2006年
 つぶやき

12/1
◆この指とまれ
 しょーこりもなくまた大学改革に取り組んでいる。
 今回は学校の存続(死活)問題が背景にちらつき
 その分だけ取り組みも全体化するはずだった。
 しかし,20:80の法則どおり「乗りがいい」のは少数。
 こちらもその点は慣れているから
 いつものように「遊びたい人」同士で楽しむ。

[付記]ぼくが主催した11/30のFDは参加率 35%で,これは上出来。


12/2
◆大食
 入試業務で昼の弁当が配給された。
 うかつにも,直前にスーパーで弁当を買った。
 んで,手元に弁当が二つ。
 選択に悩み,二つとも食べちゃった。

12/3
◆儀礼的無関心 civil indifference
 鹿児島市内で未踏の銭湯に行く。
 小さな女の子が湯船の中にいた。
 その子の顔には鼻がない。
 先天性の障害らしいとわかると,もう直視できない。
 じろじろ見ちゃいけないような気がするからだ。
 どこかの老人はその子に気軽に声をかけていた。
 ああいう「さり気なさ」は知り合いならではのものか。

12/4
◆映画鑑賞
 土曜・日曜と連続して映画館に行く。
 夜の9時,夕食後の散歩も兼ねる。
 「武士の一分」は観客が多く,邦画再興は本当みたいだ。
 隣席の夫婦は小さな男の子を連れていた。
 その子に映画を解説する父親の小声がウザい。
 英映画「トゥモロー・ワールド」Children of Men はガラガラ。
 おかげさまで,これは映画をしっかり楽しめた。

12/5
◆後期マルクス兄弟
 初期(パラマウント)の5作品のDVDに続いて
 後期(MGM)の6作品のDVD(5枚)も買った。
 すべて廉価版だが,今度のは「おまけ」が充実している。
 音声解説などで「マルクス理解」が深まったよ。

12/6
◆ Academic Duty
 Academic Freedom の対抗概念である。
 これを大学改革がらみの勉強会のテーマにしようと思う。
 で,企画した本人(ぼく)が報告者になるしかない。
 ネット検索すると,参考文献としての頻度が高いのが
 Donald Kennedy(元スタンフォード大学長)の本だ。
 “Academic Duty”(1997, Harvard UP) をようやく入手。
 アメリカの大学院生の就職難も紹介されていて
 そこらへんは自分の人生行路と重なり,泣かせる。
 大学人の責務という点で教育・研究・学内行政などと続けて
 最終章に「社会の変革」を挙げているのも泣かせる。

12/7
◆火気
 暖かくて寝やすいな〜,と思いながら就床。
 朝,目が覚めると電気ストーブがつけっぱなしだった。
 なんという寝つきの良さだろう。
 ベッドの横のストーブの明かりにも気づかぬ。

12/8
◆1対1
 1年生の斉藤ゼミはいま学生1人だ。
 ふたりでしみじみとベンヤミン「複製技術の時代……」を読んでる。
 この学生は学外の演劇サークルに属し
 年末の公演に向けて,いま大忙しのようだ。
 ゼミに来させるのも申し訳ないような
 倒錯した気分になっちゃうよ。

12/9
◆コタツ
 いつも寝起きしている4畳半の部屋にあるのは
 ベッド,折りたたみテーブル,パイプ椅子,各1個。
 最近はこれに電気ストーブが加わる。
 狭くて窮屈な感じは嫌いじゃないが
 やはり貧しい暮らしにはコタツが似合う。
 ヤマダ電器に行けば,1万円以下のものがゴロゴロ。
 ただし,掛け布団はなく,他の店に行けと言われる。

12/10
◆やがてさびしき
 九州大学での学会(経済学史学会・西南部会)に出る。
 終わりまで黙って座っていた。
 鍋料理店で開かれた懇親会では燃える。
 周囲に浅薄な問いを発しながら,自分では賢いつもり。
 泊まる宿の関係で,少し早めに中座した。
 外に出てから,じわ〜っと恥ずかしさがこみあげる。

12/11
◆田舎は狭い
 生まれ故郷(八女市)に戻って一泊した。
 同級生の女が開いているスナックに
 同級の男たちが集まると聞いていたからだ。
 店がどこにあるのかはホテルのフロントで聞く。
 店の名前は知らないので,同級生の親の名を出すと
 フロントの人はすぐ「ああ,その娘さんの店は」と教えてくれた。
 何でも知ってそうな老人であった。
 ぼくの昔のガールフレンドの消息も知りたくなって
 彼女の実家の店名をいうと「あそこの娘さんは」とやはり詳しい。

