2006年
 つぶやき

2/1
◆ほうじょうえ
 ホラー映画は嫌いだ。(例外="Little Shop of Horrors")
 しかし,日本映画の近作「輪廻」は悩ましい。
 クライマックスの場面は八女なんだそうだ。
 われわれが「八幡さん」とよんだ神社の境内。
 われわれが「ちゃっぽんぽん」とよんだ祭(放生会)の舞台。
 くは〜,懐かしいから見たいんだけどな〜。

 [注:仏教行事を神社でおこなうのは神仏習合の名残]


2/2
◆反共の闘士 Ayn Rand
 アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』(1957)を読破。
 2段組で1260頁という大著だ。(邦訳は2004,ビジネス社)
 リバタリアニズム(新自由主義の極致)を謳う思想小説で
 アメリカでは今でもよく読まれているという。
 しかしなー,お話もお説教もつまらないぞ。
 著者はかつて赤狩りで活躍した女性だが
 ひょっとしたらすごく深みのある人かも,と期待した。
 ところが,この本は悪玉が凡庸,描写も平板で,がっくり。

2/3
◆吝嗇漢
 お昼はどこで食べよう,と車で外に出る。
 あてどなく北上し,郡山温泉郷にいたる。
 轟温泉の日替定食は鶏肉のピカタで,これはパス。
 スパランド「ららら」の日替はハヤシライス680円。
 これを食べて,ついでに入浴(400円)。
 じつは,ウィークデイには花セットというコースがあった。
 880円の料理と入浴のセットで千円。
 後でそれに気づき,くやしくてしょうがない。
 なんだか大損をこいた気分である。

2/4
◆ディケンズ
 夕方の便で上京するはずだったけど会議が長引いた。
 東京行きを一日延ばして映画館に行く。
 ポランスキー監督の「オリバー・ツイスト」。
 19世紀的な貧困を映像化してると予想したが
 そこらへんは少し期待はずれ。

2/5
◆ Rwanda
 すっかり映画づいちゃって,上京しても映画。
 夜9時,立川で「ホテル・ルワンダ」(2004)を観た。
 鹿児島では観られないかもしれないからだ。
 アフリカの話なら,大量虐殺にも無関心な「先進」諸国。
 この映画ももとは日本公開の予定がなかったが
 渋谷の1館で上映されて以後しだいに上映館が拡がった。
 この勢いだと鹿児島にだって来るかもなあ。

2/6
◆(株)安山宣之建築設計事務所
 テレビ東京のローカル番組に顔見知りの人が出ていた。
 鹿児島大の安山さん(63歳だけど助教授)が
 巣鴨にある自宅を自慢気に紹介していた。
 自分の会社の宣伝でもある。
 もう少し超俗の人だと思っていたのにね。

2/7
◆老犬
 うちの犬も12歳だから,かなり高齢だ。
 しかし,散歩道の途中にはさらに高齢の犬がいる。
 道路に面した小屋で,ほとんど寝たきりに近い。
 出会えば鼻をつけあい,尻尾を振りあう。
 昨夜は妙に念が入り,なかなか離れぬ。
 最期の面会みたいで,こちらも泣きそうになる。

2/8
◆人を見る
 行きつけの古本屋に立ち寄る。
 主人は別の客と談笑している。
 大学院の入試がど〜たら,といった話だ。
 そいつはどこかの大学の教員らしい。
 1冊4千円の本を買って帰っていった。
 主人は急にヒマになったので,声をかけてくる。
 「あのね,そこの本はどれも40円」
 安めの本しか買わない客を識別できるのだ。
 事実,ぼくが買ったのは8冊で950円。

2/9
◆最後の PowerBook
 下の息子のためにノートパソコンを買う。
 Macはモデルチェンジも近いので悩ましかった。
 しかし,ビックカメラ立川の店頭であっさり決断。
 展示品の PowerBook G4 (12inch) が輝いていたからだ。
 2週間後には MacBook の発売と同時に消えてゆく機種だが
 これまでの財産が活かせるのは利点とも思われた。
 なにしろ新機種は CPU が Intel だからね。
 ところが,購入した PowerBook はなかなかの難物。
 どこがどう悪いかもよくわからないまま
 夕方から深夜まで,さらに翌朝から昼まで格闘した。

