2012年
 つぶやき

1/1
◆お約束
 家族宅に身を寄せると,よく熱が出る。
 数年前はこのまま肺炎になった。
 今回は風邪の予兆レベルで踏みとどまっている。
 熱が出ても心配する人がいないのは例年どおり。

1/2
◆安静第一
 誰もいない家の中で一人コタツに入っています。
 首だけ外に出し,終日 寝ころんで過ごす。

1/3
◆病臥
 自然の治癒力に期待したがダメのようだ。
 熱は下がらず、喉の調子も変。
 遠くから家族の笑い声が響いてくる。
 わが身に暖かいのは足元のアンカだけ。

1/4
◆多重苦
 肩の凝りなど無縁のぼくだが,なぜか左首の付け根が痛い。
 寝違えとは違う。奥歯の噛み合わせ不調のせいか。
 布団の中で伸びをしたら,脇腹に激痛が走る。
 これはときおり発症する神経痛か。
 んで,起きると目ヤニが出てた。
 目ヤニっては小学生のとき以来だぜ。

1/5
◆やっぱり
 寒風をつき自転車を漕いで病院に行く。
 動脈血の酸素飽和度が低いと医者にいわれた。
 (そんな測定器、鹿児島では見たことないぞ)
 レントゲンでも左肺に影があった。
 うむ,それを見れば立派な肺炎。

1/6
◆抗生物質
 処方された薬をおとなしく飲んだせいか
 だんだん快方に向かっている。
 打てば響くといった感じの流れ。

1/7
◆若返る
 すんごく久しぶりに風呂に入る。
 頭を洗ってヒゲを剃る。
 目にも生気が戻ってる。

1/8
◆ノートPC
 奧さん用(iBook G4)と息子用(PowerBook G4)がそろってお釈迦になった。
 しかし二人とも もうそれほどノート型を必要としていない。
 仕事用なら家にデスクトップが一台あるし
 その他の用は各自のケータイで済むらしい。
 まあ,こたつの上でインターネットができればよいので
 新しいノート型を一台だけ買えばよいだろう。
 ってんで,MacBook Pro 15inch (750GB)をヤマダ電器で買う。

1/9
◆田舎風情
 熊谷は新宿から電車で1時間ほど北上したところ。
 駅前は田舎町特有のスカスカした感じ。
 成人式帰りか,白い和服を着た男たちが
 4,5台の車に「箱乗り」して騒いでいる。
 数十年前に流行ったスタイルだ。
 絵に描いたような「DQN=どきゅん系」の若者たち。

1/10
◆浅い
 鹿児島に戻る機内で堂目卓生『アダム・スミス』(中公新書,2008)を読む。
 スミスの『道徳感情論』の解説で,そこそこ評判の本だ。
 ぼくの知る20代の堂目(どうめ)さんは俊才だった。
 ところが,この新書本で「道徳」を説く堂目さんは凡庸だ。
 小学校の校長の朝礼での訓話レベル。
 それでも、この本でサントリー学芸賞!

1/11
◆蔵書点検
 校費で購入した研究室図書はきちんと保管しておかねばならぬ。
 退職間際ゆえチェックを迫られる。
 一冊を除き,全部そろっており,めでたい。
 紛失した本は同じものを買って返すのが決まり。
 だが、その一冊は20年ほど前の,パソコンの教習本だ。
 同じものを買う意味があるのだろうか?

1/12
◆かじかむ
 朝一の授業と、夜の授業のため、自転車で二往復する。
 家で食事するため,仕事がすめば帰宅するのである。
 かつてのように研究室で終日過ごしたりしない。
 こうして教育の世界から離脱する準備も着々と進んでいる。

1/13
◆甘味
 まじめに夜も働いている自分を誉めたくて
 帰宅途中で「おはぎ」を買う。
 ストーブの火を見つめながら,しみじみと食す。
 幸福感がこみあげる。(安上がりの慰安)

1/14
◆『軽蔑』
 モラヴィアの小説は読んでないが,昔,ゴダールの映画は観た。
 筋立てはほとんど覚えていない。
 そのエッセンスというか,肝の部分だけ心に残る。
 男は女に軽蔑されるが,その根拠はわからない。
 男にとっては不条理だが,ありそうな話ではある。
 我が身に置き換えて,心がチクチク痛む。

1/15
◆レシピ
 テレビで料理番組を見ると燃えるなあ。
 腕が鳴る,というか。
 しかし,メモを取ったりはしないので,それっきり。

1/16
◆Z会の思い出
 翻訳の校正ゲラが届く。
 編集者から再考を促された箇所がけっこうたくさんある。
 昔,受験生だったころの通信添削を思い出す。
 ぼくは増進会で英語・国語を受けていたのだ。
 手応えのある学習スタイルだったなあ。

