2005年
 つぶやき

11/1
◆ワールド・シネマ
 ウルグアイ映画「ウィスキー」をレンタルDVDで観た。
 話のしみじみとしたぬるさが味わいだ。
 ウルグアイの観光地のさびれ具合もよかった。
 監督は南米版カウリスマキと称されるのもうなずける。
 どこの国にも才人はいるもんだ。
 また、ギリシア映画「タッチ・オブ・スパイス」も観た。
 ギリシアとトルコの衝突の歴史も勉強になった。

11/2
◆買い物
 奥さんの帰宅が遅いので夕食の総菜は外で買う。
 原チャリで西国分寺の駅ビルまで走る。
 家の近くのミニスーパーがつぶれて以来
 買い物には不自由をしている。
 ほかの家、とくに高齢者宅ではどうしているのだろう。
 鹿児島の田舎なら親族やご近所の助けがある。
 国立市はおしゃれな住宅地として知られるが
 市内に散在した小商店は今やほとんどなくなり
 日常のお買い物にはけっこう不便な土地である。

11/3
◆生活の苦労
 うちの奥さんはこのごろグチが多い。
 かつてはグチも人の悪口もこぼさず
 その点でぼくとは大違いの人だった。
 こんな立派な人はめったにいない、と思った。
 それがこのごろだんだんフツーっぽくなった。
 たしかに仕事もつらそうである。
 かつてはあれほど燃えた教育職なのにね。

11/4
◆ヴェニスの商人
 アル・パチーノ主演で評判の映画を観に行く。
 前日に福田恒存訳の原作を読んでおいた。
 映画はユダヤ人差別に力点があるらしいので
 そこらへんの綾を理解するための予習だ。
 モノレール立川駅そばの映画館は満席だった。
 あてがわれた席はスクリーンに近く
 全体を見るには首を動かさねばならない。

11/5
◆チーズ
 国分寺丸井の地下まで買い物に行く。
 チーズ売り場で「モンドール」を見かけ、足が止まる。
 しかし、小ぶりの1箱3600円は痛い。
 昨年は鹿児島三越の地下で同じ悩みを覚えた。
 今年も同じく通り過ぎようとしたら
 ここでは売り子さんが巧みに声をかけてきた。
 エデル・クレロン(l'Edel de Cleron)なら半額だという。
 冬季限定のモンドールが1年中楽しめるよう
 新しく開発された商品なんだそうだ。
 ん〜、やだ〜、もう買うしかないじゃん。

11/6
◆ Rhythm is it !
 独映画「ベルリンフィルと子どもたち」を観る。
 移民の多い底辺校の子どもたち 250人が
 舞踏を通して急速に成長していく記録映画。
 教育臭は強いが、それでも感動させられる。
 人々の談話もあれこれ引用したいが
 ぼくが一番感心したのは指揮者サイモン・ラトルが
 こうしたプロジェクトを実現してしまったこと。
 アイデアを現実のものにする力量、あるいは人徳。

11/7
◆家の中
 こたつも掛布団も新調したが、ともに安物。
 それでも部屋の真ん中にすえると安定する。
 奥さんも入るなりウタタ寝を楽しむ。
 子どもたちはみな留守だし、外は雨。

11/8
◆駅前ホテル
 一度帰鹿し、今週末ふたたび上京するので
 東京発の「出張パック」航空券を買った。
 ホテル1泊つきで往復2万7千円。
 夕方、鹿児島に到着し、ホテルにチェックイン。
 するとフロントで「ホテルはお隣ですよ」と諭される。
 ステーションホテルに入ったつもりだったが
 そこは東急インだった。
 鹿児島の地理に不案内の旅人そのもの。

11/9
◆ネオ・リベラリズム
 『ネオリベ現代生活批判序説』(新評論)という本を
 頂戴したので早速読んで、授業でも使った。
 「貧乏は貧乏人の責任」と題して
 新自由主義の考え方を紹介した。
 あえて肯定的に紹介し、批判は学生にまかせた。
 反発は必至と予想したら、これが大ハズレ。
 講義後に出させたレポート(感想文)には
 「先生のいうとおり」「ネオリベに賛成」の声多数。

