2009年
 つぶやき

7/1
◆無為徒食
 過去5年間の研究教育・社会活動の業績を書け
 と言われて一覧表を作れば,内容の貧弱さに泣いた。
 つまり,作業を命じた「お上」の狙いどおりに反省した。

7/2
◆修行
 ダラダラとした会議に飽きて,終了動議を出すと
 それへの反論などで,さらに会議が長引く。
 したがって,何も言わずに座っているのが正しい。
 このごろは,その退屈さにも慣れました。

7/3
◆客引き
 学校の近くに定食屋ができたので2度ほど利用した。
 焼き魚,煮魚が多いので,ヘルシーな感じ。
 子どもの頃は苦手だった魚も今は平気です。
 問題は,店のおねえさんに顔を覚えられたこと。
 前を通りかかると,ガラス越しに手招きされる。
 ついフラフラと入店しちゃう。

7/4
◆名義貸し
 鹿児島県内の科学研究者を集めたサークルで
 ちょっと世話人みたいなことをしている。
 新しい代表は決まったが,副代表がまだだ。
 うちの前の学長がヒマそうにしてると思い
 名前だけでも貸して,とメールで打診した。
 自尊心を傷つけたのか,返事が来ない。

7/5
◆ MacBook
 娘のノートPC(iBook)はキーボードもヨレヨレだ。
 長いこと酷使した証で,たしかに替え時ではある。
 ヤマダ電器で下見したら,新製品がかなり安い。
 マイナーながら先月モデルチェンジしたもので
 この店で買えば 18%もポイントがつく。
 売価 10万円強だから,1万8千円分に相当する。
 安い!と思ったが,買うのは娘自身にまかせよう。
 いつまでも甘い顔はできない。

7/6
◆追慕
 夕方の涼しい風が人を散歩へ誘う。
 うちのバカ犬,死んで久しいが,無性に懐かしい。

7/7
◆『童貞放浪記』
 あの小谷野敦の書いた小説が文庫になり
 映画化もされるってんで,本屋で山積み。
 浜松町で買って,飛行機の中で読む。
 小説を書く才能がないと自覚してた男が
 何かの勢いに乗ってつい書いちゃった感じ。
 その下手っぽさを愛嬌と見るべきか?
 つぎの一文も下品な笑いを誘う:
50,60になって短大に勤めている,
私立の大学院を出たような無能な教授たち

7/8
◆赤点
 恥ずかしながら,いまだに「こなれぬ」講義をしている。
 ちゃんと相手に届くような話をしたいのだが
 学生から「話が難しかった」と指摘される。
 提出させたレポートに,そういう指摘がいくつか並ぶ。
 地べたにへたり込みたくなる。

7/9
◆股旅
 駅ビルの映画館で東映時代劇祭をやっている。
 ぼくの父親も時代劇が好きだったなあ。
 ちなみに母親は松竹系,姉は洋画が専門。
 ぼくは彼らに同伴し,全方位的に映画を楽しんだ。
 今回は父親の供養をかねて駅ビルに行く。
 中村錦之介の「沓掛時次郎・遊侠一匹」(1966)を観た。
 隣に座ったオヤジは「何度みても良いなあ」と大声でいう。

7/10
◆時間感覚
 社会思想の講義で,ロシア革命をとりあげ
 歴史の流れのようなものを語る。
 20世紀初頭の出来事を実体験したかのように語る。
 しかし,自分自身の「最近の」出来事について
 いま思い起こそうとしたら,その曖昧さに驚く。
 もちろん,イベントはそれなりに覚えているが
 逆に,たとえば2003年に何があったかは思い出せない。
 21世紀に入ってからは,年号と事件が結びつかない。

7/11
◆健康一番
 雨の切れ目に自転車で学校へ向かう。
 見上げればウネウネとした雨雲の間から青空。
 元気いっぱいペダルが漕げるのもうれしい。

7/12
◆落選
 日仏社会学会の理事会の選挙結果が出た。
 1992年から 16年間続いた役目も終わりだ。
 ま,今まで続いたことの方が不思議。
 学会以外でも,いろいろな仕事から身を退いている。
 退け時が微妙に重なる,ってのも興味深い。
 世の中,よくできている。