2/10
◆花セット
 入試関連の作業のため鹿児島にもどる。
 作業は午前中で済んだので,遠出して昼食。
 先日(2月2日)食べそこなった花セットを食べる。
 スパランド「ららら」の入浴料込み千円のコースだ。
 ご飯はセルフでお代わり自由。
 ドリンクバーもつくけど,連れがいないと間が持たぬ。

2/11
◆鹿児島の鹿児島らしさ
 ドルフィンポートは鹿児島の一つの観光スポット。
 開設1年にして早くも閑古鳥が鳴き始めた。
 池の水中照明は色も毒々しい青色・赤色で
 なんだか百姓っぽくて嫌だな,と一度は思った。
 しかし,この毒々しさ,下品さは逆に今どき珍しい。
 時代逆行的な観光地づくりや怪しい色彩感覚を
 われわれはむしろ誇りに思い,胸を張って滅びたい。
 アンテナの感度の悪さは,われわれを独自の境地に導いてくれる。

2/12
◆泣けない
 リリー・フランキーの『東京タワー』を読む。
 おもしろく読んだが,評判通りには泣けない。
 ぼくは自分の母が死んだときにも泣かなかった。
 だから,この話で泣くようでは母親に申し訳ない。
 むしろ父子物の映画『単騎,千里を走る』の方が泣けた。
 この映画は全体として嘘くさい作りだが
 父親の側に自分を重ねあわせられる分だけ
 多少はホロリとしちまうのである。

2/13
◆都会化
 夜間割引で映画「ミュンヘン」を観る前に
 駅ビル内の紀伊國屋書店で遊ぶ。
 こうした店の進出により地元の老舗は衰退したが
 本好きの人々にとっては良いこともある。
 たとえば出版社のPR雑誌が無料でもらえる。
 鹿児島土着の本屋はそんなサービスをしない。
 (鹿児島に来て最初に驚いたのはそれだ)
 このごろようやく鹿児島市も都会になりつつある。

2/14
◆湾岸戦争のころ
 映画「ジャーヘッド」を観て,90〜91年を回想した。
 あのころぼくはパリにいたんだよな〜。(遠い目)
 夜になると,映画館に行くのがほぼ日課。
 イベント案内 Pariscope を携えて地下鉄に乗る。
 日本では観られそうにない映画を選び
 すっかりカルチャーしてたよな〜。

2/15
◆フリンジ・ベネフィット
 3軒ならんだ官舎の2軒が空き家となった。
 道路に面した我が家だけが残った。
 ちょっとした冒険心で奥の家を見に行く。
 路地の奥まで入るのは初めてなのだ。
 庭の広さに驚いた。
 車3台が楽に駐車できるスペースがある。
 見上げると空も広い。
 公務員がこんなところに住んじゃいけないと思う。

2/16
◆学歴
 身の回りでは学歴無用の傾向が強まっている。
 事務の窓口には高卒と九州大卒が並び
 ともに単純反復作業にいそしんでいる。
 最近は,事務局全体で学歴が向上し
 2ch的に序列づければ,平均して教員より上かも。

2/17
◆ランチジプシー
 お昼を食べるところを求めて,学校の周辺をうろつく。
 かつては学食が社交の場を兼ねていたが
 ここ数年は不和の空気が学内を支配する。
 昼も孤食ですますのはもともと平気でも
 周辺の食事どころが少ないのは困る。

2/18
◆スカイプ skype
 インターネットを介した無料電話のシステムである。
 ただし,一般の電話にかけるときは1分2.7円。
 (でも,国外の一般電話には2.4円だから安いもんだ)
 耳かけの送受信機,いわゆるヘッドセットを購入し
 ハンズフリーで会話を楽しめるようになった。
 問題は,肝心の話し相手がいないこと。

