2007年
 つぶやき

1/1
◆哲学のライオン
 映画館で観たアニメ「鉄コン筋クリート」は
 なんだか難解なくせに底浅の印象だった。
 原作者=松本大洋は「ピンポン」の作者でもあるが
 ぼくに言わせりゃ,あれも雰囲気漫画だね。
 雑誌『ユリイカ』の1月号は松本大洋を特集。
 略歴を読めば,母親は詩人の工藤直子じゃないか。
 それを知ると松本大洋を「許す」気分になった。
 血筋で人を判断しちゃいけないんですけどね。

1/2
◆ホームビデオ
 約20年前,長男の小学校入学時にビデオカメラを購入した。
 8ミリビデオゆえ,今では再生するのも難しい。
 なんとか再生機が動く間にデータを移そう。
 正月休みを利用して,パソコンでDVD化の作業。
 ようやく数本分を移し終えた。

1/3
◆新しもの好き
 長男の小学校入学式を撮ったビデオを観ると
 ほかの保護者は誰もビデオカメラを手にしていない。
 つまり,うちだけが突出していたわけだ。
 SONY CCD-M8(初代のハンディカム)は
 光学ファインダー,録画専門で,再生機能は備わらない。
 それでも,待ってました,と発売直後(1986年)に購入した。

1/4
◆一家離散
 今年の正月は子どもたちがそろわず集合写真を撮れず。
 成長するとはそういうものだ。

1/5
◆正直スッチー
 鹿児島に向かう便で機内販売のカタログをみる。
 小銭を入れやすそうな財布が目にとまる。
 乗務員の女性を呼びとめて質問した。
 「花柄ですけど男でも使えますか」
 「少し難しいかもしれませんね」
 「使いやすそうに見えたもんで」
 「硬貨はたくさん入らず,こぼれちゃいますよ」

1/6
◆危機感
 1月6〜8日は3連休なのに早々と帰鹿した。
 5日に大学改革がらみの学内会議があるためだ。
 吹けば飛ぶような小規模校だからこそ
 必死で存在価値をアピールしなければならない。
 それをやんなきゃ生き残れない,と
 半泣きで取り組むべき改革なのである。
 設置者(県知事)の靴の底をなめてでも
 命乞いをしなきゃならぬ局面が間近に迫る。
 てなことを感じている人はごく少数で
 会議の雰囲気はあいかわらず微温的。
 そして,じつはこの安楽死路線に乗る方が正しいのかもしれん。

1/7
◆二酸化炭素
 鉄筋アパートの部屋の狭さも良し悪しだ。
 灯油ストーブの効きが良い。
 しかも,すきま風も入ってこない。
 てことは炭酸ガス中毒と背中合わせの暖かさ。
 ほんわか気分でうたた寝すると危ないぞ。

1/8
◆自己開示
 仲正昌樹先生は1963年生まれながら,すでに著書多数。
 彼が語り下ろした『ネット時代の反論術』(2006)によれば
 ブログへの書き込みは「下品な行為」だそうだ。
 大学教授が自分のブログにエッセイや論考を書き込むのも
 「昔の知識人の感覚」からすると「ものすごく下品」だという。
 たしかに,そうかもしれない。
 問われもせずに自分を語るのは「ゆるみ」の極み。
 どうもすいませんね。

1/9
◆粛然
 近所の銭湯「みょうばん温泉」で懐メロを聞く。
 歌は番台のラジオから流れてくる。
 「花摘む野辺に陽は落ちて〜」というやつ。
 妙にじ〜んと来るのは高杉一郎の本を読んだからだ。
 高杉が自らのシベリヤ抑留と帰還後を回想した著作
 『征きて還りし兵の記憶』(2002)は読者を厳粛な気分にさせる。
 ぼくもまじめな気分のまま銭湯に行き
 脱衣所のベンチで懐メロを首うなだれて聴く。

1/10
◆最高級機の Mac Pro
 新しいデスクトップPCが研究室に運び込まれてきた。
 わくわくしながら箱から出してセットする。
 ところが,インターネットにつながらない。
 無線LANのカードが装着されていなかったのだ。
 マックの下位機種には最初からついているものなので
 最上位の Mac Pro なら当然ついてるはず,だった。
 あわてて仕様書を読むと,あちゃ〜,オプションと書いてある。
 カードの後付けの仕方をアップルの本部に問い合わせる。
 Mac Pro への装着は自分じゃできないんだそうだ。
 カードも一般に販売されてないし,装着法も特殊。
 しかも,その作業をしてくれる店は鹿児島にはない。
 福岡の「クイックガレージ」という専門店に頼むしかない。

1/11
◆乱雑
 校費予算の削減以前,研究室は業者が毎日清掃してくれた。
 以後は,教員がそれぞれ自分で掃除しなければならない。
 いきおい,ぼくの部屋は紙類のゴミであふれる。
 床をはう電気コードなどは隠れて見えない。
 コーヒーメーカーを3台ダメにしたのはそのせいだ。
 テーブルから落としてサーバーのガラスを割る。
 サーバーがステンレス製のを買ったのでもう大丈夫。
 って,おい,ちゃんと掃除をせんかい。

