2008年
 つぶやき

1/1
◆少年スポーツ小説
 『バッテリー』=野球物,『一瞬の風になれ』=陸上物に続けて
 『この風にトライ』(集英社,07年12月)=ラグビー物を読む。
 元ラグビー選手が小学校教諭になって
 ラグビーの楽しさを教える,という物語。
 著者=上岡伸雄は学習院大学の英文学教授で
 現代アメリカ文学の翻訳が主な仕事のようだ。
 もうちょっとヒネリのきいた話を期待したが
 ほとんどストレートに予定調和に向かう。
 しかも,読者を感動させようと狙っているあたりも
 やや下品かな。(と思いつつ少し感動)

1/2
◆鶏ガラ
 うちのバカ犬がなぜか元気回復。
 勝手に台所に入り,流しに首を突っこんでる。
 コラーッと大声で叱ったら
 鶏の骨をくわえて庭へ逃げ出した。
 俗説かもしれないが,犬に鶏の骨は御法度だ。
 鶏の骨は縦に鋭く裂けるので危険らしい。
 犬を追って庭に出たら,骨はすでに犬の腹中。
 わしゃ知らんぞ,もう。

1/3
◆ああ忙しい
 たまたまなんだけど,仕事をかかえて上京した。
 1月上旬に仕上げるには正月関係なしに働かねば
 と思いつつ,本を読んだりDVDで映画を観たりしてる。
 おまけにテレビでスポーツ観戦。
 朝から箱根駅伝,昼からは大学ラグビー準決勝2試合。
 高校サッカー2試合は録画して,後で観る。
 いずれにも,それなりに応援しているチームがあるもんで。

1/4
◆業績なし
 院生時代の知人の消息は活字化された論文で知る。
 その意味ではぼくももっと論文を書くべきである。
 しかし,それは若い頃から「習慣化」してないとダメだね。
 関西大の竹内洋氏が『日経新聞』(07.12.27)で
 述懐していることは,わがことのようにうなづける。
わたし自身、博士課程を終えて大学に就職した[……]時点で論文は3つだった。
いま3つの論文だったら、採用されないことはもちろん応募者の中での研究業績順では下位になる。[……]
指導教官から論文はやたらに書くべきものではない、よいものを書くこと、といわれていた時代のせいもあった。
まして学位論文などは、もっと年輩になって、研鑚をつんでから請求すべきものだった。
だから当時の水準でいえば、論文3つはまあ普通レベル。
3つどころか査読なしのお手軽論文ひとつで専任講師や助教授になった人も少なくなかった[……]。

1/5
◆フォー(ベトナム麺)
 チャリンコに乗って隣町(立川)に行く。
 米映画「再会の街で」Reign over me を観る。
 主人公たちがしみじみ中華を食べるシーンに触発され
 帰りには何かエスニックな料理を食べたくなる。
 駅ビル内の「ニャー・ベトナム」でフォーを食べる。
 950円だが,お正月だから許す。

1/6
◆こたつ
 座布団を枕にうたた寝をする至福のひととき。
 子どものころは掘りごたつだったな〜。
 あの練炭の匂いを思い出す。
 母親はのべつ立ち働き,こたつに入ることがなかった。

1/7
◆庭師
 庭の木をいじりに来るオジサンは脱サラの庭師。
 半分趣味みたいなところがあって
 自分の美意識にしたがい,ていねいに仕事をする。
 木をいじりたくてしょうがない,って感じ。
 もともと押しかけの形でつきあいが始まった。
 通りがかりに木を見て,むしょうに気になり
 いじらせてください,と声をかけてきた。
 それを許したうちの奥さんも偉い。
 普通なら,そんな申し出,警戒しちゃうでしょ。

1/8
◆ポイ捨て
 出版社のPR誌をJR中央線の車中で読む。
 その雑誌は羽田空港のゴミ箱に捨てた。
 あっ,飛行機のチケットを雑誌に挟んでおいたんだ。
 それをゲートの前で思い出す。
 あわててエスカレータを駆け下りる。
 どこで捨てたのか,うろ覚えゆえ半泣きだ。
 幸い,エスカレータ横のゴミ箱にて発見できた。
 怪しいオヤジがゴミ箱をあさる姿を人々が眺める。

