2006年
 つぶやき

5/1
◆原因不明の痛み
 右足首がねんざしたときみたいに痛く
 犬の散歩にも,足をひきずりながらつきあう。
 数日前,熊本では膝に打ち身のような痛みを覚えた。
 あのときもいまも痛みは間歇的で,出たり出なかったり。

5/2
◆喪失感
 腕時計をしたまま寝たつもりなのに,その時計がない。
 腕時計を外す場面は入浴時以外にない。
 日常の動線に沿って時計を探すが見当たらず。
 思い出の品ってものでもないので途中であきらめた。
 一日,時計なしで過ごしたら
 なんだか下着をつけてないみたいにココロモトない。
 (あ,腕時計はですね,枕の下にありました)

5/3
◆同類
 うちの老犬は臆病で,雷の気配にもおびえる。
 裏の戸をガリガリかきむしって,うるさい。
 しかたなく,家の中に入れてやった。
 こたつの横で丸まっている。
 年老いて小汚いが,そこらがいとおしい。

5/4
◆B級グルメ
 学習院大での用事のついでに池袋まで足を伸ばす。
 池袋 Walker のラーメン部門で第一位の店「屯ちん」に行く。
 もちろん,あらかじめネットで調べておいた。
 期待どおり客が長蛇の列をなし,ワクワクしちゃう。
 カップルの客が多いので,席は二つずつ空く。
 店も心得たもので,一人客の横は空席のまま。
 こうしてグングン客は回転する。
 ぼくも一人,汗をかきながら大盛りを平らげた。
 味はというと,列を作るほどのもんじゃなかったけどね。

5/5
◆ポカホンタス
 夜の8時,立川まで映画を観に行く。
 奥さんと二人,夜道を自転車で走る。
 映画は「The New World」を選んだ。
 映像は美しいとの評判ゆえ,奥さん向きかなと考えた。
 館内はガラガラで,鹿児島にいるみたい。
 映画が終わると,奥さんは「つまんね〜」の一言。

5/6
◆夏炉冬扇
 家にいるとコタツトップPCがぼくのお相手。
 つまり,ほとんど終日コタツの中にいる。
 ぼくが鹿児島でコタツを買わないでいるのは
 こうした図柄を避けるためでもある。
 そのかわり扇風機が年中ベッドのそばにある。
 出したら出しっぱなし,このポリシーは一貫している。

5/7
◆流行の後追い
 遅ればせながら『ダ・ヴィンチ・コード』を買って読んだ。
 図書館で借りる順番を待つのに疲れたし
 息子も読んでないというので,文庫(上中下)を買う。
 本屋で山積みになっているのを買うのって
 なんだか気恥ずかしいものがあるね。

5/8
◆ブザンソン
 フランス東部の町に1年余り住んだことがある。
 20年ほど昔の話だ。
 その町の大学にいた日本人学生と知り合った。
 日本の高校から直でそこへ進学したという。
 野球(フランスでは超マイナー)のチームを作っていた。
 昨日,その彼から突然メールが来た。
 彼が何気なく「ブザンソン」で検索したら
 ぼくのホームページにたどりついたらしい。
 数えてみれば彼も40歳を過ぎたオッサンだが
 彼が今どこで何をしているかは不明。

 [後記:今は東京で公認会計士をしているんだと]


5/9
◆足湯
 鹿児島空港にも「足湯」の仕掛けがつくられた。
 けっこうにぎわっているのでめでたい。
 足湯づくりは一種の流行で,全国化しており
 鹿児島はいつものとおり,やや出遅れた。
 いまの鹿児島に進取の気性が希薄なのは事実だから
 (実は薩摩の昔から基本は守旧だったともいうので)
 むしろ,それを逆手に突出すべきだ。
 つまり,とことん流行に逆らってみせたい。
 なんてことを足湯につかりながら夢想。

5/10
◆ Mind your own business
 数日前,朝日新聞(多摩版)に斉藤孝(明大)が書いていた。
 大学教育の実践談(連載もの)でなかなか読ませる。
 「知のトレーニングセンター」としての大学というアイデア。
 思わず膝をたたいちゃった。
 で,ふと我に返ると,語り合う相手がいない。
 うちの学校では教育談義はしないことになっている。
 そんなことより自分の頭の上の蠅を追え,という空気。
 わかっちゃいるけど,ときどき忘れるのよ。

5/11
◆仕分け
 引っ越しを前に本棚の本を整理しなければならぬ。
 駄本は捨てて,なるべく身軽になろう。
 並んだ本をつらつら眺めていると
 読んだ覚えのない本がけっこうある。
 買ってそのままなのか,読んだことを忘れたのか?
 古本屋で買った本だとその見分けもつかぬ。

