2008年
 つぶやき

6/1
◆団地住まい
 町内会費の未納者4人に電話した。
 1人はOK,1人は応答なく,そして2人は非居住者。
 入るつもりで入らなかったり,いつのまにか引っ越していたり。
 で,つまるところ,12戸中6戸は空きなのだ。
 2年前,ぼくが入居したときは駐車場は満杯だった。
 あらためて眺めると,たしかにそこもガラガラ。
 狭くて汚い官舎にゃ住めない,と若い夫婦は考える。
 ぜーたくなもんだ。

6/2
◆機関紙づくり
 県民交流センター内にあるNPO相談室の作業場に行く。
 備え付けの紙折り機を使わせてもらう。
 交流センターは県費のムダづかいと悪口を叩かれ
 来訪者・利用者も少なく,いつも閑散としている。
 おかげで,順番を待たずに仕事ができちゃう。

6/3
◆随筆
 松山の子規記念館で買った『飯待つ間』(岩波文庫)を読む。
 有名な『病牀六尺』などのほかにもこういうのがあったんだね。
 35歳で死んだ子規だが,生きている間に文章を書きに書いた。
 その執念と筆力に感心する。

6/4
◆映画をダウンロード
 4月末,フランス映画「サン・ジャックへの道」(2005)を観た。
 スペインの聖地サンティアゴに向かう巡礼の話である。
 ルイス・ブニュエルの「銀河」(1968)も同じ巡礼話だ。
 キリスト教異端事典を脚本の下敷きにしたとされ
 わけがわかんなくても,皮肉に満ちておもしろいとの評判。
 この「銀河」,もはやDVDの入手が難しい。
 でも,ネットでその映画を丸ごとダウンロードできちゃった。
 字幕は英語のみだけど,画像はけっこうきれいだぞ。

6/5
◆高橋安光
 フランス思想の研究者で,今年3月,83歳で死去。
 高橋アンコー先生の死を,雑誌を読んで知った。
 ぼくの知るアンコー先生は大学の語学教師で
 良くいえば飄々,悪くいえば怠惰,業績を出さない学者。
 しかし,定年間際から晩年にかけて,けっこう仕事している。
 ヴォルテールの哲学事典や書簡集,ドルバックの自然哲学の翻訳など。
 いまのぼくの目から見れば,これは理想的な生き方である。

6/6
◆草むしり
 出張のため,団地で月1回の集団清掃に参加できない。
 いま空室が多く,新入居者にはルール無視が平気な人もいて
 先月も参加者は4名だったから,なかなか欠席しづらい。
 ぼくは小市民ゆえ,前日に一人で草をむしることにした。
 誰かが見てくれてるといいな,と思いながら励む。
 でも,ベランダには人影もない。

6/7
◆自作マニアじゃないけど
 上京したついでに秋葉原の電気街をうろつく。
 別に買いたいものがあるわけじゃない。
 人混みをかきわけ路地から路地をわたり歩く。
 何に使うのかよくわからないパーツの店の前で
 店主と客の話のやりとりを聞くのも楽しい。
 要するに,こういう雑踏に感動する田舎者。

 [後記:6月8日,通り魔による殺戮事件がおきた]


6/8
◆皇居
 朝日新聞で評論家の高階秀爾が紹介していた展覧会を観に
 東御苑(旧江戸城)内にある三の丸尚蔵館に出かけた。
 富士山を描いた作品の特集だ。
 明治初期までは写実的に描かれていた富士山が
 しだいに聖性を帯びたものに変化していく。
 という学芸員解説文の,ほのかな批評精神も上等。

6/9
◆邦画復興?
 料金百円のコミュニティバスに乗って府中へ行く。
 駅前の映画館に行ったのだが,何と満員札止め!
 作品は三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」
 日本の喜劇映画に客が押し寄せるって
 時代が変わったのか?

