2008年
 つぶやき

5/1
◆福島知己
 若手のフーリエ研究者で,俊才である。
 雑誌『思想』4月号掲載の論文抜刷をいただいた。
 「シャルル・フーリエによる経済学」
 福島さんのいいところは,おもしろがって研究していること
 そして,おもしろいことをおもしろそうに表現できること。
 この分野でも時代が変わったなと感じさせる。
 ぼくが大学院生のころは,おもしろがっちゃいけなかった。
 いまでも多くの学者は制度化された作法にのっとり
 内容希薄な論文を重々しげに書いている。
 福島さんにはその弊習を打破する潜在力がありそうだ。

5/2
◆暗い眼
 授業では毎回,学生にレポートを書かせる。
 理解度を確かめ,かつ出欠点検にも役立つ。
 感想文みたいなものだから大半の学生はさっさと書く。
 ところが,ベルが鳴っても出さず,じっとしている者がいる。
 ぼくは近づいて「どうしたの?」と声をかけてみた。
 彼女は黙ったまま,ぼくを見上げる。
 「私を深追いするな」というメッセージと受け取り
 ぼくもレポートをもらわず,黙って後ずさりした。

5/3
◆自重
 「人をバカにするな」といった憤りを買ってる気がする。
 ぼくが何かしゃべると,この種の反応がまま見られるので
 基本的には「なるべく無口でいよう」と思う。

5/4
◆ドライブ
 朝,市民の映画サークルの世話人会に出て
 流れで昼食をともにしたら,そのままズルズル。
 薩摩半島南端のフラワーパーク見物にもつきあう。
 道中もずっと映画談義が続く。
 ぼくも,お腹を見せて寝ころぶ犬のように
 何の警戒心もなく,バカを言って楽しむ。

5/5
◆カレー
 むしょうに食べたくなり,市販のルーで作る。
 1箱を丸ごと使い,5皿分できちゃった。
 う〜む,まずくもないが美味ともいいがたい。
 これから少なくとも3回に分けて食べなきゃならん。

5/6
◆指笛
 奄美料理店で島唄を生で聴く。
 狭い店内で踊る人もいる。
 指笛を鳴らす人もいて大騒ぎだ。
 ちょっと感動して帰宅し,指笛の練習をする。
 やり方はネットで調べた。
 深夜ゆえ成功しても困るが,心配はご無用
 さっぱり音は出ず,頭がクラクラするのみ。

5/7
◆『金子光晴 散歩帖』
 鹿児島市の南部,宇宿商店街にあるラーメン屋に行く。
 店主は元写真家だ。(「つぶやき」08年1月25日参照)
 そのラーメンを食べてみたくて足を運んだ。
 ラーメンの方はともかく,店主には味があるぞ。
 ほかに客がいなかったので,たっぷり話ができた。
 それだけでもありがたかったのに
 写真集(現代書館,02年,3500円)までいただいちゃって……

5/8
◆むだ走り
 鹿児島の街は国立(くにたち)に比べると緑が少ない。
 それでも車で少し走ればすぐに緑濃き山奥だ。
 1年ぶりに秘湯(永盛温泉)を訪れる。
 と,本日休業の看板。
 主とおぼしきオジサンが出てきたので聞いてみると
 2〜3ヶ月は休みにするそうだ。
 その理由については方言がきつくて聞き取れず。

5/9
◆ポイントカード
 ご近所のスーパーのカードは持っていない。
 持っていればポイントが貯まり,御利益もあるみたいだが
 それはなんだか俗っぽすぎてイヤだ,と思う。
 そのくせJALのマイレージは必死で貯めたり
 ヤマダ電器に立ち寄っては来店ポイントをもらう。
 つまり,根は下品なのに,ときには上品ぶりたいのである。(笑)

5/10
◆機関紙
 鹿児島コミュニティシネマの活動に力が入る。
 機関紙づくりの担当者が離脱したので
 その仕事まで引き受けたいと思う。
 誰に頼まれたわけでもないから,単なる出しゃばりだ。
 もちろん自分の名前は出さず,匿名の美学は貫く。
 [あ,ここは笑うとこです]
 これまで年3回がやっとだったが,これからは月刊だ。
 校務が減ったのでエネルギーは余ってる。

5/11
◆サークル活動
 消極論を唱えて,場の盛り上がりに水を差す人
 ま,そういう人間の存在も必要だろうけど
 なんかイヤな感じがする。
 みんなで楽しくバカを言って楽しもう,と
 遊び気分で参加しているぼくの方に問題があるのか。

5/12
◆嗜好のレベル
 先月「お試し」で買った新茶 50グラムは,すぐになくなった。
 また日本茶を,と思うが,けっこう高いもんだね。
 店先でしばらく悩んで,ひどく安いのを選ぶ。
 帰宅して飲んでみたら,これが臭くて,まずい。
 値段どおりなんだな〜,と納得した。
 しかし,こういう風にグレードを上げていくと
 もう後戻りができなさそうな気もする。