1/12
◆未刊の訳書
 法政大学出版局から年賀状を兼ねたお知らせが届く。
 ぼくが2年半も前に訳し終えた本についての報告だ。
 レイモン・アロン『マルクスのマルクス主義』
 3人による共訳だが,いま訳語の統一をしているんだとか。
 ぼくは他の訳者と面識がなく(同例は過去にも2度)
 担当部分を済ませた後は,すべて人まかせ。
 最近ぼくには業績がないので,出版されればありがたい。

1/13
◆島の美俗
 沖永良部の「一重一瓶」の風習をまねて宴会を開く。
 めいめいが酒肴(お重と酒瓶)を持ち寄る集いだ。
 この一年,職場で3度,ぼくが呼びかけて開いた。
 そんなことをおもしろがる人は限られているようで
 なんだか毎度,顔ぶれが同じだぞ。
 と,グチりかけたら,島出身の同僚に諭された。
 一重一瓶は出入り自由,融通無碍の空間。
 人の多さをめでたがらず,少なくても嘆かない。

1/14
◆讒謗(ざんぼう)
 どこかの書評でほめられていた『目白雑録2』を読む。
 金井美恵子の悪口エッセイ。(朝日新聞社,2006)
 人を実名で批判するのがこの本の「売り」だ。
 毒づきの芸を期待したが,ブログレベルの内容だった。
 ま,売文稼業の辛さも書かれていたので許す。

◆納豆トースト
 金井美恵子が本の中で紹介していた朝食。
 一瞬おいしそうに思えたので,作ってみる。

ゴマ油を熱したフライパンに納豆を入れ
その上に卵を落としてフタをして半熟にし
カツオ節,のり,しょう油をかけて
カラシを塗ったバター・トーストに載せる。

 さほど短時間ではできず,しかも,さほどおいしくもない。


1/15
◆歩哨 sentinel
 フランスのトロツキスト,ベンサイド(パリ第8大学)は
 "Walter Benjamin" (1990) でベンヤミンを夜明け前の歩哨に見立てた。
 日本のトロツキスト,佐々木力(東大)の近著を読んで
 ふたたびそのことを思い出したよ。
 『21世紀のマルクス主義』(ちくま,2006)に聖書からの引用がある。
「見張りの者よ,今は夜の何どきか
 見張りの者よ,夜の何どきなのか。」
見張りの者は言った。
「夜明けは近づいている,しかしまだ夜なのだ。
 どうしても尋ねたいならば,尋ねよ
 もう一度来るがよい。」

 このイザヤ書21章はあのマックス・ウェーバーの
 『職業としての学問』の末尾にも引用されている。
 岩波文庫を読むと,昔の訳のほうがかっこいいね。

斥候(ものみ)よ,夜はなお長きや。
ものみ答えていふ。
朝(あした)はきたる,されどいまはなほ夜なり。
汝もしとはんとおもはゞ再び来たれ。

1/16
◆のんびり
 本屋で『アナキズム』という雑誌を見かけ購入した。
 2006年11月に発行された第8号である。
 読んでおもしろかったのは「3バカの対談」。
 小さな活字だし,かなり長い対談だが,読ませる。
 んで,対談日は2005年12月と,昔すぎるんでまた笑った。
 「原稿をまとめるのに手間取った」からだそうだ。

1/17
◆絶対音感
 テレビで古賀稔彦が自分の柔道人生を語っていた。
 中学生のときに映画「ロッキー」を観たといい
 ロッキーのテーマを口ずさんでみせる。
 そこへサントラ音楽が後から重なるわけだが
 音程がきちんと合ってたので少ししびれたよ。
 音響の技術で調整したのかもしれないが,それでもね。

1/18
◆サポートセンター
 新しいデスクトップPC(Mac Pro)の調子が悪い。
 外部スピーカーへの出力ポートに問題があるし
 起動時には勝手に変なソフトが立ち上がる。
 んで,アップルの相談窓口に電話した。
 まず,マシンが自動的に Adobe製品をダウンロードしようとする問題。
 これはぼくが一度ダウンロードに失敗したのを
 機械がその後も勝手に再チャレンジしちゃうのである。
 相談窓口の女性は親切にも,長い時間つきあってくれた。

[ただし,そのときは解決せず,後に自力で成功。
 また,音の出力の問題はようやく月末に解けた。
 解決法はアップルの Webページに載っていた。]


1/19
◆ Hit and Away
 2年生のゼミの最終日は雑談会。
 男と別れたばかりという学生がいた。
 男から「君とはいい友だちでいたい」と言われたんだと。
 「その前日にも《やった》くせに,何よ」と学生は怒る。
 う〜む,みうらじゅんの名著『やりにげ』を思い出す。

1/20
◆水漏れ
 朝,台所の床に直径 30cm の水たまりができていた。
 水は天井から落ちてきたような感じで
 飛び散った水滴が直径 60cm ほどの外輪を作る。