1/9
◆ねんごろ
 「懇ろ」……夜中にふと思い出した言葉。
 中学生のとき図書館で読んだ本のなかにある。
 その本は『金瓶梅』(平凡社の中国古典文学全集)。
 田舎の図書館なので本の数が少ないため
 そういう本まで読んじゃったのね。
 人間の女に化けた狐などが,すぐ男と「懇ろ」になる。
 懇ろとは具体的に何なのかわからなかった。
 性交とか出産については本で知識を得ていたが
 「懇ろ」は何かいやらしげ,というイメージにとどまる。
 じつは今でもよくわかっていない。
 どうすれば男女が懇ろになれるか,神髄は不明のまま。

1/10
◆ルール違反
 団地のゴミ置き場の清掃当番が回ってきた。
 ほぼ半年ごとだから,そろそろかな〜と覚悟していた。
 あいかわらず分別違反のゴミが出されている。
 違反のゴミは団地の物置に運んでおいて
 正しい回収日に出し直さなきゃならん。
 帰宅が遅れ,深夜の闇の中,違反ゴミを運ぶ。

1/11
◆許容範囲
 翻訳につづいて学会の年報の編集に取り組む。
 たまたまDTPソフトをもっていることと
 その種の作業が嫌いではないので引き受けてる。
 さっそく原稿が送られてきた。
 グラフや表が多い。
 取り込んで貼り付ける作業は難しくはないが
 できばえについては執筆者から文句が出るかもしれん。
 苦情が出たら,いちいち頭を下げねばならない。
 ボランティアなのに,とも思うが,それは言わん。

1/12
◆無礼講
 秋に続いて新春の「一重一瓶」を催す。
 職場の飲み会だが,参加者はいつも十人程度。
 まさしく談笑するには,これが適正規模かもしれん。
 ひたすらバカを言い合う非生産的な空気も良い。
 ただ,ここ数日の疲れが出て,途中で寝ちゃった。

1/13
◆ドキュメンタリー
 鹿児島コミュニティシネマの定例会に出る。
 熊谷博子「ふれあうまち」(1995)を素材に語り合う。
 映画は,10年以上前の東京の下町(向島)の路地裏を映す。
 この作品は,ぼくの観るところ,つくりが素人くさい。
 ちょっと芸のあるホームムービーって印象。
 ところが,ぼくよりはるかに映画に詳しい人々は
 こぞって熊谷作品を高く評価する。
 その訥々(とつとつ)とした趣きがよいらしい。
 逆に,NHKのドキュメンタリーの作り方は否定される。
 いかにもシナリオどおりといった「流れる感じ」がいけないみたい。

1/14
◆二人の世界
 夜11時過ぎ,鹿児島中央駅裏の公園を通りかかる。
 ベンチに座った男女がひしと抱き合って動かない。
 この小さな公園に遊具はほとんどなく
 タクシーの運転手が利用するトイレが目立つ程度。
 カップルがひしと抱き合うには道路に近い。
 つまり,人目もあるだろうに(と,ぼくは思う)。
 が,鹿児島の男女は冬場でもこれだ。
 夏場はもっと激しいぞ。
 上京したとき,犬の散歩で,夜あちこち出歩くが
 東京近郊では,こういう光景を見かけたことがない。

1/15
◆カフェ文化
 英映画「ヴィーナス」で男の老い方を学んだ。
 ピーター・オトゥールはヨボヨボなのに色気があるぞ。
 老人たちが集うカフェの光景にも感心した。
 互いにバカを言ったり,ケンカをしたり……
 そういうカフェはロンドンにもパリにもNYにもありそうだ。
 日本だって名古屋あたりにはありそうだ。
 だけど,ここ鹿児島にはない。
 老人県なのに,男の老人の溜まり場がない。