7/13
◆独居術
 道路沿いにおしゃれっぽいカフェがある。
 入ってみたい気もするが,入ったこと ない。
 中で,どう過ごしていいか わからないからだ。
 旅先じゃないんだから,本を読むなら家で読む。
 フランスなら,通る人を眺めて過ごせるが……。
 いや,フランスなら,老人は公園で過ごす。
 老人は孤独に生きるのが基本の国では
 老婆もお化粧して,終日ぽつんとベンチで過ごす。
 彼らの覚悟を思うと,ぼくはまだ修行が足りない。

7/14
◆3D
 何十年ぶりかで「立体映画」を観る。
 昔は赤青のセロハンを貼った眼鏡だったが
 今は偏光レンズみたいなやつ。
 ただ,このレンズを通すと光量が半減するみたいで
 美しいはずの画面も全体が暗くて不快だ。
 映画「モンスター対エイリアン」は
 そこそこ面白く,むしろ画面の明るい2Dで観るべし。
 立体感はイマジネーションでカバーすべし。

7/15
◆出にくい
 朝グズグズしてたら玄関先に人の声。
 団地の奥さん方がたむろしているのだ。
 いま出たら彼女らに挨拶しなきゃならない。
 彼女らが解散するまで,ひそかに待機する。

7/16
◆授業評価
 学期末恒例のアンケートである。
 毎度のことながら,予想以上に評点は低い。
 自分じゃ,もっと高いと思うのに,さほどでもない。
 つまり,自分を客観視できない点が問題なのだ。
 思えば,これは小学生のころからの性向。
 学級委員選挙前の虚しい緊張。(笑)

7/17
◆授業評価(続)
 10年以上前(1996年)から学科として取り組んできた。
 当時は,全国的に珍しく,いわば先駆的な企てだった。
 しかし,全学的な取り組みにはできなかったので
 学校名を売り出すチャンスを失った。
 最初のころは,学科をあげての協力ってのもない。
 ぼくと教務補助員,二人で全科目分の
 配布・回収・集計・Web公表を行う。
 今ではどうだ? 全国の大学で一般化した。
 そのくせ,どの大学からも「成功」の声なし。
 教育の質がそれによって向上した,って話は聞かない。
 ただ,いまや大学教員ものんびりできず,忙しくなっただけ。
 これも虚しい流れである。

7/18
◆神洲不滅
 社会思想の講義で,ファシズムの魅力を語る。
 毎回「異なる」思想をとりあげてきたので
 学生もあれこれの思想を「相対化」できるはずである。
 ところが,学生はけっこう全体主義が気に入ったみたい。
 それが「本気」なら,講義の狙いとは逆だし
 ただ「教師を喜ばせるための擬態」なら
 その態度はもっと根本的に間違っている。

7/19
◆排水管工事
 ベランダを上下に走るパイプが腐食している。
 官舎ゆえ,県の予算で工事が行われる。
 ようやくGOサインが出て,業者が来る。
 ただ,その日,ぼくは終日ルスをするので
 ドアに鍵をかけず,家を出た。(業者には連絡済み)
 夜,8時頃,帰宅したら工事は完了していた。
 台所の排水がスムーズで,その変わりように感動。

7/20
◆お西
 鹿児島の東本願寺で芝居の公演があった。
 ぼくは場所を間違え,西本願寺に行く。
 当然,境内には人影もない。
 ようやく守衛のおじさんみたいな人を見つけ,尋ねた。
 「東本願寺ってのは,どこですか?」
 「教えられません」
 「え! ご存じない?」
 「知ってますけど,教えられません」
 西と東の確執,これほどまでのものか?
 だから,答えた方の狭量ぶりに驚くより
 聞いた自分の無教養を恥じるべきかもしれん。

7/21
◆耳赤
 二日連続して若い女性(それぞれ別人)との対話を楽しむ。
 毎回ぼくは偉そうにしゃべった。
 話してるときは対話気分だったが
 思い返すと,ほとんど一方的な長広舌。
 相手の親切な「うなづき」(敬老精神)に乗じて……。
 最近,人に嫌われがちなので,余計に張り切った。
 ああ,恥ずかしい。
 [耳赤は囲碁の用語です]