2/19
◆怪しい豆腐屋
 近所の豆腐屋は夕方にしか店を開かない。
 久しぶりに行くと,オヤジはなぜか英語で注文を聞く。
 Which do you like ? Soft one ? Fried ?
 よく聞き取れないが,オヤジの英語はしばらく続いた。
 「んじゃあ,ソフトを」と日本語で答えると
 ふつうの豆腐と揚げ豆腐の二つが包まれた。
 文句を言ってもしょうがないので,黙って買う。
 壁に,Los Angelesで来月 First Live という自己宣伝の紙。
 何の Live か分からぬが,オヤジの英語はそのための口慣らしか?
 質問すれば話が長くなりそうなので,黙って退散した。

2/20
◆ Things to do before I die
 DVDで「死ぬまでにしたい10のこと」を観る。
 スペイン+カナダ映画"My Life without me"(2002)である。
 こういうマイナーっぽい映画,好きです。
 DVDでも観られない佳作がたくさんありそうだ。
 鹿児島でそんな作品の上映会を組織したくなる。
 コミュニティシネマ支援センターちゅうところに相談に行くか。

2/21
◆たぬき
 うちのトイレの窓から表の路地が見える。
 深夜,寝る前に用をたしていると
 玄関先に小動物が2匹いるのが見えた。
 その姿は猫じゃなく,狸だ。
 やがて2匹とも側溝の穴の中に消えた。
 ここらじゃ野良猫だってそんなところには入らない。

2/22
◆健康不安
 いま,自覚的には健康そのものだ。
 肩もこらず,鼻の通りもよく,快食快眠。
 ふと,これって変なんじゃない,と不安になる。
 あごの下のプヨプヨが少し増進したのを見て
 パセドー氏病とかの病名を思いつく。
 ようやく「確たる」心配の種を得る。

2/23
◆愛想のいい受験生
 うちの入試で,生活科学専攻の試験官をつとめた。
 受験生は女子ばかりと思いきや,男子が1名いる。
 しかも彼は,愛想良さでも異彩を放っていた。
 試験官に笑顔で挨拶する姿に昔の自分を見る。
 ぼくは受験した大学の試験官に廊下でも挨拶したし
 帰りの道端でも挨拶して,相手を困惑させた。
 今じゃ礼儀知らずの私だが,昔は純朴だったのよ。

2/24
◆文革
 ノーベル文学賞を受賞した中国人作家,高行健の
 自伝的な小説『ある男の聖書』を読む。
 文化大革命の激動期を知識人はどう生き抜いたか。
 あの時代の話は重たいとわかっていながら
 つい読んでしまい,やっぱりググッと来てしまった。

2/25
◆岩盤浴
 夜の便で上京し,9時過ぎに家に着く。
 入れ替わりに奥さんと娘は出かけてしまう。
 吉祥寺近くの「温泉」で岩盤浴を楽しむんだと。
 家には寝たきりのばーさんとぼくだけが残る。

2/26
◆フォー
 何かエスニックなものを食べたくなって
 立川の駅ビル内にあるベトナム料理店に入る。
 フォー(ベトナム麺)と生春巻のセットを頼む。
 本物というか本場の味はどうだか知らないが
 ハワイで食べたフォーよりもおいしい。
 生春巻もフランスで食べたものよりうまいと思う。
 食べながら笑みがこぼれちゃう。

2/27
◆家族会議システム
 スカイプ(IP電話)を利用すれば複数人が同時に話せる。
 つまり,離れていても家族で話し合える。
 と,自分では良いこと思いついた気分であった。
 家族は誰も関心を示さぬので,孤独にセッティング。
 無線LANでつながる4台のPCを立ち上げ
 一人で家中を走り回る。
 会話の相手がいないため,点検は不首尾に終わる。

2/28
◆ノートパソコン
 息子の PowerBook をしばらく拝借してきた。
 その間,息子にはぼくの iBook を使ってもらった。
 27日,息子が帰宅したので,機械を交換する。
 息子は家に3時間ほど滞在しただけで去る。
 iBook には息子の好きな Blue Hearts のCDが
 やたらたくさん取り込まれていた。

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