1/16
◆密室
 学生をきつく叱ることができない。
 ところが,たまたま話のわからない学生に
 つい声を荒らげてしまった。
 反応が鈍いので,だんだんトーンが上がってしまったのだ。
 ふと気づけば相手(男子学生)の目が据わっている。
 いかん,境界線を越えたのかもしれん。
 狭い研究室に二人きりという状況もまずい。
 かといって,急に笑顔を見せるのも変だ。

1/17
◆焼肉
 夜間部のゼミ・コンパは焼肉屋で開く。
 久しぶりにガツガツ食った。
 ぼくの前だけテーブルがタレの飛沫で汚い。
 ぼくの食べ方が下品なせいである。
 それは学生たちにも指摘されたが気にしない。

1/18
◆人の上に立てない
 学期末恒例の授業評価アンケートが始まる。
 そして,またぼくが全部の集計作業を引き受ける。
 入力・集計のソフトが使えるからだ。
 若い人にやらせるべきだが,頼めない。
 しかも,ぼくがやった方が仕事は速い(と思う)。
 「使いっパ」の誇りにすぎませんけどね。

1/19
◆マック・ユーザー
 マック愛用者グループの定例会に出る。
 ノートパソコン( MacBook)の反応が鈍いので
 先達に教えを請うためである。
 会場で他の人のノートパソコンと比べたら
 ぼくのは決して鈍い方ではない。
 安心半分,Apple はどれもそうかと落胆半分。

1/20
◆熊谷博子監督を囲んで
 ドキュメンタリー映画「三池」の上映会を催す。
 場所は歴史資料館「黎明館」講堂である。
 映画は前にテレビモニターで観たときと印象が大きく異なる。
 多くの観客と同様,ぼくも泣いちゃいました。
 やっぱりスクリーンで観なきゃダメってことですね。
 夕方,監督を囲んでのお食事会にも参加しました。
 ぼくは映画にでてきた「職制」という言葉について
 「それって今や死語みたいですね」と余計な発言をした。
 すると監督は「そのことブログに書いてたでしょ?」という。
 おっしゃるとおり昨年11月の試写会後にそう書いた。
 監督は自作の評判を Google で検索しているみたいだ。
 あわてて,今月書いた「悪口」部分を削除したよ。

1/21
◆きちがい
 NHKテレビの番組中,どうどうと語られた言葉。
 金子光晴の特集で,その詩が朗読された。
 たしかに,よい詩で,言葉もその言葉以外にないと思わせた。
 ぼくはしみじみと感動した。
 長く続いた言葉狩りの風潮も薄らいできたようだ。
しきたりをやぶったものには
おそれ,ゆびさし,むほん人だ,
狂人(きちがい)だとさけんで,
がやがやあつまるやつ。

金子光晴「おっとせい」より


1/22
◆議論を楽しむ
 鹿児島コミュニティシネマの世話人会に出る。
 来年度の上映作品の選定が話題の中心だ。
 意見が対立し,議論は白熱する。
 鹿児島で映画文化をどう盛り上げるか,が
 共通の課題ゆえ,志はひとつだ。
 だから,どの発言もぼくを楽しませる。
 こういう雰囲気,かつてはわが職場にもあったんですけどね。

1/23
◆天文館
 鹿児島市の繁華街から本屋が消えそうだ。
 かつて大型書店2軒の進出で地元書店が一掃され
 いまではその大型書店が撤退する流れである。
 1軒はすでに店じまいをし,残るジュンク堂も
 そろそろ見切りをつけそうだ,との噂。
 映画館もなく本屋もない「繁華街」って何だ?

