2004年
 つぶやき

11/1
◆無内容
 言いたいことは何もなく
 情報量も乏しいのに何かを書かねばならない。
 いわゆる原稿の締切が近い。
 こむずかしい言い回しで無内容を隠すのは不得手。
 しかし平易に書けばバカ丸出し。

11/2
◆大根の葉
 学校の近くの八百屋で一束100円だった。
 大根8本分の束だから、量は多い。
 調理法を知らぬまま量と安さにひかれて買った。
 残留農薬の問題はないだろうと勝手に解釈。
 調理法はインターネットで調べる。
 ゴマ油で炒め、砂糖と味噌で味つけ。
 保存食の作り方らしいが、一回で食い尽くす。

11/3
◆意気軒高
 隣室(キューバ研究)は国内留学中で不在
 のはずが、研究室に灯がともっていた。
 ベネズエラに行くのでパスポートを取りに来たのだと。
 アジア・アフリカ連帯会議の一行に混じって
 チャベス大統領に会うのだそうだ。
 左傾化する中南米の政権の代表格である。
 「んじゃ帰ったらぜひ何か書いてね」というと
 彼は大胆にも自分をスウィージーになぞらえる。
 キューバを訪問し3週間すごしただけで
 『キューバ』(岩波新書)を書いた経済学者のことだ。
 その蛮勇を見習おうとするわが同僚を好ましく思う。

11/4
◆ヒッキー
 街ではお祭りをやっているが行かず。
 あの踊り(おはら祭り)は見るのも痛い。
 ってんで朝から家に引きこもる。
 買い込んだ食材をあれこれ組み合わせ
 三食自炊したが、味はいずれもイマイチ。
 生ゴミばかりが増えていく。

11/5
◆衛生委員会
 うちの教職員の健康を守る委員会に組合代表で出る。
 集団検診の結果などの表が示される。
 受診者の数、要二次検診の数がわかる。
 退出時間の遅い教員十名分も別表で出る。
 学長によれば、遅くまで学内にいる者、泊まり込む者は
 独身者や単身赴任者ゆえ、生活が不規則。
 約半数が二次検診の対象者である。
 しかし、職員全体の表を見ても半数は要二次検診だ。
 県の産業医によれば、県庁職員全体でも割合は同じ。
 ぼくは「有意差はないじゃないですか」とつっこんだ。
 学長はそれでも「不規則な生活は不健康」とつぶやく。

11/6
◆テープデッキ
 映画「社会学は格闘技だ」(2001、仏)は
 ブルデューを追ったドキュメンタリーである。
 夜、久しぶりにそのビデオを観て、寝たら
 翌朝、そのカセットが取り出せない。
 何度スイッチをONにしてもすぐOFFになる。
 買って1年半の機械だから保証期間がすぎている。
 サンヨーの修理相談窓口(福岡)に電話すると
 その程度の故障なら無料で点検するとの答え。
 鹿児島の窓口に電話し直すと
 機械の本体をもってきなさい、といわれ
 いそいそとコード類を引き抜く。
 家を出る前、試しにコンセントにつないだら
 あれれ、普通に作動し、テープも取り出せた。

11/7
◆SEX
 夜間部のゼミ・コンパに出る。
 一人の男子学生が「先生の講義、好きです」という。
 「先生は講義でSex、Sexって連呼しますよね」
 一瞬「そうかな」と思ったが(汗)
 ほかの連中は首をかしげて見せたので少し安心。
 この学生は「ぼく、一年半Sexしてないんです」という。
 すると女子が真顔で「じゃあ貯まってる?」と聞く。
 彼の答えは「んぐっ」で、言葉にならず。

11/8
◆原稿書き
 枚数制限のない論文を書いている。
 自慢じゃないが、ぼくは長い文章が書けない。
 それでも40枚(原稿用紙換算)は書かないとね。
 経験上、努力しても一日7枚がやっとで
 必死モードに入っても10枚が限度だ。
 最終締切まで残り5日。
 昨日は必死モードで、ひたすら字を埋めた。
 あ、必死モードとは馬鹿モードと同義で
 頭悪そうな文をスパゲッティ風に積み重ねること。