6/10
◆イヤホン
 秋葉原で買った安物(780円)だが,けっこういいぞ。
 ノートPCに入れた映画を観るときに使う。
 ま,たまたま隣に人がいないからいいけど
 飛行機内でパソコン開いて独笑するのはちょっと恥ずかしい。

6/11
◆梅雨前線
 鹿児島空港に着いて座席をたつとき膝が痛い。
 飛行機は出発前,羽田で故障修理の時間が長く
 それで,客は座ったままの時間も長くなった。
 右膝が痛いのはそのせいかと思った。
 しかし,歩くときの痛みはなかなか消えない。
 気圧の変化がもたらす関節痛ってやつ?

6/12
◆心さわぐ青春の唄
 明け方,まどろみのなか,ロシア民謡が脳内を流れる。
 昔,学生だったころ歌ってた歌だ。
 当時流行った歌声喫茶とは無縁の生活だったが
 大学寮の食堂での「歌う会」に出て覚えた。
 上手も下手も,みんなで相和す楽しみ,それがよかった。
 そうだ,歌声喫茶を鹿児島で「復活」させたらどうだろう?
 本物をよく知らないので予想図はおぼろなれど
 中高年の客たちが高歌放吟する姿は浮かぶ。

6/13
◆梅雨どき
 3年前まで住んでいた一軒家では,雨が漏り
 靴や服にカビが生え,廊下を歩けばナメクジを踏む。
 いや〜,いまの集合住宅ではそういうことがない。
 それだけが取り柄です。

6/14
◆ホモ弁
 近所のほっかほっか弁当がホットモット弁当に変わった。
 うちでご飯を炊くのがめんどうなとき便利。
 ライスだけ買って,お茶漬けにします。

6/15
◆贈呈本
 学会の仲間から著書をいただいた。
 ありがとうの返事を出すために読んだ。
 折も折,学会年報の編集部からその本の書評も頼まれた。
 書評を書くと,著者の気分を損ねそうな気もする。
 ちょうちん書評を書くと,それはそれで問題だ。
 きちんと批評しながら,著者も喜ばせる……
 そういう芸が自分にあればなあ。

6/16
◆パネルディスカッション
 映画で街を元気にする,と題する討論会の記録係をつとめる
 豪雨のなか,けっこう人が集まったのでうれしい。
 パネリストの話も刺激的だったし,聴衆の反応もよかった。
 終了後,回収した感想文をさっそくパソコンに入力。
 こういう黒子っぽい働き方,好きです。

6/17
◆暇なし
 職場の同僚が「ヒッチコックのDVD全集を持ってます」というので
 反射的に「いいですね〜」と応えたら,貸してくれた。
 そのほかのDVDも数枚くわわる。
 ありがたく拝見しているが,まだ見終わらない。
 貸し主に廊下で会うと「観ましたか?」の目つき。
 それがちょっと困る。

6/18
◆トラック
 映画の会の事務所に机などを搬入したい。
 搬入用のトラックはレンタカーを借りるしかないか。
 ちょっと思いついて,DIYショップへ行ってみたら
 ベニヤ板1枚でも買えばトラックを貸してくれるらしい。
 ただ,それを借りて,2時間ほど使いまくるには
 けっこう胆力が必要で,ぼくにはその度胸がない。

6/19
◆苦役
 すでに何度も同じグチをこぼしてそうな気もするが
 そっぽ向いた学生を相手に講義をするのは地獄の責め苦だ。
 しかも,看護学校での講義は,1回3時間と長い。
 毎回,半泣きになってしゃべってる。
 夏も近づき,ようやく残り回数もわずかとなった。
 指折り数えて,ひそかにほほえむ。

6/20
◆ゴールドベルク変奏曲
 音楽(というかクラシック)愛好者は得だな,と思う。
 たとえば長期入院しても刑務所に入れられても
 頭のなかで音楽を組み立てられ退屈しない。
 スコア(楽譜)があれば,交響曲もすみずみまで楽しめる。
 うらやましいね。
 あちらは中空を眺めているだけでも心が浮き立ち
 こっちは読む本とかがないとヒマをもてあます。
 音楽の素養がないと人生かなり損しちゃう計算になる。
 テレビ録画で,グレン・グールド紹介番組を観て,そう思った。