1/24
◆割愛
 教員が他の大学に転出しようとするときには
 まず先方からこちらに「教員割愛」の願いが来る。
 教員を引き抜いてごめんね,と詫びる形である。
 ところがそれをしない大学もあるんだと知る。
 割愛の形だと教員に有利な前歴計算がなされる。
 逆に,新規採用の形だと雇う側に有利だ。
 それでもOKという教員がいるから足下を見られる。

1/25
◆峠彩三
 先日,NHKで金子光晴の特集を観たが
 そのなかで鹿児島のラーメン屋のオヤジが登場する。
 晩年の詩人の写真集『金子光晴散歩帖』の著者だからだ。
 テレビでは店内の様子がうかがえたが
 そのラーメン屋の店名がわからない。
 NHK鹿児島に電話で尋ねたら「とことんラーメン」だと。
 ネットで検索すると,このオヤジは1950年生まれで
 中学浪人のあと県内で有名な進学校,鶴丸高校に入る。
 卒業後,上京して写真家となる。
 長くキャバレーハワイの社内報嘱託カメラマンを勤める。
 う〜む,なんだかいろんなことがあった人生みたいだね。

1/26
◆蔵前工業会
 東京工業大学の同窓会の名前である。
 一橋大学の場合は如水会という。
 その他,東京外語大と東京医科歯科大をあわせて
 マイナー系4大学合同の同窓会(鹿児島支部)が開かれた。
 ぼくは地元の実業人と親しく交わる機会を求めて
 数年前から顔を出すようにしている。
 ところが,如水会以外の人は大学の教員ばかり。
 つまり,ぼくの同業者だ。
 ぼくの隣も蔵前の会員で,鹿大の教員だ。
 あちゃ〜,と思ったが,この人は存外おもしろい。
 水質検査が専門で,どこの湧き水がおいしいか,教えてくれた。
 微量の下水が混じっているのがおいしさの秘密だと。

1/27
◆切りどき
 気まぐれに髪を伸ばしている。
 耳が隠れるまでになった。
 鏡に映る姿はホームレスのジーサンだ。
 同僚の女性教員複数からも「やめたら」といわれた。
 そんな助言をいただけるうちが華だね。

1/28
◆自己アピール
 学会年報の編集もそろそろ作業が完了する。
 陰徳を志向し,黒子に徹するを美学とする。
 その美意識からすると,編集後記は少し醜悪だ。
 その筆者は短文に自分の名前を何度も出す。
 ぼくは本来ならそれを黙って受け入れるべきだろう。
 しかし,ついクレームのメールを出してしまった。
 相手から不快感まるだしの返事をいただいた。
 あちらはあちらで別の美意識があるから当然かな。

1/29
◆労を厭う空気
 授業評価アンケートの読み取り・集計作業をしている。
 前期に引き続き後期もぼく一人でやってる。
 事情があって事務職員の仕事ではないとされた。
 ちいさな学校でも用紙の総数は6千枚ぐらいになる。
 (1科目あたりの受講者数は20〜30人)
 用紙をスキャナーにかける前の準備作業が辛い。
 用紙の裏表や上下をイチイチそろえなきゃなんない。
 学科の会議でその「苦労」をちょっと語ったが
 ねぎらいの言葉や手伝いの申し出もない。
 たしかに,この仕事,自分で買って出たところがあるから
 同僚からは同情どころか,むしろ冷笑が返ってくる。

1/30
◆趣味の店
 地域の情報誌にラーメン特集が載っていた。
 ぼくんちの近所に昼間だけの店があると知る。
 そのラーメンは値段が950円とお高い。
 好奇心で訪問すれば,路地裏の民家だ。
 店内には信州の民具や高級そうな瀬戸物が飾ってある。
 ほかに客がいないので,なんだか落ち着かない。
 ラーメンは,作り手の気持ちの込め方はともかく
 味は普通。

1/31
◆タイムマシン
 大枚6万円をはたいて外付けハードディスクを買う。
 昨年末のノートPCに続いてデスクトップPCまで
 様子が怪しくなったので,データ保存用である。
 Mac OS 10.5(俗称 Leopard)に備わる Time Machine という機能は
 アプリケーションを含む全ての内容を記憶してくれる。
 つまり,健康だった過去の状態が再現できる(らしい)。
 いつでも好きな時代に戻れる(らしい)。

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