12/12
◆恩師
 今年は桜島小みかんの出来が良い,という。
 うちに1箱送ったついでに,院生時代の恩師にも送る。
 黙って送ると叱られそうなので,電話で知らせた。
 今でも先生と話すときは緊張する。
 案の定,話は研究の方面に向かう。
 そうなると,フガフガと無意味な音で応えるしかない。

12/13
◆韓流
 車検に出していた車を夕方ひきとり
 その足で,まちはずれのシネコンに向かう。
 何の予備知識もないまま韓国映画「王の男」を観る。
 大道芸人の物語で,おもしろそうじゃん。
 出だしは絵柄もテンポもよく,わくわくさせたが
 しだいに話が粗雑になり,興も冷める。

12/14
◆フレンチ
 かなり昔の卒業生からハガキが来た。
 レストラン開店のお知らせである。
 Webで確かめると,すでに何だか評判がいいぞ。
 足を運んでみたいが,ディナーは8千円からだ。
 う〜む,どうしよう,と一瞬考え込む。
 その程度の値段でひるむ自分が情けない。

12/15
◆亀虫
 市の北のはずれにある温泉施設「ららら」に行く。
 そこの独自商品「レイシあめ」を買ってみた。
 特産の苦瓜を飴にまぜたものだ。
 ゼミで学生に配ると「カメムシの味がする」という。
 不味い,ってことらしいが
 じつは,ぼくはカメムシの臭さを知らない。

12/16
◆吹けば飛ぶよな大学だが
 うちも予算削減で教育研究の機能がマヒしかけている。
 これに国旗掲揚問題が追い打ちをかける。
 四の五の言えば「お取り潰し」に会いそうな気配だ。
 他の大学へ逃げ出す人は利口である。
 こうして,なんと1割の教員が3月に転出する。
 泥舟に残る人間はバカばかり。
 しかし,逆にこれからがおもしろくなりそうだ。
 疲れ知らずにムダなことをするのがバカの強み。
 とんでもないことを企てて,世間に突出したい。

12/17
◆カラオケ嫌い
 学科の忘年会の二次会にもつきあう。
 飲んで歌って2千円という安いスナックは
 オジサン・オバサンであふれ,演歌が流れる。
 わが一行の面々もそれぞれの持ち歌で加わる。
 ぼくにも歌える歌があったっけ,と一瞬考えた。

12/18
◆駅前?温泉
 銭湯「西田温泉」はJR鹿児島中央駅近くにある。
 駅前といえるほど近いわけじゃないが
 徒歩10分なので,観光客も入りに来るらしい。
 行けば浴槽が狭いのに驚くんじゃないか。
 細長くて,大人なら5人で満員だ。
 ぼくも洗い場でしばらく待機させられた。
 その所在なさが間抜けな感じ。

12/19
◆清掃当番
 団地のゴミ置き場を清掃する。(入居以来2度目)
 あいかわらずゴミ出しのルールを守らぬ者がいる。
 放置しておけないのでぼくが持ち帰る。
 正しい回収日に出し直すためである。
 来週は上京しちゃうので処理は微妙。
 このゴミをかかえたまま年を越すかもね。

12/20
◆シネマ・コンプレックス
 鹿児島市内には大きなシネコンが2つある。
 いろんな作品が観られる,と最初は期待した。
 ところが,この2軒,上映作品がほぼ重なる。
 つまり,メジャー系を並べて,客を奪い合ってる。
 ぼくは「硫黄島からの手紙」を駅ビルで観
 そして「007 カジノ・ロワイヤル」を郊外で観た。
 集客力がありそうな映画なのに,どちらも入りが悪い。
 おいおい,このまま共倒れか,と心配になる。

12/21
◆そこつ者
 大学入試センター試験の監督者への説明会があった。
 不意の「事故」への対応マニュアルも渡される。
 受験生が試験会場を間違えた場合,とかがある。
 うむ,ありうる,と思う。
 ぼくがそうだったから,ね。
 一橋大はキャンパスが国立市と小平市に分かれ
 ぼくは小平が試験会場だと思いこんでいた。
 なぜそう思いこんだか,今となっては理由不明だが
 とにかく下見までして,当日乗り込んだら
 ぼくの座るべき席にすでに人がいる。
 聞けばそこは法学部の試験会場。
 社会学部の試験は国立の方だという。
 あわてて飛び出し,タクシーをつかまえた。
 運転手が「さっき乗せた客は国立からだよ」と笑う。
 そこつな受験生は他にもいたのである。

12/22
◆そこつ者 2
 そこつ者の体験談をもう一つ。
 [以下削除。同じ話をすでに04/02/07に書いていた。そこつな話!]