1/17
◆下戸(げこ)
 久しぶりに帰国した知人を囲む飲み会に出る。
 場末の小さな居酒屋だ。
 こういう店に一人で入れるようになったら
 人恋しい夜なんてのもなくなるだろうなあ、
 独酌している常連客の姿を,少しうらやましく眺める。

1/18
◆ケチな男
 カートをひいて灯油を買いに行く。
 店の顧客なら 1リットルあたり2円安い。
 ぼくは顧客カードをもっていないので
 18リットル×2円=36円「損」をした。
 それが すごく くやしい。

1/19
◆男の誇り
 スーパーの「タイムサービス」とやらに客が並ぶ。
 10円割引券を 10枚もらえたりするらしい。
 ぼくはわざと並ばない。
 並ばない自分を美しいと思う。

1/20
◆お別れ会
 誰も準備してくれないので,自分で企てる。
 会場は,自分一人では入れなかったレストラン。
 出てくる料理をみんなで黙々と食べるだけの会にする。

1/21
◆世代交代
 定年退職予定者への年金説明会が県庁の講堂で開かれた。
 鹿児島市周辺の公立学校教員だけだが,かなりの数だ。
 これだけの教員がごっそりまとめて退職するのだ。
 どこの学校もけっこうすっきりするんだろうね。

1/22
◆まちなか徘徊
 夜間部の学生たちと市内の喫茶店をまわる。
 学生が何かのイベントをする場所探しにつきあった。
 イベントはぼくの退職後(離鹿後)なんですがね。
 回った3軒は,めったに客が来なさそうな店ばかり。
 おシャレすぎて,鹿児島県民を遠ざけてる形。

1/23
◆モーム Maugham
 蔵書整理を契機に『サミング・アップ』を読み返してる。
 2007年刊の行方(なめかた)訳(岩波文庫)は読みやすいぞ。
 モームはぼくより1世代上の大学受験生になじみの作家だ。
 ぼくのころも,まだその名残があった。
 だから,受験が終われば読まんでもいい作家だった。
 しかし,きちんと読めば,いいことが書いてあるぞ。
 「複雑な思想でも明快に表現することは可能である」というんで泣かせる。

1/24
◆校閲
 いま翻訳の校正をしているが
 翻訳作業そのものは昨年の夏の仕事。
 訳しているときは一種の憑依状態だった。
 いまではすっかり憑きものも落ちてしまった。
 だから,指摘された一箇所を修正するためにだけでも
 その前後をたっぷり読み返さねばならない。

1/25
◆温泉巡り
 地元の情報誌の今月号は温泉特集。
 あちこちの温泉の百円入場券がついているらしい。
 けど,買わない。
 もう車も売っちゃったんで,行く足がない。
 話の種ってことなら,たいていの温泉は踏破済みだし。

1/26
◆灯油ストーブ
 寒い日が続き,かつ,もっぱらアパートにいるので
 暖房用の灯油の減りが速い。
 しかし,ファンヒーターってのは下品なぐらい暖かい。
 熱風が直接グイグイ押し寄せてくる。
 その情緒のなさが,人知れず恥ずかしい。

1/27
◆退職間際に
 学生からサインを頼まれた(昼と夜,各1名)。
 う〜む,初めてのことゆえ2回とも たじろぐ。

1/28
◆研磨
 翻訳の校正で,文章に磨きをかけてます。
 編集者から「わかりにくい」と指摘された箇所は
 なるほどそうかもしれぬ,と思われた。
 自分で言うのも何だが,元の文章もそれなりに読める。
 つまり,何となくわかった気分になれる文章だ。
 そこを読み流さないのは,さすがにプロだね。

1/29
◆未練
 校正は,あと数頁で終わる。
 だから,用事で外出するとき,いつも以上に車に気をつける。
 いま,こんなところで死ぬわけにはいかん,と思う。

1/30
◆校了
 訳文はずいぶんブラッシュアップされた。(自賛)
 投函した帰り,大判焼き2個を買う。
 その甘味を楽しみながら,訳書の出版を願う。
 だって,なんだか「いわく」つきの本だから。
 (その「いわく」についてはまだ言えない)

1/31
◆孤老
 一言も発しない日が続く。
 だから,たまに人に会うとやたらしゃべりまくる。
 そのハシャギぶりが自分でも悲しい。

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