒電話。
 丸いダイヤルを指で回すのも味わい深いぞ。

11/9
◆小用
 このごろ決まって明け方に目を覚ます。
 一度トイレに行って,また寝る。
 はっきり言って「ジジイ化した」わけだ。
 当初は,この現実が飲み込めず
 目を覚ましたら,そのまま起床していた。
 だから昼間とっても眠たかった。
 いや,昼のうたた寝も気持ちいいもんですけどね。

11/10
◆洋服の青山
 12日の商工会議所訪問用に,服を買う。
 ジャケットを1つ買うつもりで青山に行く。
 店員が「スーツなら2着目は千円です」という。
 その言葉にグラッときて,フラフラと試着し
 流れに乗ってスーツを2着も買ってしまった。

11/11
◆お断り状
 非常勤講師の数名に「来年度は不要」と断る手紙を
 出さねばならないが,経験がなく,知恵もない。
 これまでは教務担当教員が代理で処理していた。
 今の担当者は「いっぱい,いっぱい」の状態で
 断り状の作成は学科長の仕事だといってきた。
 で,事務局で文例を探すが,適当なのがない。
 しかたなく一から作文することになる。
 ところが,まだ一行も書けない。
 つまり,ぼくも「いっぱい,いっぱい」

11/12
◆文化祭
 県民交流センターは県の愚政の産物といわれ
 荘厳な外観のわりに中身は中途半端。
 どこか安っぽさの漂う,そのホールにて
 うちの大学祭の一環,文化祭が催された。
 つたない芸でも身内がやることゆえ
 思わず感動してしまったりする。
 保護者っぽく,批評眼もゆるむ。

11/13
◆第一級正装
 スーツにネクタイ姿で歩く。
 朝,商工会議所の「偉い人」に会ったからだ。
 学内では「へ〜,珍し〜」と言われ,うれしい。
 調子にのって,毎日着て来ようかな,とも思うが
 そうするとインパクトもなくなるわけで……。

11/14
◆県民交流センター
 うちの夜間部入学案内の紙を置かせてもらう。
 自宅の近くゆえ,スーツを着て徒歩で行く。
 事務室で「これを置かせてください」と頼むと
 若い女性→後ろのおじさん→さらにその後の……
 と,目の前で伝言ゲームが進み
 ようやく一番後のおじさんが出てくる。
 そして,事務室入り口そばの机を指差す。
 そこはゴチャゴチャわけのわからない紙の山。
 「あの〜,総合案内のカウンターに置かせてください」
 「何で!」
 「もう少し目立つところに置きたいので」
 「あそこはね!センター関係だけ」
 「あの〜,他のものもあるようですが」
 「何!」
 階段を下り,カウンターを見て,許可が下る。
 センターは教育委員会の管轄なので
 この人も元はどこかの「先生」なのだろう。
 いばり方が板についていた。
 こちらはひたすら「へりくだり」を楽しむ。

11/15
◆行幸
 朝10時前,自転車で街まで買い物に。
 国道の各所に警官が立ち,人が群れる。
 天皇・皇后が通るらしい。
 「自転車の人は降りてください」と言われ
 押し歩きし始めると,また声をかけられる。
 「あと1分で車が通ります。見ていきませんか」
 警察と思えぬ,軽いノリである。
 好奇心に負け,足をとめた。
 先導の車は2台,と意外に簡素な陣容で
 その車は通過して行った。
 黒スーツの若者が「天皇陛下バンザイ」を連呼するが
 唱和する者は数名で,その少なさも意外。

11/16
◆生涯現役社会
 NHKの討論番組で高齢者問題をやってた。
 65才以上の人にも働く場を,というテーマ。
 慶応の清家篤が一手販売しているテーマである。
 パネリストに一橋の米倉誠一郎がいた。
 やつが何を言うか,興味を引かれて観る。
 「ジジイになってまで働く意味があるか」
 フムフム,逆張りで人の意表をつく手法だ。
 ぼくにもなじみの手口だが,米倉は数枚上手。
 テレビ慣れしているし,芸もある。
 しかし,しばらく聴いていると,やはり底浅。
 切実さを欠いた口先の芸だからだ。

11/17
◆R2
 学園祭で,スバル自動車の宣伝パンフをもらう。
 12月発売の軽自動車「R2」に心ひかれる。
 昔のメッサーシュミット2人乗り3輪車を思い出す。
 (どちらも元は飛行機会社)
 スバルの2人乗り「R1」は発売されないらしい。
 しかし,とにかく来年は2人乗り以上の車を買い
 新しいモテモテ・ワールドに突入したい。

11/18
◆写経のおもむき
 日仏社会学会年報の編集が終わり,印刷屋にわたす。
 つぎはレイモン・アロンの翻訳に取り組む番だ。
 翻訳ってのは写経に似ている。
 文字を書き写しているだけだが
 何か善いことをしているような気分になれる。
 淡々と作業をしていると心も癒えてくる。

11/19
◆カップ麺
 ダイエットの流れで,即席ラーメン類は敬遠してきた。
 しかし,学内生協にならぶカップ麺を見て
 つい「禁」を破り,夜の講義前に食す。
 根がビンボーゆえ,おいしいと思う。
 最近はもう「まじめな」ダイエットをやめたのに
 腕時計はますますユルユルなってきたから
 体が炭水化物を求めているのかもしれない。