12/23
◆ゴミ回収
 団地のゴミ置き場を清掃する当番の最終日。
 金曜は燃えないゴミの回収日である。
 朝,ゴミ置き場にはゴミが山積み状態であった。
 昼,清掃しに帰ると,まだ半分ぐらい残っている。
 紙類やプラスチック容器など,ルール違反ゴミのようだ。
 清掃当番はそれをどうにかしなきゃならない。
 ええい,夕方までこのままさらしておこう,と学校に戻る。
 日没まぎわ,校内での会議を中座して帰宅。
 明るいうちにゴミ置き場に走ると,ゴミは一つもなし。
 年末ゆえ清掃車による回収は2度行われていた。
 しかも,ルール違反も見逃してくれる親切ぶり。

12/24
◆酢キャベツ
 学会の用事で上京する。(場所は恵比寿の日仏会館)
 会議の後はビアホールに行くのが恒例で
 ソーセージとザウアークラウトを頼むのも恒例だ。
 フランス語でシュークルートという酢キャベツは
 けっこうみんなのお好みなのである。
 フランスの学食でよく出されるからね。
 その貧乏くさい味をめいめいの思い出とともに楽しむ。

12/25
◆バーサンの世話
 朝9時過ぎにデイケア施設からお迎えが来る。
 バーサンを車イスに乗せて待機する。
 それは娘の仕事。
 その時間,家にいるのは娘だけだからだ。
 たまたまぼくがいても,やはり娘にまかせる。
 バーサンをだっこするのがぼくには苦手だ。
 朝9時,まだ眠っていた娘をむりやり起こす。

12/26
◆とんぼ返り
 年末に上京しても2泊のみで鹿児島にもどる。
 職場全体の忘年会で「乾杯」の音頭を取るためだ。
 親睦会会長の数少ない出番ゆえ欠かせない。
 ここ鹿児島でも2泊したらまた上京する。

12/27
◆乾杯
 忘年会は古くて小さなホテル「満秀」でおこなわれた。
 地階にある温泉も小さいが,泉質は良い。
 お湯をゆっくり味わい,忘年会に遅刻しそうになる。
 全員が静かに待つ会場は空気も冷たかった。
 ぼくの仕事は「では,かんぱ〜い」の一言のみだが
 それがなければ会が始まらないのである。

12/28
◆臭覚
 東京駅から中央線の特別快速に乗る。
 ドア近くの席に座ったら妙な臭いがする。
 隣に立つ30台の女性がその源のようだ。
 化粧の匂いではなく,獣のような臭いである。
 ぼくの嗅覚はこのところ活性化しているが
 おかげで悪臭まで感知するのが困る。

12/29
◆ネパール料理
 国立市の旭通りには,本場カレーの店が並ぶ。
 インド料理店「シシュマハル」とネパール料理店「ミトラ」だ。
 どちらもナンが食べ放題なのもうれしい。
 ミトラのサグ(ほうれん草)カレー 840円は
 ちょっと泣けちゃうぐらいおいしいぞ。
 ここはネパールの子どもを支援する会の本部でもある。
 ホール担当の女性は京大→大学院卒だそうで
 そこらへんも国立(くにたち)っぽい感じ。

12/30
◆脱力系
 ゼミ生が薦める石原まこちんの漫画『The 3名様』を読む。
 深夜のファミレスにつどうニート3人組の物語だ。
 なるほど,そのユルユルとした感じは悪くない。
 学生は実写版のDVDも誉めていたので,観たが
 これは,俳優が妙に熱演で,鼻白ませる。
 映画「ソウルトレイン」も原作=石原まこちんで
 レンタルビデオ屋で深夜働く若者の話。
 たまたま観たけど,やっぱりなんだか暑苦しいぞ。
 米映画「コーヒー&シガレッツ」(2003)が表現するような
 軽みってのが観てて気持ちいいんだけどな。

12/31
◆時計じかけのオレンジ
 洗面台の横の棚にバーサンの入れ歯が置いてある。
 イヤでも目に入り,不快である。
 バーサンは胃瘻(いろう)という措置により
 もはや入れ歯を必要としない。
 だから,どかしといてよ,と奥さんに頼んだのに
 ちっともいうことを聞いてくれない。
 毎晩,不条理感を覚えつつ自分の歯を磨く。

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