2009年
 つぶやき

1/1
◆寂寥
 犬もいず,子どももいない家で年を越す。
 テレビでは延々とクイズ番組をやってる。
 夕食は冷蔵庫の食材一掃がテーマ。
 卓上では玉村豊男の農園産ワインが光っているが
 輸入物の千円ワインより美味とは感じず。

1/2
◆ Conformist
 コタツに入りっぱなしじゃいかん,と思い
 国立市の外れにある谷保天満宮まで散歩する。
 境内で参拝の列にも並ぶ。
 それは,列があれば並ぶ,という個人的な「習性」による。
 賽銭はあげないが,いちおうお辞儀はする。

1/3
◆趣味の違い
 外にでないならDVDで映画でも観ようと
 レンタル屋で数本借りてくる。
 あれこれの国際映画祭で受賞したような作品だが
 いずれも奥さんの気持ちに合わなかった。
 ハートウォーミングな映画でしみじみしたいらしい。

1/4
◆反共
 NHKで済州島四・三事件のドキュメント(再放送)を見た。
 1948年4月3日,韓国の政府軍・警察が島民数万人を虐殺した。
 長い間,語ることも許されなかった事件である。
 赤色分子と見なされたら,その家族まで監視され
 子どもは就職でも差別される。(いわゆる連座制)
 韓国はついこの間までそういう国だったのよ。
 奥さんは初めて知って,ひどく驚く。
 ぼくは訳知り顔に,片眉を上げて見せた。

1/5
◆大國魂神社
 つきあいで隣町=府中の駅前にある神社に行く。
 この界隈では一番大きい神社ゆえ客も多い。
 ぼくは大国主命にはあまり縁がないのでお辞儀はせず。
 谷保天神の場合,本店の太宰府になじみがあるし
 菅原道真は学問の神様だから,挨拶したのだ。

1/6
◆思想関係
 映画「チェ」の宣伝で,ゲバラという名前が連呼されている。
 娘が「それ,誰?」と尋ねる。
 そういえば,ぼくは「その手」の話を家の中でしたことがない。
 いまさらながら,つい調子に乗って長々と説明する。
 ただし,娘は後半ほとんど上の空。

1/7
◆全日空
 鹿児島に戻る便も満席だったが,逆コースはなおさらだ。
 鹿児島空港では東京行きの客が長蛇の列をなす。
 ANAのジャンボジェットがそれを飲み込む。
 その機体を見て懐かしく思う。(JALは鹿児島線にジャンボを使わぬ)
 ぼくはもう何年もANAを利用してない。
 バーサンが生きてたころ,介護帰省の割引はJALだけだったから。
 そして,マイレージの貯まり具合でJALに一本化したから。

1/8
◆ハロハロ,バンドン
 ワイシャツの襟がすりきれてボロボロだ。
 数年前にインドネシアで買った服である。
 かつて何度も学生の引率役でインドネシアに行き
 そのつどシャツや下着などは現地で調達した。
 それらの服が「財産」となって残っているが
 いまやほとんど使い古されて廃棄寸前。
 ここでもひとつの「時代」が終わろうとしている。

1/9
◆図書館
 ちょっと調べるものがあって鹿児島県立図書館に行く。
 雑誌が閲覧できる1階のロビーにはけっこう人がいる。
 数年後にはぼくもあの群れに加わって
 毎日かつ終日,じんわりと楽しく過ごすだろう。
 ただ,今はそうもしておられず,そそくさと通過。

1/10
◆おしゃべり
 JALの機内誌に養老孟司が書いていたように
 理系に比べ,文系の大学教員は長時間の会議を好むようだ。
 加えて,うちの学校はふだんの内部交流にも乏しいので
 ますます会議を楽しみ,長広舌をふるう人が多い。

1/11
◆ハードボイルド
 抱え込んでいた仕事は締切直前にあわてて片付けた。
 これで心おきなく「普通の」本が読める。
 県立図書館でロバート・B・パーカーの小説を借りた。
 彼のスペンサー・シリーズはかつて愛読したものだ。
 書架で新しいものを見つけ,懐かしさ半分で借りた。
 久々に読むと翻訳がマヌケっぽい。
 訳者が代わったせいか,それとも,こちらの感性の変化?
 短い会話のやりとりは,歯切れが良いというより
 なんだか頭悪そうな感じ。