5/13
◆鹿児島の不動産屋
 コミュニティシネマの事務所を移転したい。
 いまは別の文化団体に軒下を借りている。
 だから物も置けず,作業もできない。
 最近ちょっと良さげな空き事務所を見つけた。
 で,とりあえず仮押さえをしておこうとしたら
 不動産屋は申込用紙みたいな紙をさしだす。
 その連帯保証人の欄も埋めよという。
 家賃滞納などの場合に備えて,とずいぶん用心深い。
 ぼくは公務員だから社会的信用の面で問題ないはずだし
 人に相談もなく連帯保証人の名をあげることもできない。
 これ,どうしても必要なんですか? と聞くと
 ええ,フォーマットですから,とニベもない。
 なんだかお役所にいるような気分になった。

5/14
◆町内会費
 納入用の封筒を100円ショップで買う。
 領収印を押す欄などをプリントして全戸に配布した。
 会費を集めて地区長に届けるのが班長のしごとだ。
 月額350円でも1年分(4200円)はけっこう高い。

5/15
◆朝食
 きちんと食べてます。
 最近のお好みはお茶漬けだから,簡単だ。
 前の晩に買ったおにぎりにお茶をかけるだけ。
 見た目は悪いが,納豆も入れる。

5/16
◆構図
 假屋崎省吾(華道家)を紹介したNHKの番組を録画しておいた。
 ドキュメント「考える」というシリーズである。
 クリエーターはどうやって感覚を形にしていくのか。
 假屋崎は風景やモノをひたすらデジカメで撮り
 プリントを眺めてはインスピレーションを得ている。
 なるほど,そのデジカメ画像はどれもきれいだ。
 無造作にパシパシ撮影しているくせに
 どの絵も構図がぴしっと決まっている。(おみごと)
 番組では,新宿西口に大きな生け花を置く作業が紹介された。
 通勤者の足を止めさせるようなものを作るのが狙いだ。
 しかし,その結果はほとんど失敗でしたね。(苦笑)

5/17
◆ 13万アクセス
 200日で1万アクセスだから,少しペースが落ちた。
 最近あちこちのサイトを眺めて気づくのは
 カウンターってのはもう流行ってないのね。
 ぼくも,今度レンタルサーバーをチェンジしたら
 それを機にカウンターなんか外しちゃおう。

5/18
◆編集知
 松岡正剛『山水思想』(ちくま学芸文庫,2008)を読む。
 編集工学と称する著者の「ほらの吹き方」が楽しい。
 制度化されたアカデミズムの手法を無視し(嘲笑し)
 想像力を自由に羽ばたかせる。
 普通の「学者」がこれをマネすると痛い目にあう。
 雑多な知識を「まとめあげる」腕力が大切なのに
 たいていは「成長」と引き替えにその力を喪失させられる。
 学者になってから松岡を「発見」すると
 自分もマネできると思うみたいだが,甘いぞ。
 松岡は「学」というが,じつは「芸」なのである。

5/19
◆DV(家庭内暴力)
 20年ほど前,フランスの田舎町(ブザンソン)で暮らした。
 人に誘われて,いろんな政治集会に出てみた。
 アナキスト,トロツキスト,エコロジスト,亡命したチリ共産党員集会
 そして,フェミニストの「虐待された妻を救う会」SOS Femmes Battues。
 へえ,そういう組織があるんだと驚いた。(素朴)
 日本じゃ家庭内暴力の問題はないのか?と問われて
 社会的に問題とされることはない,と答えた。(無知)
 今じゃ,DVなんて普通の言葉だもんね。
 新聞でその文字を見て,ふと昔を思い出した。

5/20
◆映画ファン
 ちょっとした用があって姉(東京都在住)に電話した。
 その姉が「ついでに聞くけど」と映画の話をもちだす。
 米映画「大いなる陰謀」(Lions for Lambs,2007)の結末についてだ。
 大学教授に相談に来ていた若いボンボンは
 最後に何をどう考えるようになったのか
 それが気になって,ずっとモヤモヤしてるんだと。
 姉はネットでぼくの「つぶやき」も読んでいるらしい。

5/21
◆最近のビデオカメラ
 ハイビジョンの画像は 1280×720ピクセルだから
 「普通」の 720×480より格段にデータが大きい。
 従来のDVDで保存することはできるが
 当然ながら画質はガクンと落ちる。
 新型のカメラで撮ったご家庭ムービーを,頼まれてDVD化する。
 元の絵より汚くなるのはぼくのせいじゃない。(小声で弁解)