6/21
◆達観?
 うちの学校を「泥舟」と称して脱出した人がいたな。
 この泥舟説,だんだんリアリティが増しつつある。
 少し前なら,どうにかしなきゃと力んだものだが
 このごろはやや醒めて,流れに身をまかせる構え。

6/22
◆事務所開き
 5千円でレンタカーを借り,ホワイトボードや書架など運び入れる。
 備品がそろうと,さすがに事務所っぽくなる。
 いよいよ商売するぞ〜て気分も高まる。
 夜,参加者6名で,こぢんまりと持ち寄りパーティー。
 1階なので,やたらに蚊が出る。

6/23
◆家長の権威
 家のパソコンの調子が悪い,と奥さんから電話。
 落雷停電のあと,起動してもモニターが暗いままなんだと。
 う〜む,と唸ったら,「息子に聞こうかな」という。
 これまでは,パソコンのことは「お父さん」に聞くことになっていた。
 その時代もそろそろ終わりなのか。
 その移ろい自体はノーマルだが,やはりさびしい。
 モニターの電源はONになってる?と聞いたら
 それで不調の原因がわかり,「お父さん」の面目を保つ。

6/24
◆つっこみ
 市民サークルでの議論には参加の仕方がむずかしい。
 人がもたもたした話をすると,お尻がモゾモゾする。
 はじめはきちんと聞くふりをしていても
 だんだん飽きてきて,口をはさみたくなる。
 そこがぼくのダメな部分だが
 ありがたいことにぼくを叱ってくれる人もいる。

6/25
◆時間のムダ
 誘われて「ハリウッド最新映画事情」講演を聴きに行く。
 アメリカで映画の編集をしている日本人女性が
 あちらで映画人養成学校を開き,入学者を募集している。
 講演は,その宣伝が柱だった。
 ちっとも「最新の映画事情」の話はしてくれない。
 文字どおりの駄弁を2時間近く聞かされる。
 感心したのは,他の人がさほど不満気じゃないこと。
 「偉い人」の話を聞くマナーってのが浸透している。

6/26
◆眠た〜い
 やっぱり睡眠時無呼吸症候群のせいかな。
 山奥の学校に非常勤で通うとき,睡魔に襲われた。
 んで,途中,スーパーの駐車場で仮眠をとる。
 おばさんたちに見られてるような気もするけど
 10分間ほど眠れちゃいました。

6/27
◆ Belkin
 ノートパソコン用のバッグをネット通販で買う。
 ワンショルダーバッグってやつだ。
 たすき掛けにして自転車に乗る。
 荷物があまり入らない分だけ軽い。
 曇り空の下,サイクリングロードを走る気持ちよさ。

6/28
◆"August Rush"
 米映画で邦題は「奇跡のシンフォニー」。
 この春,ニュージーランドにいったとき機内でも観た。
 いや,あんときは冒頭シーンだけでザッピング。
 たしかにつまんない映画ではあるが
 音響のよい映画館で観なおして,ちょっと感動する。
 親を求めて三千里,みたいな話で泣かされた。
 つまんねー,と思いながら,泣く。

6/29
◆ドラムサークル
 太鼓を叩く会に行く。
 諸民族の打楽器を,めいめい選んで,勝手に叩く。
 基本的なリズムは,リーダーがきざんでいる。
 みなさん,お好きにどうぞ,と励まされる。
 正しい,まちがいなんてないんです,と言われる。
 高齢者が多いせいか,みな単調なリズムで相和す。
 不思議なもんで,それが存外おもしろい。
 時間を忘れるとはこのことか,没我の境地。

6/30
◆若さゆえ?
 鹿児島大学の若い教員が訳本を出した。
 ショッピングモールについての1993年(15年前)の本だ。
 読んだけど,ま,ありきたりのポストモダン文化論。
 出版はめでたいが,胸を張るほどのものじゃない。
 ところが,かれはこれで市民向けの講演をしちゃう。
 ぼくは人に誘われて(またか!)聞きに行った。
 講演は原著の要約にすぎず,「なぜ今これを?」は語られない。
 最後に聴衆の一老人が述べた感想は鋭い。
 「先生のお話には現実に対する批判がない」
 「えっ,あると思うんですけど」とは,お坊ちゃま的反応。

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