1/12
◆あさま山荘
 若松孝二監督「実録・連合赤軍」の上映会を催す。
 観客が200人を超えないと赤字だから心配したが
 わずかながら上回り,まずはめでたい。
 会場は県立歴史資料館(黎明館)の講堂。
 そこはスクリーンが小さい上に波打っている。
 しかも5時閉館にあわせて,客を追い出さねばならぬ。
 これが鹿児島の文化的環境なのである。

1/13
◆パブリック・ビューイング
 高校サッカーの全国大会決勝に鹿児島が残ったので
 その試合が駅前の大型テレビで映されるはずだった。
 少なくともぼくはそう信じていた。
 大勢の人といっしょに観るのも楽しかろう,と
 ノコノコ駅前に行けば,人の群れなどない。
 前日のテレビで予告されてたんですけどね。
 あれれ,なぜぼくはそう思い込んじゃったのでしょう?

1/14
◆箱買い
 みかん,ぽんかんをよく食べてる,と人に話したら
 今年は安くて1箱千円ですからね,という返事。
 帰宅途中に生協によれば,なるほど1箱千円だ。
 車にのせて,いそいそと帰る。

1/15
◆戦慄
 中央大学の構内で教員が刺殺された。
 数十ヵ所に刺し傷,というから怨恨によると推理される。
 人に恨まれるとああなるのか。
 気をつけなきゃ,と思うが,何に気をつけりゃいいんだろう。
 昨今は勝手に傷つく人がいるんで
 ここでも,うかつなことは書けない。

1/16
◆印刷環境
 モノクロプリンターのトナーが切れた。
 キャノン純正のカートリッジは4万円もする。
 安売り業者による再生品なら1万円以下だが
 これは校費で購入するのが難しそう。
 自分の研究費は残りが少なく,純正品は買えない。
 性能の悪いカラープリンターで印刷するしかないが
 じつは,こちらも黒のインキが切れたままだ。
 1個千円なので,近くの文房具屋へ買いに走る。

1/17
◆夜間部学生向けの講演会
 宮崎文化本舗というNPOの代表者に講演を頼んだ。
 地域ビジネスの具体的な成功事例を話してもらう。
 じっさい,なかなか勉強になる,良い話でした。
 問題は聴衆の少なさ。
 と嘆きかけたら,学生に叱られた。
 良い話だったのに前宣伝が足りなかった,というのだ。
 企画力はあっても組織力はない私である。

1/18
◆寒気
 早朝に起きて,自転車で鹿児島大学に行く。
 大学センター試験で,教壇から受験生を見張る仕事だ。
 退屈でも,本を読んだりしちゃない。
 終日,暖房のない寒い教室にいたため
 だんだん気分が悪くなる。
 この仕事は2日間続くので,風邪を引いちゃいけない。
 んで,帰宅後,銭湯に入る。
 発熱時の入浴はよくないの説もあるが,あえて挑戦。
 [ギャンブルは成功したみたいで,翌朝快癒]

1/19
◆見れども見えず?
 ドアを手で押して開けて,後ろを振り返る。
 後ろに人がいれば,しばらくドアを手で押さえる。
 フランスでは,ごく普通に守られているマナーだが
 日本では,後ろに配慮しない人がけっこういる。
 これは,昔,先輩からフランスみやげ話として聞き
 後にぼくも自ら目撃した。
 フランス人と結婚している人との会話で
 最初に軽くその話を持ち出したら
 意外にも「あら,そうですか?」の返事。
 腰が砕けて,話が続かず。

[補遺:先輩の話]
 パリの地下鉄入口のスイングドアを通るとき
 日本人(観光客)は後ろの人に気遣わない。
 後ろにいたフランス人はこの無礼さに驚き,あきれる。
 「バルバール(野蛮人),タルタール(韃靼人=粗野)」とつぶやく。


1/20
◆合同同窓会
 大学の同窓会(鹿児島支部)には年に一度参加している。
 鹿児島の実業人の話が聞けると思うからだ。
 ところが,数年前からこの会は趣向が一変。
 一橋大・東京外大・東工大・医科歯科大の4大学合同の同窓会となった。
 一橋出身者以外は,もっぱら鹿児島大学の教員だ。
 つまり,ぼくと同じ業界の人びとだから,つまらない。

