2009年
 つぶやき

6/1
◆歌心
 雨にうたれた庭の草木……
 一瞬興を覚えたが,草木の名前を知らぬ。
 国立の大学通りに出ても木々の緑がうれしい。
 が,そうしたよろこびを表す言葉を知らぬ。

6/2
◆開眼?
 ラッシュアワーでもないのにJR中央線は満員だ。
 しかも,どの駅からも客が乗りこんでくる。
 ぼくの体は前のオヤジの体に押しつけられる。
 混雑に抗わず,それに身を任せてしまえば
 このオヤジのぷくぷく体型,存外きもちいいぞ。

6/3
◆腐食
 官舎のベランダには上下を貫く鉄のパイプがある。
 上階の台所から排水が流れ落ちてくる。
 そのパイプに穴が開き,ベランダに汚水が流れ出す。
 県庁に電話して修理を求めたら,すぐに業者が来た。
 穴をふさぐだけの簡単な修理かと思ったら
 いまどき鉄のパイプはなく,修理もそう簡単ではないらしい。
 業者はとりあえずテープで穴を塞いで,去る。

6/4
◆珍食材?
 夏野菜料理,ラタトゥイユをつくろうと思う。
 が,鹿児島ではその重要素材,ズッキーニが見つからぬ。
 少なくとも近所の生協やスーパーにはない。
 料理に詳しい同僚に尋ねたら
 中央駅前の朝市で売っていたとの情報。
 朝市か。(やっぱりディープだね)

6/5
◆ Stimulator
 グループ討論を励ますのが上手な人がいる。
 ぼくは昔からそういう人に憧れてきたが
 いっこうにその能力が身につかない。
 今年の,1年生「基礎ゼミ」もさっぱり盛り上がらぬ。
 学生は先生(ぼく)に,座を盛り上げる努力を期待し
 ぼくは学生に,打てば響くような反応を期待する。
 んで,双方が白けたまま,時間が過ぎていく。

6/6
◆ La Folle Journee
 熱狂の日と訳される音楽祭。(フランスのナントが発祥の地)
 日本でもマネしてる。(5月連休中のイベント)
 NHKで演奏会の録画放送をやってたが
 「四季」など,プロの演奏なのに下手っぽい。
 どうせマネするなら,夏至の「音楽の日」の方がいい。
 フランスで,1980年代から始まった毎年のお祭り。
 その日は,公園でも路上でも,誰もが勝手に演奏できる。
 パリだけでなく,田舎町でもやっている。
 生で聴けば,多少下手な演奏でも楽しいぞ。

6/7
◆ 15万アクセス
 気にしないと言いつつも,めでたい気分。

6/8
◆足下を見られる
 女性が男性を見るとき,最初にどこを見る?
 テレビに出ていた女性は「まず靴ですね」という。
 ヘロヘロの靴の男はヘロヘロな生活をしているそうだ。
 うむ,ぼくの場合,それは当たっている。
 誰もそれを指摘しないから,平気で過ごしてきたが
 じつは密かに値踏みされていたんだね。
 でも,あわてて変身するのも「安っぽい」から
 むしろヘロヘロというアイデンティティを堅持したい。

6/9
◆不規則睡眠
 終日眠たく,夜も11時前に就床。
 ところが1時半に目が覚めてしまい
 しかたなく,しばらくパソコンで仕事などをする。
 昼間ウツラウツラだったので,ちょっと逆転モード。
 死んだバーサン(妻の母)も晩年はこんな感じだったな,と
 ちょっと嫌な気分にもなる。

6/10
◆論文審査
 若い研究者を学会の研究奨励賞候補に推薦する。
 彼の博士論文に関しては,審査委員による講評もネット上で読める。
 読めば,4人の委員のうち3人はぼくの知り合いだ。
 委員は6千字ほどの講評を書かねばならぬから大変だね。
 大学院大学の教員はそういう仕事もしなきゃならん。
 ただ,院生などと日常的につきあっていれば
 教員も「耳学問」で新しい動向を知ることができよう。
 ちょっと前のぼくなら,それをうらやましくも思ったが
 今のぼくはすっかり「枯れ」て,ご苦労様と思うばかり。

