社会思想レポート(97.6.17)抜粋

 テーマ:マルクスのおいしさ

以下は第二部の学生のレポートをいくつか抜き出して紹介したものです。
全体として講義はあまり成功していないことがよくわかります。

 


他者との分離が自由をもたらす。人とのつながりがあれば自分を抑えなければならないことが多々ある。だから,マルクスがいう本当の意味での“自分の解放”,個性と共同性を同時にとりもどすことは大変にむずかしい。相手も存在して自分も自由であることのむずかしさは,家庭のなかの自分を考えてみても実感する。
自由でいながらも人と人とのつながりが持てるようになったら,それはとても理想的なことだと思う。中学のとき習った漢文で,孔子という人が“70才か80才……”よく覚えてないがそれくらいの歳になって“自分のしたいと思うことが人の道からはずれなくなった”というのがあった。偉い人でも何十年経たないとそういうふうにはなれないのだから,私たち普通の人間は一生かかってもダメなのかもしれない。だから私たちは自由なふるまいと人とのつながりを妥協させながらやっていくしかないと思う。
労働は苦役と先生はいったが,はたしてそうなのだろうか? 楽あれば苦ありっていうことわざがあるけど,苦あれば楽ありともいえると思う。まっ簡単にいえば,人生楽しいことばかりじゃ生きられないさって感じかな。人間には感情がある。だから人間っておもしろい。苦しみさえも感じられなくなったら,それは人間であって人間でないと私は思う。
自分は福祉の関係の仕事をしているせいもあるのかもしれませんが,労働というものは決して苦役ではないし,労働に生きがいを感じないとかいうこともないです。労働をしているなかで,自分は決して金では買えない喜びや楽しさを感じることができます。障害をもつ子どもたちが心を開き,信頼してくれていると感じたときなど,仕事のなかで自分が生きている存在価値みたいなものを感じることができたりします。
私もいま働いているが,よく考えてみると自分は何をしているのだろう。毎日が同じことの繰り返しで,何も変わらないような気がする。これでは仕事が楽しめるはずもなければ自分が育っていくはずもない。しかし,どうすればいいかわからない。
人は自分のことを道具にしか思っていないだろうけど,自分は働いているときが楽しく思える。それに,とても忙しいときなどに仕事がうまく片づくと,以前より成長したなと思います。ということで,学校は別として家では明日の仕事のために体を休めています。労働で力を出せるように。
ただ,人間関係が物と物の関係になっているというのも否定できなくて,店(喫茶店)でレジを打っているとき,お客さんはよくこんな黒い液体(コーヒー)にお金出す気になるなと思うことがある。
私は,人間を物として見ないためには,相手に対する「思いやり」のようなものが必要だと思う。しかし人間の数が多すぎるので一人あたりへの思いやりが少なくなってしまい,それで人を物として見るようなことが起きるのだ。人を物として見ないようにするには,戦争をして人口を適度な数まで減らすことだと思う。(ただ自分は死にたくないですね)
人間は仕事をしている間はずっと機械で,孤独です。決められた仕事さえやっておけば他人に迷惑はかけないし,対立することもありません。何事もなく平和な毎日が送れます。しかし,それでは人間らしい感情も起こらず,自分という存在感もありません。自分にしかできない仕事,頼られているという感情がでてきたとき,人は人間らしさを発揮すると思います。私じゃなくても誰だっていいんだと思うと本当にさみしい。決められた分業をしっかりすることの中で自分らしさを発揮できたらすばらしいと思います。
人間のつながりとはむずかしいものだ。もし人が自主的に事を起こそうとすると,当然“あいつは何をやっているんだ”というのが1人や2人はでてくると思う。
団体生活で考えてみるとよい。高校時代の40人のクラスの中で,僕はどれだけの人とうまくやっていただろう。仲のいい友達が4〜5名,昼休み一緒に遊んだりして,いわゆる話せる奴というのが15〜16名,あと女で話をしていたのは5〜6名,どんなに考えてもクラスの3分の1とは,自分から話をしようとしなかった。クラスで1番積極的な奴(クラスをまとめる奴)に対しても,“あいつはなまいきだ”という奴が1人や2人はいた。だから全員とうまくやっていく人なんて,今の人間にはいないんじゃないかな。
うまくやっていく1つの方法として,仲の良いやつでグループをつくる。そのグループのリーダーが他のグループのリーダーと,どうやってクラスをまとめていくかを話し合えばいいんではないか。クラスの仲の良い友達とつきあうことで人間としての個性をもち,どんなふうにしてこのクラスを良くしていくかということで共同性をもてば,それが人間らしさではないかと思う。
はっきり言って,今日のマルクスの話はむずかしかった。マルクスという人は,高校のときテストに出たりしてたので一応名前だけは知っていたけど,マルクスの考え方というのは初めて聞いた。まぁ,だけどマルクスは26才という若さでよくこんなむずかしいことを考えられたなぁと感心した。
今日までいろんな思想家のいろんな考えを聞いてきたけど,今回が一番理解しやすかった。しかし,今日自分が思ったことは,「人それぞれ」で一人がこれといっても別の人はあれというだろうし,結局,人の考え方は同じでないから「こうだ!」という思想家が何人も出てきたのだろう。
でも,今までの思想家にくらべてマルクスが偉いと思うのは,今まで一人一つの考えだったのが,マルクスは「あれもいいけど,これもいい」と二つも三つも欲張って,それを証明したからだ。それだけでもマルクスはおいしい。
マルクスはすごい人なんだろうけど,今まで人が言ってきたものをまとめた感じ。何でも先に発言するより後から言う方が楽なんだなあと思います。私もまだ中・高生ぐらいの歳だったら,もう一回そのあたりからやりなおしたいとか思うのですけど。(本当はもっと前からがいいけど)
今回はちょっとわかりづらくて,頭の中でうまく整理できていません。せっかくマルクスという有名な思想家の話だったのに残念です。
納得できた部分もあります。それは近代社会では努力よりも結果が重視されているというところです。そう分かっただけでも,だからこそ陰の努力を讃えたいと思える自分になりたい。