2004年
 つぶやき (2004年1月から配列を変えました)

1/1
◆憤る社会学者という矛盾
 ブルデュー絡みで論文を書かねばならぬようだ。
 いまさらブルデューかよ,という説もあろうが
 公憤というものについて考えてみるチャンスだ。
 相対主義者は何を根拠に憤れるか,を考えたい。

1/2
◆ STABILO
 電話機の横にスタビロの水性ペンがあった。
 フランスではごくありふれた文房具だが
 ひさしぶりに目にしてなつかしい。
 新しいのを買おう,と街に出たら
 そこらの文房具屋には売ってなかった。
 じつは娘がソニープラザで買ったものだった。
 そこらで買えないとなると,ますますほしくなる。

1/3
◆パニック障害
 下の息子(浪人生)は筋肉モリモリで
 ちょっと見ではマッチョな野郎だが
 パニック障害と肋間神経痛をかかえる。
 こういうところだけ父親似ってのも悲しい。

1/4
◆帰鹿
 上の息子も奥さんも修士論文の提出日が近い。
 プリンターもこのところ大回転。
 奥さんは4〜5日,研究会のため日中は不在。
 つまり,もはや正月ではなくなった。
 ならば,ぼくも鹿児島に帰ろう。

1/5
◆学長の講話
 鹿児島にいるのだから,職場の仕事始め式に出る。
 学長(堀田満)の短い講話を聞く。
 大学激変の波は早晩うちにも来るから
 それに備えて基礎体力を向上しよう,という。
 これは個々人の業績向上を意味するだけでなく
 組織としての「個性」を磨け,というものだ。
 新儀停止(しんぎちょうじ)の空気が支配するなか
 学長の話はいつものように聞き流されてしまった。

1/6
◆ヒッチハイカー
 山奥の露天風呂を求めて夕暮れの田舎道を走る。
 道端で手をあげる中年男を見かけ,停車すると
 聾唖者で,両手をあわせ「乗せてほしい」のしぐさ。
 この車にとって最初の同乗者となる。
 男は病院名を書いた紙を見せる。
 かなり遠方だが,こちらも急ぐ旅ではない。
 車中でも男はしきりに謝意を表現する。
 自分もいつかは障害者となる身ゆえ
 お互いさま,と思えど,知らん顔で通した。
 男は降りるとき金を払おうとする。
 断ると,もっていた弁当まで差し出してくる。
 全然ヒッチハイクに慣れてなさそう。

1/7
◆炊飯器
 7〜8年前だったか,家で使っていない炊飯器を
 息子(当時小学生)に持って来させた。
 炊飯器を抱えての旅は恥ずかしかったらしい。
 この炊飯器は鹿児島でも未使用のままだったが
 ようやく本気で使う気持ちになった。
 夜,スーパーでお米を買って帰宅する。
 ところが,炊飯器にコードがついてなかった。
 ハラホロヒレ。

◆ナメクジ
 台所に現れたナメクジは丸々と太っていた。
 一方,冷蔵庫の裏でゴキブリが餓死している。


1/8
◆IH=Induction Heating(電磁誘導加熱)
 中古の炊飯器なら200円ほどで買える,の噂に
 リサイクルショップ生活創庫へ行けば
 小汚い品でも3500円なのであきれる。
 で,ヤマダ電機に行くと新品が6000円以下だ。
 それを買う気でいたら店員が寄って来て
 「おいしいご飯を作るならIH炊飯器」とささやく。
 値段は3合炊きで1万5000円を超えるが
 「味がぜんぜん違います」と背中をおされる。
 しかし,そこはふんばってこらえ,店を出た。
 ベスト電器に行くと5合炊きで1万2000円。
 もう勢いがついていたので買ってしまった。
 IH炊飯器を使った感想=ご飯の味は普通。

1/9
◆蝶ネクタイへのクレーム
 追加注文しておいた蝶ネクタイが届いた。
 前の3本とあわせて総数6本。
 ところが新しい3本は前のものより長さが2インチ短い。
 長さ調整ができないタイプゆえ,ちょっと問題だ。
 店にクレームというか質問のメールを出した。
 翌日つぎのような返事が来た:
 The ties should be fine on you regardless of the 2 inch difference.
 バカにされているような気もするが
 交渉事は面倒くさいので,そのままにする。
 ただし,この店(Kotty Design)からはもう買わない。
 んで,憤りにまかせて別の店にまた3本注文した。
 そんなに買ってどうするんだ?と理性の声。

1/10
◆スズキのツイン
 1月にマイナーチェンジの噂は正しかったが
 ボディカラー追加のみの単なる値上げ。
 最廉価のものは白一色のまま6万円の値上げ。
 ぼくは12月に買っておいてよかったよ。
 来週,初期点検ついでにカーオーディオを装着する。
 他の車から取りはずしたスズキの純正を
 安くするから,というので買うことにした。
 アンテナ,スピーカーも新規に取りつけ,総額2万5千円。
 また,Webサイトでツインの改造コーナーをみると
 助手席を後に倒せるようにするのは
 簡単な作業でできるらしいので
 来週の点検のさいに工具を借りて自分でやる。