5/12
◆大学商売
 ちょっとした集会に出るため鹿児島大学へ行く。
 聞けば学外者をまじえた会合には
 小さな教室でも使用料3800円を払わねばならない。
 国立大学は独立行政法人になったおかげで
 こうした小商いが必要になったみたい。

5/13
◆家具の始末
 狭いところに引っ越すので家具は処分したい。
 ベッドと本棚以外は捨てていこう。
 いや,売れる物は売りたい。
 リサイクルショップに電話をしたら
 相手は見積に出向くのも嫌がったりする。
 買い取るどころか,逆に引取料をいただく,なんて
 予想外の方向に話がズレていく。
 そもそも古物が売れると思った自分が世間知らず。

5/14
◆大儀
 月末,神奈川大学で学会が開かれる。
 行こうか,行くまいか,迷っている。
 その次の週には,東京赤坂で恩師を囲む会がある。
 これにも出ようか,どうしようか,と思案中。
 自分の引っ越しの方が大事,ってのはウソ。
 要するに,ちっとも勉強してないので
 顔を出すのも恥ずかしい,というのが本音。
 いや,それも半分はウソ。
 このところやや引きこもり気分なのだ。

5/15
◆懐旧
 本棚の後ろに古いハガキが落ちていた。
 かつての同僚からの転居の知らせだ。
 そこに短く書き添えられた言葉。
 「学食での楽しい昼食。またあの輪の中に入りたい」
 あらためて読んで思わず苦笑した。
 そんな輪はとっくに消えてなくなったよ。

5/16
◆声域
 カラオケ嫌いのせいもあって,もう何年も歌ってない。
 車でブルーハーツのCDを聴いていたら
 いつのまにか歌詞を覚え,口ずさんだりする。
 このごろはとうとう大声で歌いかけた。
 ところが,たいして高音域でもない部分で
 声が出ず,我ながらあきれてしまった。
 これじゃいかん,と反復練習している。
 ちなみに曲は「情熱の薔薇」です。

5/17
◆肌寒
 少しずつ引っ越しし,寝具の大半を移した。
 手元には夏用の薄い掛け布団が1枚あるだけだ。
 ところが,このところふたたび夜が寒い。
 そこらへんの衣類をかき集め
 布団の上にのせて,なんとかしのいでいる。

5/18
◆ラスト・ショー
 鹿児島の繁華街に残る映画館が2館とも消える。
 場外馬券売り場などに変わるらしい。
 すでに一帯はパチンコ屋やゲーセンばかりだ。
 そして,その周辺は風俗店や飲み屋。
 おもしろみのない街がさらにその度合いを強める。
 街なかに小さな名画座を残す運動でも起こそうか。

5/19
◆赤帽
 冷蔵庫や洗濯機など「大物」の運送に利用した。
 料金は2時間8千円である。
 荷造りした分の引越作業は1時間で完了。
 もう1往復できたので,しまったなぁと思う。
 家には箱詰めしていない本が山積みのまま。

5/20
◆シェリー酒
 スーパー内の酒屋で「Tio Pepe」を見かけた。
 なつかしさのあまり買って帰る。(2千円)
 昔,大学3年のとき,ゼミで初めて飲んだ酒だ。
 討論が済むと,先生は全員にシェリー酒をふるまう。
 それがエゲレス流なんだと先輩に聞かされた。
 当時ぼくはきわめてアルコールに弱く
 強い酒だなと思ったが,いま飲むとたいしたことない。

5/21
◆自主性
 ぼくのゼミの学生たちが勝手に活動している。
 ベンチャービジネスの立ち上げを目指すらしい。
 新しい形の広告宣伝の会社をつくるんだとか。
 社名「新宣組!」は間抜けっぽいが,これも学生が決めたこと。
 市の企業振興課や商工会議所に相談に行ったり
 今朝も9時半に街に集合して何かをするようだ。
 ぼくはゼミのメーリングリストでそれを知る。
 つまり,学生からは総じて何の相談もない。
 教員としては,うれしいような,さびしいような。

5/22
◆無観客試合
 中腰のまま横を向きかけると,ギクッときた。
 激痛でもないので,がまんしている。
 いまは右腕のひじが痛い。
 何かのひょうしに筋を痛めたらしい。
 箸を動かすのも歯を磨くのもつらい。
 団地の薄暗い部屋のなかで身を横たえ
 孤独な老人の姿を人知れず演じてみる。