 見上げると,たしかに蛍光灯の笠に水滴がぶら下がる。
 しかし,天井自体は濡れてない。
 水はどこから来たのだろう?
 上階の部屋に住民はいない。

1/21
◆習い性
 鹿大での入試業務のあと,駅ビルに行く。
 ちょっと「おしゃれな」ものでも食べようと考えた。
 地下街で行列を見かけたのでとりあえず並ぶ。
 お弁当の半額セールだった。
 前にいたオバサンが3個買ったのにつられ,2個買う。
 家に帰って,お茶もなしにガシガシ食べた。

1/22
◆五十肩?
 肩こりとは無縁だったのに,右肩が少し痛い。
 夜,寝返りをうつたびに痛みが激しくなる。
 ついには寝返りもうてなくなる。(フリーズ状態)
 父を悩ませた,あの神経痛を受け継いだのか?
 それとも,これが噂の五十肩?
 時間をかけて,そろそろとベッドから起きる。
 立てば痛みはやわらぎ,両手もあげられる。
 対処法をネットで調べても,該当する病名が見当たらぬ。

 [後記:痛みは1日で消えました。原因は不明のまま]


1/23
◆孝行
 子どものころ,頼まれて父や母の肩をもんだ。
 それで親孝行をしている気分になれた。
 ぼくは自分の子どもに肩もみなどを頼んだことがない。
 あれれ,親孝行のチャンスを子どもから奪っていたのか?
 奥さんにその話をしたら「大丈夫よ」という。
 ぼくは子どもたちの頼みに嬉々として応えるので
 子どもたちはなるべく父親に頼みごとを言って
 それで父親を喜ばせてあげてるんだと。
 う〜む,なんだか,すっかり読まれている。

1/24
◆管理職
 人に仕事を頼むのが不得手で,人を動かせない。
 人に頼むより自分でやった方が早いし,楽だ。
 とても組織のリーダーになれる器じゃないのに
 来年度(1年かぎりだが)ふたたび学科長をつとめる。
 いまの学科長が転出するんで,急場のしのぎでそうなった。

1/25
◆講義ノート
 というかネタ帳みたいなのを作っている。
 ネタはパソコンに仕込んで,そのつどプリントする。
 そのプリンターがきちんと動かなくなった。
 とうとう講義に間に合わず,手ぶらで行く。
 案の定,かなり早めにネタが尽きて講義終了。
 そもそも脳内の引き出しが空疎なのがいけない。

1/26
◆咀嚼
 女性向けの雑誌でダイエット記事を読む。
 秘訣のひとつは,ガツガツとかき食らわないことらしい。
 口の中に食べ物があるうちは別のものに箸をつけるな!
 うむ,実践してみると,たしかにペースが落ちる。
 と,一度は納得したが,あまりにまだるっこいので
 ほどなくいつものペースに戻る。
 この早食いが,ぼくの一番「年齢にふさわしくない」部分。

1/27
◆だいやめ
 鹿児島の飲み屋の看板でよく見かける言葉だ。
 だい=だれ=疲れ,やめ=止め
 で,「だいやめ」は「疲れ発散」を意味する。
 だいやめセット1500円で,料理数皿と2時間飲み放題。
 同僚と連れだって,安サラリーマンっぽさを味わう。

1/28
◆円グラフ
 学会の年報をパソコンで編集している。
 今度の号は表やグラフが多いので弱っちゃう。
 しかも,できあいのグラフのコピーを郵送してきた人もいる。
 そのコピーも小汚く,そのままでは使えない。
 この人は非会員だし,寄稿をお願いしたので文句も言えない。
 こちらでグラフを一から作り直すしかない。

1/29
◆レシピ
 大玉のキャベツを1個,手に入れた。
 調理法をウェブで検索する。
 缶詰のトマト,鶏肉などとともに,圧力鍋で煮る。
 これが,じつに,一人笑いしちゃうほどおいしい。

1/30
◆楽勝
 Web内をうろついて「みんなのキャンパス」に出会う。
 あちこちの大学の授業評価ページである。
 ぼくの授業についても,いくつかのコメントあり。
 以下はその一つ。(日付は2006年5月5日)
うちの学校一変な先生だと思います。
が,私は楽しく講義を受けました。
お近づきにはなりたくないのですが,
遠くで見てる分には楽しい先生です。
講義は寝てても大丈夫なのでとっても楽勝です。

1/31
◆通学バス
 鹿児島中央駅の「裏口」の近くに住んでいる。
 その「裏口」にもバスの発着所がある。
 県立や私立の高校が終点だから,ま,通学バスだね。
 うちの学校近くの高校に行くバスもあるが
 土日は走らず,朝の便は8時4分が最終だ。
 たまに乗ろうと思っても,なかなか間に合わない。
 4.5キロの道のり,え〜い,歩いちゃおうかな,と思ったりする。

過去の記事
1998年
1999年
2000年---------10-11-12
2001年---------10-11-12
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2003年---------10-11-12
2004年---------10-11-12
2005年---------10-11-12
2006年---------10-11-12

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