2011年
 つぶやき

3/1
◆かつお節
 削り器を買いたいと思う。(2千円の安物だが)
 60キロ南の枕崎に行けば売っている。
 数年前なら,車でサッと買いに行っただろう。
 いまはそれが面倒だ。
 いまや 60キロは「長距離ドライブ」に属する。

3/2
◆近所の銭湯
 ここに移り住んで1年がたつ。
 歩いて行けるところに銭湯が一軒ある。
 20年ほど前に入ったときの印象はすご〜く悪い。
 だから,ずっと選択肢から外してきた。
 が,ふと足を踏み入れてしまった。
 あいかわらずの汚さ(不潔感)に,むしろ感激。

3/3
◆一張羅
 革ジャンを3着もっているが,使うのは一つだけ。
 それは,バンドンの裏通りで買った安物(3千円)。
 あ,フランスで買った超高いやつは破れたので捨てた。
 使わぬ2着は,三鷹のバイク用品店で買ったものと
 バンドンの工場見学のとき「買わされた」もの。
 この二つはいずれも茶色だ。
 黒い革ジャンは,アナキストの制服(形容矛盾)なので
 自分としては気取って,もっぱらこれ一帳。
 人の目にはホームレスの爺さんに見えるかもしれんが。

3/4
◆始末
 研究室のエアコン取替が近く行われるらしい。
 作業のため机の移動を求められた。
 移動しようにも床は本だらけ。
 それらをまず処理しなければならない。
 いつかは,と思っていたので,好機でもある。
 捨てられずにそのまま積んでおいた本を
 このさい,どんどん捨てよう。
 同じ勢いで,アパートにある本もどんどん捨てよう。

3/5
◆仕出し
 三週間以上,ほぼ毎食,玄米+減塩に励んでいる。
 んで,たまに会食で弁当などを食べると
 どの料理も美味に感じられてしょうがない。

3/6
◆キモい
 女性にもてないぼくである。
 ぼくの話をおもしろがって聞いてくれる人がいない。
 ぼくの存在そのものを不快に思う人すらいる。
 ここまでくると,生きててごめんなさい,というしかない。

3/7
◆趣味のカメラ
 デジカメが壊れた。(Kodak の変則2眼 V705)
 4年前(2007年4月)に買ったやつだ。
 広角23ミリってのが気に入って,さんざん使ってきた。
 イベントを記録するのに便利ですからね。
 しかし,その種の用事はこれから一切なくなる。
 写真撮影はまったく個人的な趣味に属するものとなる。
 あれ,ぼくにそういう趣味ってあったっけ?
 カメラを携え,街をうろつくってのは
 いかにも爺臭く、似合いすぎて,むしろ避けたい。

3/8
◆発信型
 英語で日本を紹介する論文を書いてきた先生がいる。
 輸出志向の研究者ってのはそれだけで偉いと思う。
 老いた今はホームページで時論的な「エッセー」を発信する。
 今度は日本語のせいか,ありがたみに乏しい。

3/9
◆練馬区立美術館
 鹿島茂(仏文学者)が収集した19世紀フランス版画を観に行く。
 今回展示されてるのはグランヴィルの風刺絵の分。
 あれだけ集めれば、人様に見せたくなるのは当然かな。

3/10
◆アルペジオ(分散和音)
 クラシックギターを「爪弾く」ためには
 右手の爪を少し伸ばしておかねばならない。
 ぼくも大学時代,いちおうギター部に属していた。
 その後はギターに触ることもないのに
 右手の爪の手入れだけは続けている。
 アイデンティティの支えってわけでもないんですけどね。

3/11
◆ブリジストン美術館
 コレクション展示の題にひかれて,中に入る。
 題は「なぜ,これが傑作なの?」
 この問いに,わかりやすく答えてはくれないが
 石橋正二郎が良いものを集めていることはわかった。
 石橋は久留米の地下足袋屋から,ここまでのしあがった人。

3/12
◆港の旅館
 鹿児島にもどり,他のゼミと合同で合宿。
 指宿の先,山川港に面した旅館だ。
 素泊まり3千円の安宿である。
 目の前が海なので,東北大地震による津波の心配もあるが
 ほかの大勢の宿泊客はのどかに食事している。

3/13
◆不謹慎
 東北巨大地震の報道の合間に,鹿児島の地元テレビは
 九州新幹線開業のセレモニーを映していた。
 県知事と小里貞利(元国会議員)が嬉々としてバンザイをする。
 小里は生きてる間に駅構内に自分の銅像を立てた。
 それを許したJRの方にも何かの弱みがある?