5/23
◆語りあう
 夕方,鹿児島大学で開かれた集まりに出る。
 科学者は社会の諸問題とどう向き合うべきか
 という総合的・倫理的なテーマでの集会だ。
 ふだん出会わない分野の人と話すことができた。
 いや〜,そもそも最近は人と語り合う機会がない。
 個人的には会話の喜びを久しぶりに味わった一夕。

5/24
◆日曜大工
 転居先の玄関に小さな棚をつくろうと考えた。
 鍵や財布をのせておくのに便利だと思う。
 木の板や金具を買いそろえ,工作にとりかかる。
 と,最初の1本目から木ネジの山をつぶしてしまった。
 押し込むことも引き抜くこともかなわぬ。
 思案投げ首のまま三日がすぎた。

5/25
◆山の水
 鹿児島市内とはいえ山の奥にある露天風呂に行く。
 山中にある看護専門学校での講義のついでだ。
 露天風呂はランチバイキングつきで840円。
 バイキングとはいえ塩味が強い田舎料理ばかり。
 それでもさすがに水だけはおいしい。
 あたり一面の新緑も眼福。

5/26
◆演歌風呂
 転居先の近くには銭湯が二つもある。
 いずれも徒歩で2〜3分という近さ。
 その一つ「みょうばん温泉」は施設も古く
 なりは小汚いが,温泉の質は良い感じだ。
 他方「太陽ヘルスセンター」はいわゆる沸かし湯。
 地下水を加熱した「温泉」ゆえ,ありがたみは少ない。
 いや,それよりもここはモーホーのたまり場(の噂)。
 「愉快な仲間が集う温泉」の宣伝文句も怪しい。
 が,入ってみると,それらしい人はいなかった。
 そのかわり,クリカラモンモンのお兄さんがいた。
 この風呂屋ではBGMに演歌が流れる。
 やはりここは「薔薇族」というより「さぶ」系列かな。

5/27
◆中古のソファ
 ゼミの学生による街頭での活動が始まった。
 その出撃基地みたいな部屋を街中にキープした。
 学生たちが「ソファがほしいね」というのを聞き
 高価な物でなければ買ってやろうと「親心」がわく。
 ぼく一人で家具屋・リサイクルショップなどを回る。
 合成皮革の3人掛けソファ(9450円)を買った。
 学生の留守中,店員と二人で部屋に運び入れた。
 帰ってきた学生たちは「足はどっち?」と話し合う。
 ソファに寝るときに頭をのせる側を決めたいらしい。

5/28
◆人形
 学会には行かず,街中でのゼミ生の活動を眺めている。
 で,街に出たついでに鹿児島三越に寄った。
 「高橋まゆみ創作人形展」を観るためだ。
 会場は意外にも大勢の入場者であふれる。
 昔の暮らしや老人の立ち居を活写した作品群に
 人々はいたく感動させられている。
 すすり泣いている女性もけっこういた。

5/29
◆搬出完了
 連休明けから始めた孤独な引越作業。
 雨の日を避け,物を少しずつ持ち出す。
 運び出すべき物は,ともかくすべて運び終えた。
 残した家具類は家の解体屋が処分してくれるはず。

5/30
◆互いに災難
 ナメクジからは解放されたが今度はゴキブリ。
 集合住宅ゆえの宿命か。
 しかし,不思議なのは連中の元気の無さ。
 台所やトイレでみかけた4匹はすでに死んでいた。
 居間にいたヤツはノロノロ歩きだ。
 どうやらヤツらは上階でダメージを受け
 下に逃れて絶命,あるいは気息えんえん。

5/31
◆夜は映画三昧
 繁華街の映画館が6月5日で消滅することと
 転居して駅ビルの映画館が近くなったことで
 今月は妙に張り切って映画を観たな〜。
 以下は連休の後,鹿児島で観た映画の数々:

 ●Brokeback Mountain(う〜む,弱ったね)
 ●The Producers(メル・ブルックスの多才ぶりが痛い)
 ●ナイロビの蜂 The constant gardener(食いものにされるアフリカ)
 ●CRASH(多様であることの辛さ)
 ●Good Night & Good Luck(赤狩りは妙に今日的)
 ●RENT(音楽は楽しめたが話はやや冗長)
 ●白バラの祈り Sophie Scholl(ナチの裁判官の力みが印象的)
 ●A History of Violence(ウィリアム・ハートの助演賞は解せぬ)
 ●Goal!(ベタな話なのに,ちょっと感動した)


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