6/11
◆安い女
 限界効用逓減の法則で,愛も提供しすぎると安くなる。
 なんてことを授業でしゃべって,レポートを書かせたら
 次のような「感想文」も混じっていた。
 真偽のほどは怪しいが,怪しいと思う方が間違っているのか?
もう何十年も続いている若者の慣習として,"援交"がある。
援交とは援助交際の略称で,中学生〜高校生を中心に女の子が行っている。
その大きな目的は遊ぶお金を得ることである。
買い手は20才代後半から50才代の,妻とは出来ないSEXを求める男たち。
平均価格は1万5千〜5万円ほどである。
しかし,みなさんは知っているだろうか。
現在,その価格が下がっていることを。
今は買い手より売り手の数が圧倒的に多い。
したがって,男たちに選ぶ権利が生じる。
今までは,とにかく相手が見つかればいいという考え方であったが,
夜の街を歩けばナンパ待ちの女がうじゃうじゃといる今,男たちは選びはじめた。
とにかく金が欲しい女たちは,自ら己の値段を下げる。
そうすることによって買い手を得るのだ。
男たちは“やらせてもらう”のではなく“やってやる”という意識を持ち始め,
女たちは“やっていただく”というモチベーションへと変化した。
これによって,女たちの値段は下がる。
1万円でも,あるいは5千円でも,とにかく稼げればいい。
おやじとのSEXはタンポンの入れ替えと同じことだ。
若い女たちは安い女となった。

6/12
◆マーケット
 鹿児島中央駅前の朝市に行く。
 規模は,フランスの田舎の朝市より小さいぐらい。
 つまり,ぱっとしない。
 客ダネも悪く,全体として田舎の暖かみは感じられず。
 鹿児島は妙な部分で都会的なのである。
 狙いの食材(ズッキーニ)はなかったが
 星形(UFO型)ズッキーニってのがあった。
 名前は同じだし,値段も 100円なので,いちおう買う。

6/13
◆セレモニー
 常套句をスラスラ言えちゃう人もどうかと思うが
 スラスラ言えない人にも弱っちゃう。
 どうせ言葉に心がこもってないなら
 スラスラの方がまだ なんぼか マシ。

6/14
◆会社のグチ
 寄り合いの打ち上げで飲み屋に行く。
 酔った二人から上司の悪口を聞かされる。
 知らない人の話なので口は挟まぬ。
 口を挟まないでいると,話が終わらない。
 話し疲れるのを待つが,相手は元気になるばかり。

6/15
◆無用の人
 あなたは必要な人ではない,との烙印。
 客観的にはそうかもしれん,と受け入れよう。
 逆に,ぼくを役に立つ人と見てくれるような
 人(個人および集団)はますます貴重に思える。
 何でもしてあげようという気になっちゃう。

6/16
◆無用の本
 定年後は離島で私設の図書館を開く,という人がいる。
 自分の蔵書をムダにしたくないらしい。
 学者にありがちな発想だ。
 公共図書館は寄贈をあまり喜ばないご時世だしね。
 さて,自分の本棚を眺めると,駄本ばかりが並ぶ。
 本を捨てる習慣がないので貯まっただけ。
 でも「最後には」捨てるんだろうなあ。

6/17
◆大活劇
 スタートレック2009,ターミネーター4,天使と悪魔,
 こういう大騒ぎ系の映画は映画館で観るに限る。
 大音響のなかに身を浸し,没我の境。
 ひとりぼっちでも平気で生きていけるような気がする。

6/18
◆弁当
 近所の八百屋(地物専門)でズッキーニが安かった。
 形が悪いのを三本 百円で売っていた。
 夏野菜をその他あれこれ買って帰る。
 ラタトゥイユが5〜6人分ぐらいできちゃった。
 だもんで,このところ連日,タッパーにつめて出勤。

6/19
◆チョロチョロ
 散髪屋(洗髪なし)の後,帰宅してシャワーを浴びる。
 水圧の弱いシャワーを浴びると,外国を思い出す。
 バンドン(インドネシア)でのホームステイ先や
 ブザンソン(フランス)の貧しい知人宅が
 思い出されて,泣きそうな気分になる。

6/20
◆長時間会議
 職場の会議が,このごろ,しだいに長くなり
 ついに,5時間を超えるようになった。
 (ちなみに,ぼくはなるべく発言しないようにしている)
 昔(赴任当時)の会議は2時間以内が常態だった。
 よその大学では,夜になっても会議が続くと聞き
 その能率の悪さが信じられなかった。
 いつのまにか,うちも普通の学校になったわけだ。
 不得要領な話の連続に耐えながら
 ここも自分の居場所じゃなくなったな,と思う。