5/22
◆睡眠時無呼吸
 5つのセンサーを装着して自宅で一晩寝る。
 簡易検査だが,あまり良くない数値が出た。
 重症ではないが軽症でもない。
 肥満によるもの(閉塞型の無呼吸)ではなく
 呼吸を司る脳中枢に由来するものらしい。
 今すぐどーこーする必要はないかも,といわれたが。

5/23
◆他人のブログ
 ときどき「くにたち蟄居日記」というページを覗いている。
 国立の風景写真があり,飲食店情報もあるので楽しい。
 40代半ばの男性で,海外出張も多いみたいだが
 読書も大好きのようで,いわば市井の知識人だね。
 最近タイトルが「インドネシア蟄居日記」に変わる気配。
 この3月スラバヤに赴任し,これから数年そこで過ごすらしい。
 ますます,なんだか他人とは思えなくなった。
 ただ,蟄居というのは語義的に問題がある。

5/24
◆四国最大の都市
 学会の用で松山に来ている。
 人口は鹿児島市と同等だが,雰囲気では勝ってる。
 なにしろ,松山にはアート系の映画館がある。
 シネマ・ルナティックの支配人(橋本さん)とお話ししたら
 意外や,かなりお疲れのご様子だった。
 個人的ながんばりで経営を続けてきたものの
 家賃の値上げ等で青息吐息だとか。

5/25
◆耳学問
 経済学史学会は楽しいな。
 ぼくが若かった頃は,偉い先生が多く
 つまんない報告はしちゃいけない空気があったが
 いまは平気でホラを吹くやつ,無内容な話をするやつが増えた。
 全体として「タガ」がゆるんでいるのだ。
 だから,お気楽モードで参加できちゃう。
 しかも,こっちも年季が入って,それなりに理解能力も高まった。
 つまり,どの話からも「教訓」が引き出せちゃう。

5/26
◆俳風
 子規記念博物館に行く。
 漱石や山頭火などのゆかりの場所にも足を運んだ。
 なるほど,松山は俳句を「まち」の特徴にしたいようである。
 チンチン電車の中にも素人の俳句が貼ってある。
 しかし,まちで見かける素人俳句はどれもつまらない。
 また,ホテルでも商店でもタクシーでも,諧謔味あふれる言葉は聞けず。
 気質としての俳風はもともと不在なのか,死んじゃったのか。

5/27
◆滞納
 町内会費納入袋の回収が思わしくない。
 12戸中3戸が空きなので,9戸に袋を配った。
 2週間たつが,まだ4軒から沙汰なし。
 県庁職員だからといって,みなきちんとしているわけではない。
 督促状を配布しなきゃならん。
 ああ,めんどい。

5/28
◆無反省
 1年生向けの基礎ゼミはプレゼンテーション能力などを育てる。
 各人が短いスピーチをして,周囲からのツッコミを受ける。
 という段取りだが,つっこむ者はなかなかいない。
 そこでじっとガマンするのが良い教師である。
 ダメな教師(ぼく)は,つい口を出してしまう。
 教師に何か言われると昔の学生ならうつむいたりするのだが
 いまの学生は露骨にイヤな顔をする。
 やっぱり口を出すべきでなかった,とぼくは毎度後悔する。

5/29
◆フランス料理店
 かつて住んでいた家の隣にレストランができた。
 ぼくの家はすでに解体され,そこの駐車場と化している。
 ちょっとくやしいので,その店に行きたくはない。
 ま,値段が少々お高いというのもあるんですが。
 さて,その店が半額サービスってのをやる。
 数日間,1日3組までの限定だそうだ。
 半額なら行ってもいいか,と予約の電話を入れた。
 「あの〜,半額の〜」と言いかけたら
 すぐ「それは満席です」と冷たい返事。

5/30
◆リーフ茶
 急須に入れるお茶の葉のこと。
 今年は良いお茶がとれたのに,卸値が下落して
 鹿児島県の製茶農家は難儀しているという。
 もっとリーフ茶を使ってほしい,と訴える。
 だからってわけでもないが,このごろ毎朝飲んでます。
 そのかわりコーヒーを飲まなくなった。
 だんだんジジむさくなったか。

5/31
◆16ミリ映画
 幻の映画「走れクラウス」(1978年,日本)を観た。
 フィルムは鹿児島の某氏宅にあった。
 製作者から十年前に預かったものだという。
 鹿児島教育総合センターの小さな試写室で観る。
 青少年向けの教育映画だが,「何じゃ,これは」という作品。
 蒸気機関車クラウス号と出会う物語のようだが
 話はめちゃくちゃで,第一部(約90分)ではクラウス号は姿も見せぬ。
 この映画,第二部が製作されなかったのも肯ける。
 懐かしい脇役たち,あの顔この顔が拝めるのは良い。

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