11/9
◆座り仕事
 三食とも自炊するため、そのつど家に帰る。
 校務がなければ、ずっと家にいる方が便利だ。
 寝仕事(=寝そべって読書)にはここが適する。
 しかし、長時間の座り仕事には向かない。
 家にはキャンバスチェアしかないからね。
 一方、いま学校は学園祭の期間中。
 研究室の上の階では学生たちが踊っている。
 天井がギシギシと怪しい音をたてる。

11/10
◆蒸かし芋
 こぶし二つ分ぐらいの大きなサツマ芋が
 2個で100円だったので買い、これで朝食。
 圧力鍋で蒸すだけだから調理は簡単だが
 二日続けると、さすがにあきる。

11/11
◆地域活動
 鹿児島商工会議所の人から電話がかかってきた。
 お礼をいいに伺いたい、という。
 何のお礼か、と聞けば、学生たちへのお礼だと。
 天文館(繁華街)をウロウロする活動に
 ゼミの学生が4人ほど参加したのだが
 学生から詳しい説明も報告も受けてない。
 つまり、私は完全にカヤの外なのだ。
 だから、お礼とかいわれる筋合いでもないが
 断る理由をいうのも面倒なので、来週会う。

11/12
◆久しぶりに上京
 13日の学会のために12日に上京する。
 論文は11日までに必死に書き終えた。
 12日、午後の東京行きの飛行機はいずれも満席で
 午前中の便に乗るしかない。
 したがって教授会も組合の会議も欠席し
 卒業アルバム用の教員集合写真撮影からも外れる。

11/13
◆土曜の朝
 朝8時すぎだというの誰も起きない。
 ひとりぼっちで朝食をすませる。
 なんだ、鹿児島にいるのと変わんないじゃん。

11/14
◆学友
 昔、大学院でいっしょだった女性がようやく就職。
 東北のFクラスの私大にポストを得た。
 夫は東大教授だが、その妻というポジションより
 やはり自前の肩書きの方がうれしかろう。

11/15
◆「みなさん、さようなら」
 というカナダ映画(昨年のアカデミー賞)を観た。
 俳優たちの顔に見覚えがあると思ったら
 86年の映画「アメリカ帝国の滅亡」の続編だった。
 86年の映画は、大学の教員たちのSex話だったが
 03年の映画はそのうちの一人が死ぬ話。
 業績もなく、学生にも愛されぬ大学教員って
 あれれ、ぼくの姿そのものじゃない。
 でも、ま、いい映画だったよ。

11/16
◆変節
 わが家にはマックのノートパソコン iBookが4台もある。
 初代は電源故障で物置にあり
 2台目(奥さん用)はモニターが不調。
 買い替えるなら「次はWidows?」と奥さんはいう。
 職場でデータのやりとりに困ることがあるらしい。
 上の息子も Windows があれば便利みたいなので
 ぼくも、一家に1台ぐらいはいいか、と思い始めた。

11/17
◆金の切れ目
 フランスのクレディ・リヨネの口座を解約し
 残金を鹿児島銀行に振り込んだ。
 一ヶ月かかって、ようやく入金の知らせ。
 長年のわだかまりが消え、それなりにうれしいが
 フランスとの縁まで切れたようでさびしい。

11/18
◆DTP
 日仏社会学会の年報を編集している。
 創刊以来ずっと引き受け、かつ楽しんできた。
 過去13号までは PageMaker というソフトを使う。
 簡単便利迅速で、優れたソフトだったが
 製造元から次世代ソフトへの移行を促され
 この第14号はソフトを InDesign に変えて作業中だ。
 唯々諾々、きわめて従順なユーザーである。
 そのくせ、操作法を覚え切れず、旧を懐かしむ。
 要するに、頭脳も老化している。

11/19
◆読み物
 ふと気づけば小説のたぐいを久しく読んでない。
 ほかに読まねばならぬものがあったせいだが
 今月から心理的な縛りもなくなったのに
 いまだにミステリーさえ読んでない。
 悪いことに、その飢餓感すら覚えなくなった。