11/20
◆学内行政
 小さな職場でも人事問題はオオゴトだ。
 ぼくは管理職ながら,そもそも人徳がなく
 自分でもその方面は不得意だと思う。
 それでも管理職ゆえ人の配置は考えねばならぬ。
 その方面で力をふるうのに長けた人は
 耳打ちなどの小技で人々を動かせる。
 ぼくにはできぬ技だ。
 昨日,別の人が怒鳴り込んできた。
 自分の意にそわぬ人事は許さぬ構えだ。
 「まだ何もしてないんですが」というのに
 勝手に腹を立てている。

11/21
◆旧友
 大学時代からの友人とこのごろ毎週会う。
 うちの学校に非常勤講師として来ているからだ。
 講義のあと,いっしょに昼食をとる。
 昔みたいにバカを言って楽しむ。
 おしゃべりを楽しむ文化から離れて久しい。
 鹿児島ではぼくの話は人を興じさせず
 むしろ憤らせることの方が多い。

11/22
◆非常勤手当
 うろ覚えだが,水田洋の『わが精神の軌跡』によれば
 水田は名古屋大の教職員組合で旗をふり
 非常勤講師手当を回数払いでなく月割に変えた。
 講義は1回幾らではなく,全体でひとまとまりのもの
 という理屈を展開したのである。
 うちの学校はいまでも授業回数で賃金を支払う。
 したがって,しばしば予算を消化しきれない。
 ところが,教員たちはこのシステムを疑わぬばかりか
 非常勤講師の無断休講を問題視する。
 空出張と同種の不正で許せない,と憤る。
 教育の自己点検作業などは面倒くさがるのに
 「決まりは守りましょう」の類には燃える。

◆チャリ走行1000キロ
 自転車につけた走行計が1000キロを超えた。
 めでたい。
 月間走行,約300キロってとこかな。
 自動車(ミゼット)には雨の日しか乗らない。
 買い替えたいのにその必要もなさそうで困る。


11/23
◆ブコウスキー
 街の大型書店でブコウスキーの本を発見。
 『酔いどれ紀行』が文庫で出ていたのだ。
 なつかしい悪友に出会った気分。
 さっそく買い,脱力感たっぷりの文章を味わう。

11/24
◆ツイン
 スズキの2人乗り自動車「ツイン」が気になる。
 デザインがかなりショボイので
 購入の対象からはずしてきたが
 このごろはその不細工さに心がひかれる。
 とにかく新車を買って県内のあちこちに行きたい。
 初めて鹿児島に来てオートバイで走り回った昔のように
 新しい気持ちになり,新しい発見を求めたい。
 来年は授業の日以外は「地方視察」に励む。
 う〜,考えただけでワクワクするな〜。

11/25
◆顧客の顔
 どうせ飲むなら珍しい芋焼酎を飲みたい。
 そのための店を3軒押さえてある。
 一つは鹿児島三越の地下で,二つは近所の店。
 とはいえ,どこにもめったに行かない。
 ところが三越地下の店員は人の顔を覚えている。
 前に●●を買われましたね,と声をかけてくる。
 2回買っただけなのに,と少しビックリ。
 一方,近所の店のおやじは客の顔を覚えない。
 ほんとうなら逆だろう,と思う。
 小商店の方が顧客を大事にしそうなのに
 これが鹿児島の鹿児島らしさか。

11/26
◆ちろりんラーメン
 もやし,ニラなど野菜入りのラーメンをつくる。
 夜,ひとりテレビに向かって食す。
 昔,大学の寮で過ごした時代を思い出す。
 寮の食堂で夕食にキャベツなどがつけば
 それは食べ残して部屋に持ち帰る。
 部屋の石炭ストーブ(!)で夜食をつくるのだ。
 寮内で売っている即席麺「ちろりんラーメン」も
 野菜を入れるとそれなりに「いける」。
 昨夜,野菜入りラーメンをおいしいと思ったとき
 食生活がほとんど向上していないことに気づく。

11/27
◆足下がおぼつかない
 国道3号線を横断するとき,こけて倒れた。
 歩道と車道を分かつ縁石に気づかず
 走りながら,つまづき,勢いよく倒れた。
 横断歩道の上なので,車にひかれることはなかったが
 それなりに見ものであったろう。
 横断歩道でこけるような齢になって悲しい。

11/28
◆ギター
 20年ぶりにギターを取り出し,弦を替える。
 生活スタイルの一新に向けた準備の一環である。
 ギターケースは大学に入ったとき買った安物。
 そのペコペコの手触りもなつかしい。
 裏に自分の名前を書いた,その文字すらなつかしい。

11/29
◆研究会
 大学院時代の恩師の「講演」を聞くために上京した。
 先生はフランスで勲章をもらったが
 それを「祝おう」というと先生は嫌がるから
 研究会で先生の話を聞くという形の集まり。
 今日はうちの奥さんも別の研究会で発表する。
 奥さんは早朝,新幹線で仙台へ行った。
 土曜でバーサンのデイケアもお休みゆえ
 バーサンの昼食はぼくが準備しなければならない。
 朝はバーサンが一人でパンを食べていた。
 バターを指ですくい,食パンにこすりつけ
 ワイルドにガシガシ食べている。
 息子が「バーちゃん!何してんの!」と叫ぶ。
 バターではなく,ハンドクリームだったからだ。

11/30
◆座薬
 先生の講演後の飲み会もけっこう盛会だった。
 ぼくの前に座ったご婦人は音楽家で
 話すうちに,ぼくの知り合いの知り合いだとわかる。
 どうやらクラシック音楽業界も狭いようだ。
 ぼくの知人の好人物ぶりを話題にすると
 彼女の反応は微妙であった。
 「あの方はドイツで体をこわしたとき
 医者から薬をもらったものの言葉がわからず
 座薬を口から飲んだのよ」と笑う。
 有名な話よ,ともいうが,かすかに悪意がこもる。

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