11/10
◆特殊工具
 ノートPC(iBook)のクリックボタンが不調ゆえ
 PCを開腹して不具合の原因を探ることにした。
 しかし、マックのネジは溝が☆型で
 トルクス TORX という特殊なドライバが必要だ。
 近所のDIYショップで見つけた。(700円)
 これでネジは外れたが、底板はとれない。
 内蔵電池のすきまから覗いていると
 小さなネジが中からポロリと落ちてきた。
 内蔵電池の横にあったプラスネジが外れて
 クリックボタンの作動を妨げていたのだ。
 つまり、開腹手術の必要はなく
 このプラスネジを元どおりにすればよかった。
 プラスネジが外れていた理由は不明。

11/11
◆ツンばっかい(カット・オンリー)
 12日の結婚式に出るため散髪しておきたい。
 行きつけのオバサン床屋は当分休業の札。
 で、初めて「ツンばっかい1500円」の店に入る。
 この文句は30年前に商標登録したと店主はいう。
 よその短時間バキューム理髪の悪口も聞かされた。
 たしかに手順は丁寧だが、仕上がりは粗雑。
 切った髪の毛がたくさん頭の中に残り
 けっきょく銭湯に行って自分でシャンプー。
 そして鏡を見れば、いかにも田舎のジーサン。

11/12
◆危機管理
 学長は人間ドックで食道ガンが発見された。
 手術するため2ヶ月間入院する。
 ふつうの大学なら代行の体制がルール化されている。
 ところがうちの大学にはその種の規定がない。
 だから大騒ぎになった。
 地方の短大、まことにのどかである。

11/13
◆旧恩
 学生時代、姉の夫には大いに世話になった。
 姉の離婚後は会うこともなく、お礼も言わずじまい。
 12日、姉の娘の結婚式に彼も父親として出てきた。
 30数年ぶりにお礼を言うチャンスだ。
 しかし、ぼくは昔同様きちんと挨拶もできず
 いい齢こいて口をモゴモゴさせただけ。

11/14
◆卑語
 夜遅く中央線に乗ったら怪しいオヤジと隣り合う。
 オヤジは間歇的に猥褻な単語をつぶやく。
 2駅に1回ぐらいのペースだ。
 はじめは空耳かと思った。
 自分の頭が変になったかと思った。
 オヤジは普通の風体で、夕刊紙を拡げている。
 その普通っぽさが余計に不気味だ。

11/15
◆たぬき
 うちの学校の正門横に小皿が置いてある。
 夕方、通りかかるとそこに小動物がいた。
 何だかタヌキっぽいが、まさかね。
 で、人に聞けば、やはりタヌキなんだと。
 誰かが餌付けをしているらしい。

11/16
◆こけちゃいました
 鹿児島のまちなかで昼食(中華)をとる。
 店を出て自転車に乗るとき転倒した。
 愛用のクロスバイクはサドルの位置が高いので
 両足で爪先立ちする形になるが
 その爪先が何かに引っかかった。
 おっとっと、と体勢を立て直そうとして失敗。
 衆人環視のなか、そそくさと退散した。

11/17
◆火器
 学内の大学会館和室にてゼミ合宿の計画を立てた。
 食材を持ち寄り、鍋を楽しもう。
 申請するとき、火器使用の項に○をつけた。
 ところが卓上コンロは禁止だといわれる。
 んなら許される火器は何ですか?と尋ねると
 電気ポットだけとの答え。
 この和室には茶道のための炉もあるが
 その使用も禁じられているようだ。

11/18
◆鹿児島県立図書館
 耐震工事のため17日から3ヶ月休館。
 本を借りようと思ったが1日遅れた。
 貸出予約は電話で受け付けるとのことで
 早朝電話したら、本の受け渡しは翌日だと。
 このスローな感じ、やはりお役所だね。

11/19
◆踏破
 ローカル局の情報番組で温泉特集をみる。
 あれれ、体験済みのところが多い。
 いつの間にやら、あらかた征服しちゃったのか?
 いやいや、未踏の地もたくさん残っているから
 テレビ局の取材が底浅ってこと。

11/20
◆「単騎、千里を走る」
 NHKテレビのドキュメンタリーを観た。
 チャン・イーモウ監督が高倉健と組んで映画を作る話。
 その予告編のような番組であったが
 不覚にもちょっと泣いてしまった。
 父と子の心のつながりがテーマだった。
 こういうのに弱いんだな、ぼくは。