1/21
◆ものもち
 映画の自主上映会の用事で事務所へ行く。
 仲間の一人(40代男性)がワープロに向かっている。
 昔懐かしいワープロ専用機(「書院」)である。
 かつてはぼくも富士通のOASYSを愛用していた。
 そういう機械をいまだに使っている人がいる。
 いや,いるとは思っていたが,本当にいたので驚いた。

1/22
◆遊楽の夢
 月刊の地域情報誌をよく買う。
 おもしろそうな店や場所は鹿児島にもあるのだ。
 とはいえ,じっさいに足を運ぶことは稀。
 情報を得ただけで満足している。
 今月の特集は「日帰り温泉」だから
 ますます心を高ぶらせてもらった。
 個室での食事付き貸切露天風呂なんて
 文字を読むだけで興奮しちゃう。

1/23
◆教員の資質
 都会では小中学校の教員採用試験の倍率が3以下。
 団塊世代の退職で,大量の空きができるからだ。
 テレビのニュースによれば,最近の教員採用のポイントは
 学力よりコミュニケーション能力だそうだ。
 なるほどなあ。
 我が身はさておき,あの人この人の顔が浮かぶ。
 大学でも,その能力に欠ける人は問題になりそう。
 昔だったら孤高の研究者もありだったんですけどね。

1/24
◆研究者の資質
 数年前に定年退官した元同僚から冊子をいただく。
 松本清張記念館から研究奨励賞をもらったものだという。
 偉いなあと思う。
 先生,シコシコがんばってたんですね。
 解明したいテーマに執念深く取り組む。
 ぼくはそこんとこが希薄だからなあ。

1/25
◆頭が高い
 採用人事で候補者を「呼びつけ」て面接する。
 そのための旅費は支給しない。
 採用されない人はムダ金を払い,ムダ骨を折る。
 ぼくが面接される側だった時代は謝礼がもらえた。
 だから,ぼくはちょっと心が痛む。

1/26
◆研究環境
 研究室のイスが壊れた。
 つねに半リクライニング状態で,元に戻らぬ。
 ま,うたた寝をする分には問題ない。
 て〜ことは,このままでもOKってこと。
 パソコンの画面に向かって前傾姿勢のときは
 背もたれを使う必要はないし。

1/27
◆謝罪文
 映画サークルのミニコミ誌の来月号が遅れている。
 前の号の一文が,誰かの逆鱗に触れたからだ。
 怒らせる文章を書いたのは,ぼくではない。
 ぼくはDTPソフトで編集しているだけ。
 怒っている人は「謝罪文」の掲載を要求し
 その「謝罪文」の事前チェックもしている。
 で,再三の書き直しにも,なかなかOKが出ない。
 発行部数が二百部足らずの「身内向け」小冊子なのに……
 いや,だからこそ,というべきか?

1/28
◆大衆社会論
 夜間部の授業でオルテガの『大衆の反逆』を紹介した。
 いつもの授業スタイルなのだが
 我が身にオルテガが憑依し,いたこ状態で長広舌をふるう。
 大衆の「しょーもなさ」をあげつらい,大衆を罵倒する。
 たまたま同僚の教員が「授業参観」に来ていた。
 彼が出した感想文には,厳しい批判が並ぶ。
 その内容はオルテガ批判だから,ふーん,てなもんだ。

1/29
◆夜更かし
 あれれ,また夜型になりつつあるぞ。
 朝の授業はないので,遅く起きても支障はないが
 家の生ゴミを出し遅れると大変だ。
 だから,そのためだけにがんばって起きる。

1/30
◆ TSUTAYA
 鹿児島のレンタルビデオ店を利用したことがない。
 学校に行く途中に,ちょっと大きめの店がある。
 試しに立ち寄って,品揃えを眺めてみたら
 けっこう観てみたいタイトルが並んでいる。
 弱ったね。
 このごろは映画館にも観たい映画が来てるし
 ネット経由で入手した本邦未公開映画も観なくちゃならぬ。

1/31
◆眠たい
 学内でFD(授業能力向上)教員集会が開かれた。
 パネルディスカッションでぼくも登壇した。
 ぼくは,自分の授業がいかに「こけた」かを話した。
 登壇した他の5人はみな自慢話をする。
 したがって,つまらない。
 ぼくは壇上にいるので眠るわけにはいかない。

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