1/11
◆キューバクラブ
 隣の研究室は土曜になると人であふれる。
 鹿児島のキューバファンが集まるからだ。
 キューバの研究をしている教員が
 市民によびかけて「キューバクラブ」をつくった。
 うちの教員の多くは小賢しく,労を厭うが
 こういうバカなことをして楽しむ者もいる。
 捨てたもんじゃないな,と思う。
 バカがいてこそ大学だ。
 小役人みたいな教員ばかりじゃつまらない。

1/12
◆鄙の暮らし
 休日のドライブなんて,趣味でもなかったが
 車の慣らし運転を早めに済ませる,を口実に
 このごろはけっこうイソイソと出かける。
 おかげで日々の気鬱も少しは晴れる。
 幹線道路をはずれ,なるべく田舎を走る。
 どんな山奥にも人間の暮らしがある,と感心する。
 そこで展開されているであろう人間ドラマを
 あれこれ想像し,勝手にシミジミとする。

1/13
◆父の供養
 紀田順一郎『翼のある言葉』(新潮新書)で
 あれこれの「名言」を読みながら父を想い出す。
 父は無学ゆえに「学問好き」だった。
 偉い人の言葉をノートに書き写し
 壁には「日めくり論語カレンダー」をかける。
 ぼくはその漢文の意味を父に尋ねた。
 われ知らずのうちに親孝行をしていたわけだ。
 今日も,こうして父のことを想い出し
 そして,ぼくの場合,想い出せばそれが供養。
 じっさい父の墓には納骨のときに行ったきり。

1/14
◆懐メロCDを自作
 車につけたCDプレーヤーは快調で,いい気分。
 インターネットラジオから50〜60年代ポップスを
 ダウンロードしてCDに焼きつけた。
 曲は"Sixteen tons ..." から始まり
 いずれもガキの頃よく耳にしたものばかり。
 福岡の田舎(八女)で過ごした日々の思い出は
 こうしたアメリカンポップスとワンセットだ。

1/15
◆一人でしゃべってる
 学生による授業評価の結果が出た。
 いつもより若干ポイントが高くてうれしい。
 しかし,学生が書いたコメントの一つに衝撃を受ける。
 「一人でしゃべってる」というのである。
 熱弁をふるうのは恥ずかしい姿かもしれぬ。

1/16
◆つぼづけ
 お茶漬けには「つぼづけ」が合うと断言する。
 それも中園久太郎商店のつぼづけで決まりだ。
 鹿児島の産でも他店のものは味に品がない。
 中園久太郎のつぼづけは近くのスーパーにないのが難。

1/17
◆消息
 大学でサークルも寮も一緒だった男から
 4半世紀の無音を破り,突然メールが来た。
 元ギター部の名簿を作るのだという。
 返事を出して数日後,早くも名簿が届く。
 仕事の速さは,やつの閑職ぶりを表す?

1/18
◆ここがロドスだ,ここで跳べ
 おもしろいことをおもしろがってやろうぜ,と
 かつては同僚に呼びかけ,自分でも実践してみせた。
 Hic Rhodus, hic saltus.をモットーに
 「Hic」と題する学内ミニコミ紙を出しのは15年ほど前。
 (保存してないので何号まで出したか不明)
 91年からは学内のインドネシア・ブームに乗じて
 学内広報紙「ナシ・ゴレン」をつくり,30号まで出した。
 98年からは学科の Webページづくりに励む。
 振り返れば,ほとんど常に一人ではしゃいでいる。
 おもしろがりの呼びかけは,同僚から無視され
 このごろは露骨に渋面を見せられる。
 ついにはWebページづくりからの引退も促された。
 それでも「ここで跳べ」と自分に強いるべきか?
 そろそろ,ここでは跳べない,と観念しようか?

1/19
◆隣人
 裏の家も同じく官舎で,県の職員が住む。
 赤ちゃんの泣き声は聞こえるが,隣人の顔は知らない。
 今朝,そこの奥さんらしき女性とぱったり出会う。
 彼女は黙礼もせず家の中に入っていった。
 都会の人間でも隣人に会釈ぐらいはするだろう。

1/20
◆隣家からの苦情
 官舎を管理する県庁の管財課から電話がきた。
 昨日の「つぶやき」を読んで……という話ではない。
 いや,一瞬ドキッとしましたけどね。
 電話は,裏ではなく右隣の家の件だった。
 うちの木が隣(鹿児島銀行頭取)にとって迷惑なので
 切ってもよいか,という相談である。
 それならもちろんOKだ。
 こちらから要請したときは(03年3月3日の「つぶやき」参照)
 県の態度は冷淡だったのに
 鹿銀頭取からの要請だと一変する。
 てな嫌味は言わない。(負けずに卑屈)
 「全部切ってください」と返事した。