7/22
◆日本語
 あの口の悪い別宮貞徳の書き下ろし文庫本
 『裏返し文章講座』はあいかわらず水田洋や都留重人の悪口。
 20年前と同じネタなのに,バカがその本をこりずに買う。
 この本の副題「翻訳から考える日本語……」に触発され
 上手な翻訳を読んでみたくなった。
 岩波文庫で『たいした問題じゃないが』を読む。
 イギリス・コラムの傑作を,英文学者たちが訳している。
 なるほど,読みにくくはないが,滋味もない。
 それに比べ,いま枕頭で読んでいる太宰治のおもしろいこと。
 短編「女生徒」の軽やかな日本語にゃ,しびれるぞ。

7/23
◆甲羅干し
 夜の授業の前に,銭湯へ行く。
 町はずれの郡山温泉郷にある「轟温泉」である。
 ここの露天風呂はとってもぬるいので好き。
 しかも,目の前が一面の田んぼってのもよい。
 明るい景色のなかで裸になっていると
 ガキのころ,泳ぎにいった矢部川の河原を思い出す。
 背中を焼きながら嗅いだ石のにおい。

7/24
◆お客さん!起きて!
 たしかに昼食後の講義は眠たかろう。
 しかし,あまりにもあからさまなのは困る。
 昨年までやってた看護学校での講義も悲惨だったが
 いまでは自分の本務校でも似たようなもんだ。
 うちの学生の質が変わってきたのだろうか?
 授業参観した同僚から特に批判が出ないので
 ぼくの講義が顕著に劣化したわけでもなさそう。

7/25
◆製造年月日
 生協で「つぼ漬け」の小袋(100円)を買う。
 安くて美味しい中園久太郎商店の漬け物だ。
 買って帰り,何気なく袋の印字を読む。
 製造日が今年の8月(賞味期限は10月)になってる。
 印字の間違いだろうと,店に電話した。
 クレームではなく,単なる報告のつもり。
 これでも中園久太郎商店のファンですからね。
 翌日,生協に行けば「つぼ漬け」がない。

7/26
◆写真館
 夏,どこかに行こうかな,と
 何気にパスポートをとりだして驚く。
 期限は春先に切れていた。
 あらたに10年有効のパスポートを作れば
 今度は死ぬまで持ちそうな気がする。
 ならば,映りのいい写真を貼ろう。
 ちょっとおしゃれな写真屋に入り,スタジオで撮影。
 3枚2500円である。

7/27
◆日本語(続)
 県立図書館は夜の9時まで開いている。
 新刊コーナーにも,すてきな本が並ぶ。
 あれこれ手に取るだけで幸福感を覚える。
 水村美苗『日本語で読むということ』に読み耽る。
 上手な文章は読んでるだけで泣きそうになる。

7/28
◆有効期限
 終日ちょっと根をつめて仕事したせいか
 寒気がする。
 薬を飲んで早く寝よう。
 薬袋を見れば,ずいぶん昔の風邪薬だ。
 形も古めかしく,錠剤でなく,紙に包んだ粉薬。
 湿気て固まっている粉をほぐして飲む。

7/29
◆保証期間
 ノートパソコン(MacBook)の具合が悪い。
 反応(HDDの読み込み)が顕著に鈍い。
 この内蔵HD,今年の2月末に買ったばかりだ。
 壊れたのであれば無償交換のはずだが
 確実に壊れたわけではないので悩ましい。

7/30
◆通販好み
 MacBook内蔵HDの保証書はみつかったが
 それを買ったAmazonの領収書がみつからない。
 これじゃメーカーに修理も頼めぬ。
 一方,作動の不調は急いで解決したい。
 価格.com で店を探し,別メーカーの品を注文した。
 調子に乗って,別サイトでバッグを探して注文する。
 MacBookを持ち運べるワンショルダー・バッグだ。
 前にAppleのサイトで買ったのは1年たたずにヨレヨレ。
 ブランドを信用しても,外れることはある。

7/31
◆ Le Garagiste
 愛車(Suzuki Twin)のリアガラスの締まりがゆるい。
 この車,リアはガラスが開閉する。
 ハッチバックと違い,後ろがこぢんまりと開く。
 その蝶番(ヒンジ)がぐらつくようになったのだ。
 車を買ったのは夫婦で経営する小さな店。
 そこに行ったら,ものの5分で修理は完了した。
 お代は不要というが,なんだか心苦しい。
 こういうときのお礼の言い方を知らないからだ。

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