3/14
◆ゴミ
 研究室の床を業者が清掃に来るってんで
 床の上に山積みにしていた本や書類をあらかじめ片付ける。
 けっこうな量である。
 18年前の大水害時に救い出した書類も奥から現れる。
 学生時代の日記や,父からの手紙などである。
 久しぶりにちょっと読んでみたが
 こんなのは別に救い出す必要もなかったなあ。
 洪水で紛失しても惜しくないレベルの品々。

3/15
◆宝探し
 床に置いてある本の位置をずらして積み直す。
 これがぼくのとりあえずの「片付け」法である。
 時間がかかるのは背文字を読むせいだ。
 あ,こんなところにあったんだ,と
 うれしくなるような本がけっこう見つかる。

3/16
◆被写体
 値崩れしている機種のデジカメ(Ricoh GR 3)を買った。
 ポケットに入れて持ち歩いているが写すものがない。
 ふだんから風景や草花を撮る趣味がないし
 通行人にはレンズを向けられない。
 カメラ雑誌とか見ると,雲とか側溝だけの写真があるが
 そういうのを「形」だけマネるのも恥ずかしいし。

3/17
◆ Macintosh LC
 研究室の片付けを続けている。
 と,奥から昔の電子機器が現れた。
 初期のマックも2台。(LC, Quadra)
 これらはそのつど廃棄してればよかったのに
 いまとなったら捨てるのにもお金がかかる。

3/18
◆村(そん)――谷岡ヤスジ風
 卒業式に着る背広を押入から出す。
 年に数回しか着ない服である。
 ちょっと着てみるが,あいかわらず似合わない。
 村人がだれかの葬式に出かける姿だ。

3/19
◆情報操作
 放射能汚染の危険性は低いと「専門家」が語る。
 一方,御用学者の言葉を信じるな,との批判も聞こえてくる。
 たしかに,この批判も納得できるけど
 就眠時には御用学者の言葉のほうがありがたい。

3/20
◆灯油ストーブ
 寒の戻りってやつで,まだ出番がある。
 ファンヒーターなので,電気仕掛けだ。
 (停電したら使えない点が問題だね)
 さて,灯油も18リットル買い足し,がんがん燃やしてる。
 すると,回転するファンから異音がし始めた。
 以後は停止し,1缶分の灯油がむなしい。

3/21
◆体調不良
 食材の買い出し以外は引きこもってる。
 室温は低くもないのに,なんだか寒けがする。
 ときどき咳き込む。
 また肺炎にかかったのかもしれない。
 玄米+野菜ばかり食ってるせいで栄養失調?

3/22
◆アンチ・フェミニズム
 岩波の雑誌『思想』3月号を県立図書館で読む。
 「フランスにおけるアナキズム・フェミニズムの源流」という論文
 その副題「ジョゼフ・デジャックのプルードン批判」にひかれた。
 ぼくも昔「プルードンの家族論」という論文を書いたことがある。
 そんなのは無視されてるだろうなと思ったら
 プルードン擁護するものとして,ちらっと紹介されていた。
 ウェブ検索で引っかかったのだろう。

3/23
◆歩幅
 普通に歩いていたら,普通のおばさんに抜かれてしまった。
 そういうことが最近よくある。
 寄る年波ってやつか。
 もっと胸を張って大股で歩かねば。

3/24
◆ワーラー
 江東区の独居老人である姉から電話があった。
 東京の水は放射能で汚染されているから
 鹿児島の水を送ってほしいとの要望である。
 ならば,通販で鹿児島の鉱泉を送ってやろうとしたら
 すでにどの販売所も注文殺到で,順番待ち。
 ということで,老人は水道水を飲みなさい,と姉に告げた。

3/25
◆生きている喜び
 部屋の片隅で見つけた本をいま懐中に入れてる。
 辻邦生『モンマルトル日記』(集英社文庫)である。
 その詩的な散文を読むと,こちらの心も澄んでくる。

3/26
◆アルバム
 東北大津波の被災者たちがアルバムを探している。
 ぼくも1993年の鹿児島大洪水で被災し
 泥の中から家族の写真だけを救出したなあ。
 長男なので,親や姉妹の写真を持っていたからだ。
 最近,その写真の束(未整理)を部屋の奥で再発見。
 誰のいつ頃の写真なのか,ほかの人にはわかるまい。
 ぼくが元気なうちに整理しておかねばならぬ。

3/27
◆朝日ジャーナル・復刊2号
 2年ほど前に出た復刊1号ほどのインパクトはない。
 また,こちらも齢を重ね,誰の論考にもさほど驚かぬ。
 それでも,宮台真司や内田樹のヒネた感じは楽しめた。
 彼らは基礎学力が高いみたいで,遊びにもゆとりがある。

3/28
◆南瓜
 カボチャなんて,もともと好きでもなかった。
 いまは野菜中心食の流れで,しばしば買い求める。
 ネットで検索したレシピで調理する。
 たっぷりのキノコとともに炒める。
 とってもおいしくできたりする。
 ひとりで笑いながら食べる。

3/29
◆呼び出し音
 映画「英国王のスピーチ」を観に行く。
 映画の途中で,誰かが2回もケータイ音を鳴らす。
 そいつは音の止め方もわからぬ風で,大迷惑だが
 そしらぬふりする胆力は,うらやましい気もする。

3/30
◆枕頭の書
 布団に入って読書する,なんてことがない。
 いや,昔はそれが就眠儀式だったのに
 いつのころからか,ベッドに入ればすぐ眠る。

3/31
◆無芸・無才
 東北の被災者のように無一物となったらどうしよう?
 給与も退職金ももらえなかったらどうしよう?
 ぼくには芸も能もない。
 いままで「勉強」はしてきたが,どれも役立たずだ。
 路上でパフォーマンスして金を稼ぐこともできぬ。
 山奥に逃げ込んでのサバイバル術も持たぬ。

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