1/21
◆男の料理
 テレビで紹介された料理法を試してみた。
 土鍋に白菜と豚肉を交互に敷き
 塩をまぶすだけで,水さえ不要。
 やってみると案の定……焦げた。

1/22
◆特別講座
 地元企業経営者を講師とする講座を設ける。
 ぼく自身は人脈をもたないので
 商工会議所と南日本銀行に人探しを依頼し
 ようやく12回分の講師が得られた。
 この講座をうちの学科の宣伝につなげたいな。
 学科の教員たちは白けているから
 いまさら力む必要もないが,ついそう思う。

1/23
◆夜なべ
 シャツのボタンがとれたので針仕事。
 裁縫道具箱には息子の名前が書いてある。
 小学生のときの家庭科の教材だ。

1/24
◆マンション見学
 マンション案内のビラにクジが付いていた。
 クジは等外でもマクドナルドの500円券がもらえる。
 うちの近所なので買い物の途中に寄ってみた。
 「部屋もご覧になりますか?」と尋ねられる。
 「クジだけでお帰りの方もいらっしゃるので」だと。

1/25
◆山奥は雪
 温泉+ランチ=1000円の郡山町スパランドに向かえば
 山道に入ったところで雪が降り始める。
 あわててUターンし,鹿児島市内の銭湯に。
 昼食は自宅にて冷凍食品の天ぷら蕎麦。

1/26
◆モンゴルの嵐
 ひき肉+椎茸+豆腐+春雨の汁物料理の名。
 これに卵を入れると「モンゴルの月」になる。
 昔,ぼくが奥さんに教え,以後定番化した。
 久々に自分で作ってみると,これがまずい。
 奥さんに電話で尋ねたら
 基本の段階で誤りを犯していた。
 いや,何,単なるマギーブイヨンの入れ忘れ。

1/27
◆ホテル暮らし
 チュニジア大使だった人が昨年から同僚になった。
 ぼくにとっては大学の先輩でもある。
 その同窓会の鹿児島支部の集まりに誘った。
 そのとき初めて知ったのだが,彼はホテル生活者だ。
 高齢だから,うちでもじきに定年となる。
 2年ほどの鹿児島滞在ならホテル暮らしもありかな。

1/28
◆丸裸の家
 わが家の木々がすべて伐採された。
 高齢者ばかり4人の庭師が来て,仕事をしていった。
 おかげで家の中は陽がさして妙に明るい。
 家の外観も一変した。
 むしろ以前に増して貧乏臭さが漂う。

1/29
◆つぼづけの味の違い
 中園久太郎のつぼづけでも,店によって味が違う。
 空港の売店や市内の山形屋デパートで売ってるものが
 ぼくにとっては最高のつぼづけである。
 先日,山形屋ストアーというスーパーで買ったら
 味に「いつもの上品さと深みがない」ことに気づく。
 メールにて会社に問い合わせると,以下の回答あり。

ご質問の件ですが、空港で販売されているものと
山形屋ストア様にて販売されているものとは別の商品です。
見た目は似ておりますが,空港で販売されている方は
つぼ漬「人甘」(人工甘味料使用商品)でして、
山形屋ストア様で購入いただきました商品の方は
同じつぼ漬でも(人工甘味料を使用していないタイプ)
である為にいつもの味でなかったものと思われます。

 そうか,ぼくは「人甘」をありがたがっていたのか。

◆バカ話
 大学の同窓会は2次会まで出て,帰宅は深夜。
 その間ずーっとバカ話を楽しんだ。
 「バカ言うんじゃないよ」とか「いい加減にしろ」の
 定型句がはさまって話題がチェンジする。
 このパターンで夜の1時すぎまで話が続いた。
 ちなみに,メンバーには中園久太郎商店の社長もいたが
 ぼくがメールで質問した話などはせず。


1/30
◆なでちけ(=なでつけ)
 聾唖の青年が働く床屋に行く。
 その青年でなく店の主人に髪を切られた。
 「全体に短く」と注文したら,バシバシ刈り込まれる。
 できあがった姿は田舎のジジイそのものだ。
 それでも「まあ,いいや」と思う。
 最後に主人が「アブラは?」と聞く。
 整髪料は使いますか,の意だった。
 語源は椿油と思われるが,業界用語なのか鹿児島弁なのか。

1/31
◆カフェバー
 2年生ゼミのコンパは夜の9時半から始まる。
 1960年代のテイストがあふれる店に入った。
 ほのぐらいロフト,座り心地のよいソファ。
 今度は大人の女性と2人で来よう,と勝手にワクワクする。
 いや,あてがあるわけじゃないんですけどね。
 「んなら先生もケータイを買わなきゃ」と学生に諭された。

過去の記事
1998年
1999年
2000年---------10-11-12
2001年---------10-11-12
2002年---------10-11-12
2003年---------10-11-12

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