11/21
◆しびれ
 ときどき手の指先にしびれを覚える。
 父も祖父(伝聞)も脳卒中で倒れたから
 ついにそういう齢になったか。
 用心するったって、どう用心すればよいのか?
 恬淡・従容といった構えしか思いつかぬが
 そのスタイルも会得するのはむずかしい。

11/22
◆ゼミ
 ある研究会報に、大学院のゼミ活動が報告されていた。
 ヘーゲルの原著を数ページずつ精読する。
 ゼミテンの個人報告は60分、討論時間は無制限。
 そして、夕方からは飲み会だ。
 うう〜、懐かしい。かつ、うらやましい。
 ぼくの短大でのゼミは、いまだに不発。
 そもそも議論するという形が成り立たない。

11/23
◆強制立ち退き
 県の財産管理係の職員が研究室に来た。
 今ぼくが住んでいる官舎から出てくれ、というのだ。
 理由は「県がそこを売却することに決めたから」だそうだ。
 期限は3月末で、しかも立ち退き料も出ない。
 寝耳に水のうえに、無茶な話である。
 だから、一応うけたまわった、という形にした。
 推察するに、この話の裏側には知事公舎事件がある。
 →ここをクリックすると地元紙の記事(11/19)。

11/24
◆ノスタルジー
 夜、映画を観る前に駅ビル近くで食事。
 定食の店という看板にひかれて入ると
 そこは昭和レトロの雰囲気が濃厚だ。
 隣席のオヤジが注文したカレーも見るからに田舎カレー。
 少し膜が張った感じで表面がテカる。
 配膳係のオバサンは、顔も体型も亡母にそっくり。
 これにも涙腺を刺激された。

11/25
◆堕落
 ゼミコンパとか忘年会その他の行事が続く。
 だもんで、このところ自炊をしてない。
 冷蔵庫もほとんど空の状態だ。
 塩分を控える意欲もずいぶん後退し
 ラーメン屋に行けば汁まで飲み干している。

11/26
◆歌謡曲
 新任の同僚(アメリカ人)を歓迎する飲み会に出る。
 二次会にもついフラフラとつきあった。
 カラオケって聞いて一瞬ためらったんですがね。
 ビル地下のカラオケホールは予想外に広く、客も多い。
 常連とおぼしきバーサンたちが演歌を交互に絶唱する。
 ぐわ〜、何というディープな世界だ。
 このごろトンと聞かなくなった歌謡曲だが
 どっこい、地下にもぐって、ちゃんと生きている。

11/27
◆ベジェ曲線
 鹿児島のマックユーザーの会に出た。
 Illustrator というソフトの使い方講座があるからだ。
 プロのイラストレータ大寺聡さんの指導が受けられる。
 勇んで参加したものの、途中で落ちこぼれてしまった。
 先生の手の動きが速すぎてフォローできない。
 ぼくは手を止め、周囲を見回すばかり。
 先生の声を遠くに感じながら、時間をもてあます。

11/28
◆朝風呂
 日曜の朝、町はずれの大黒温泉へ行く。
 設備などは貧粗だが、湯は100%掛け流しである。
 泉質も良いとの評判どおり肌に心地よい。
 しかし、客は常連ばかりらしく、挨拶が面倒くさい。
 客は入るたび、あるいは出るたびに挨拶する。
 こういうおつきあいそのものまで味わうのが
 正しいカントリー生活ってことなのだ。
 ぼくは根が百姓のくせに(あるいは、だからこそ)
 そこらへんがどうにも苦手。

11/29
◆忘れ物
 大学祭の模擬店の利潤でゼミの食事会を開く。
 もうけが少なかったため教員が差額負担(痛)。
 おまけに、食事会をした店にマフラーを置き忘れた。
 翌日、店に電話したがマフラーは見つからず。
 わが娘が数年前エゲレスで買ったもので
 安物とはいえ、父親にとっては貴重品だったのに。

 [後記:マフラーは自分のヒップバッグの中にあった]


11/30
◆自宅介護
 肺炎で入院したバーサンがまもなく退院する。
 もはや足腰は立たず,痴呆の度も進んだ。
 それでも医者がいうには「今がベストの状態」
 つまり,もうこれ以上よくなることがない。
 家の中に車イスを入れ,介護用ベッドも借りよう。
 ああ,年末はけっこう大騒ぎだな。

過去の記事
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1999年
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2001年---------10-11-12
2002年---------10-11-12
2003年---------10-11-12
2004年---------10-11-12
2005年---------10

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