6/21
◆喜代三
 種子島出身で,戦前は全国的に有名だった流行歌手。
 鹿児島で芸者になり,一時は台湾でも働く。
 鹿児島に戻ったとき,作曲家中山晋平に出会う。
 上京して歌手となり,中山晋平の内妻にもなる。
 映画スターにもなる。
 戦後は,アメリカで三味線教室を開いたりする。
 なんてんで,けっこう波瀾万丈の人生だ。
 主人公にすれば,おもしろい映画になる。
 と,映画サークルのなかで話し合ってるうちに
 この自主製作の話も,だんだん現実味を帯びてきた。

6/22
◆イグリは栗に非ず
 丸くて茶色のものが網袋に入れられ
 イグリと表示されていたので,1袋買う。
 季節外れの「栗」が珍しく,1袋 200円も安い。
 帰宅して,袋をあけると,どうも変。
 皮が柔らかく,爪を立てると汁が出る。
 調べると,イグリとはスモモのこと(鹿児島だけ?)。
 このスモモ,食べると何だか味がエグい。
 どうやら焼酎につけて,果実酒にするものらしい。

6/23
◆テレビ会議
 FD(教授能力向上)のため県内の全大学が
 連携して取り組んでいる。
 文科省の予算でテレビ会議システムができた。
 ぼくも委員なので,夕方,一人カメラと向かい合う。
 ところが,モニターには他大学の絵が現れない。
 うちの学校の機械が故障したのか?
 助けを呼んだが,みんな腕を組むばかり。
 と,30分ほどして,突然,絵が現れる。
 本部(鹿児島大学)の方に問題があったのだ。
 他大学も困惑していたと知る。
 そして,ユルユルと会議が始まった。
 それはそこそこ楽しゅうございました。

6/24
◆そうめん
 むしょうに素麺が食べたくなって
 薬味や瓶入りの「麺つゆ」ととも買って帰る。
 この「つゆ」,3日以内に使い切れ,と指示されてる。
 だもんで,毎日,必死で食べてます。

6/25
◆喜代三(続)
 喜代三の自叙伝『多情菩薩』(1958)を読む。
 県立図書館にあった。(復刻版の売価は1万円!)
 吉川英治が序文を書いている。
 曰く「文章で読ませる書物でないが……」
 なるほど,そのとおり。(特に後半はヨレヨレ)
 しかし,その拙さがかえってリアリティを増す。

6/26
◆かごしま弁
 MBC(地元の老舗民放)は毎朝6時前,昔の番組を再放送する。
 1970年代から続いた「かごしま今昔」
 10分ほどのドラマだが,全編かごしま弁で演じられる。
 内容は,戦前の鹿児島の民俗風習の紹介。
 たまたま早起きした日に発見し
 最近は録画して,楽しんでいる。
 会話がさっぱり理解できないのがよい。
 いまでは地元の若者でさえ理解できまい。

6/27
◆ Nationwide
 会議の用で鹿児島大学へ行く。
 出席者のほとんどが鹿大の教員だ。
 連中の雑談を聞くと,いずれもテーマが全国規模。
 うちの学校の場合は,つねに話がローカルだから
 さすが国立大学は違うな,と感心した。(哀)

6/28
◆県民交流センター
 市民のサークル用の印刷室は便利だ。
 ひとりでシコシコと作業をする。
 こういう「下っ端」ぽい仕事,得意なんです。

6/29
◆早朝映画
 日曜の朝,豪雨の中,駅ビルの映画館に向かう。
 朝9時すぎからの映画を観るつもりだった。
 ところが,土日は特別メニューらしく
 午前の部は,なんと8時から始まる!
 書店などは10時オープンなので間が持たぬ。
 ふたたび雨にぬれながら,むなしく帰宅。

6/30
◆太宰治
 誰が仕掛けたのか,このごろまたブームだという。
 ぼくの場合,太宰と聞くと玉川上水を思い出す。
 太宰が入水自殺した川。
 ぼくの学生時代のお散歩(おデート)コースだ。
 たいして水量の多くない流れを見ては
 太宰もよくこんなとこで死ねたな,と思った。

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