11/20
◆組合交渉
 県職員の労働組合の対県交渉に参加する。
 昔は、交渉は徹夜で、県庁の廊下に組合員があふれていた。
 いま(県庁移転後)は、座り込みもなくなり
 交渉も1時間半で終る。
 それでも、それなりに熱いやりとりがあり
 久しぶりに「生の闘い」の雰囲気を味わう。

[後記:今年の山場は25日だそうで、その日は徹夜かも]


11/21
◆面とり
 男爵イモは煮くずれするからイヤだといったら
 八百屋のおばさんが「面とりすればよい」という。
 いわれるままに角を少し切り取る。
 たしかに煮くずれはしなかったが
 面とりの作業はめんどくさいぞ。

11/22
◆トレードオフ
 3食自炊とは、昼食のため帰宅することを意味する。
 車だと簡単だが自転車だと大変だ。
 一方、片道6キロを自転車で走るのは体によい。
 雨の日なら、車を使うしかないので悩みもない。
 天気が良いと話がむずかしい。

11/23
◆銭失い
 地域研究所の用事で沖永良部島に行かねばならない。
 商工会を介して聞き取り調査をする。
 年末近くになるとあちらも大忙しだろうから
 12月2日でアポをとり、安売り航空券を購入した。
 正規料金より1万円ほど安い。
 ところが12月3日は入試の日だった。
 スケジュール表にそれを書き忘れていた。
 あわてて航空券をキャンセルしたが
 キャンセル料その他で1万円以上の損。

11/24
◆料理本
 夕食のためレシピ集を立ち読みすべく本屋に行く。
 料理研究家ケンタロウの本にひかれる。
 さすが小林カツ代の息子だ。
 料理は簡単そうで、おいしそう。
 つい買ってしまった。

11/25
◆あばらや
 うちの近所に住む昔のゼミ生にいわれた。
 「先生の家は日に日にボロになっていますね」
 前を通りがかるたびに、そう感じるのだそうだ。
 その感想は当たっている。
 老朽化はもちろん家の内部にもおよぶ。
 いや、その家に住む人にもおよぶ、ってか。

11/26
◆徹夜交渉
 組合の団体交渉は昼の1時から翌朝に及ぶ。
 われわれの組合も県庁内に小会議室を借り
 交渉が中断するごとに戻って休む。
 ほかの組合は毛布や敷物を準備していたが
 われわれはそこまで頭が回らなかったうえに
 動員力不足で、狭い部屋すら広く、寒々しい。

11/27
◆教えられたり教えたり
 トン トン トンカラリ と隣組……
 という戦争中の国民歌謡の一節だ。
 戦後も、ぼくの母は家の中でよく歌っていた。
 今日、ぼくは午前中、公開講座で話をし
 午後はよその公開講座を聴きに行く。
 教えられたり教えたりの一日だな、と
 朝食のとき、ふと、この歌と母のことを思い出す。

11/28
◆コミュニティ・ビジネス
 地域ビジネスを育てようというセミナーに行く。
 受講生の多さとその多様性に驚く。
 夜の懇親会にも出、二次会にもつきあった。
 自分でビジネスを立ち上げようとする人々は
 さすがにけっこうわけありの人生を歩んでいる。

11/29
◆県民交流センター
 二日間のセミナーの会場だ。
 立派な建物の最上階まで登ってみた。
 土曜・日曜なのに人影もまばら。
 しずかに孤独を楽しむのによい場所を発見した。
 DVD鑑賞ブースも立派だが、新着リストは4月分まで。
 ソフトは年度初めに1度購入するだけのようだ。
 リクエストを受け付ける仕組みもないとのこと。
 全体に利用者が少ないのでそれでよいのだろう。

11/30
◆パッチ
 数年前に蘇州で買ったパジャマがボロボロになり
 冬に備えて新しい寝間着をユニクロで買う。
 タイツと長袖シャツの組み合わせを選んだ。
 着てみたら、タイツとは昔の言葉でいえばパッチだね。
 あるいは股引ともいう。
 パッチなんて小学生のとき着たのが最後。
 なつかしいというより恥ずかしい。
 鏡に映る姿は江頭2:50である。

過去の記事
1998年
1999年
2000年---------10-11-12
2001年---------10-11-12
2002年---------10-11-12
2003年---------10-11-12
2004年---------10

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