2002年
 つぶやき

7/1

◆オヤジの恋
 藤田宜永『愛の領分』(文藝春秋,01年5月)は古本で200円。
 帯に「直木賞受賞作」とあるが駄本だった。
 53才の男が昔の女性(同年)にまた言い寄られ
 さらに39才の女画家ともネンゴロになる。
 交接技法も円熟し,女性の喜悦をさそう。
 バカヤロー,調子よすぎるぞ。
 作者は風貌も「すかしてて」イヤな感じだが
 作品もまったく同様の印象。


7/2

◆管理の拒否
 学科教員内で情報やデータの交換を円滑化するソフト
 「サイボウズ」というグループウェアを導入した。
 その機能のひとつ「回覧板」は既読・未読の状況がつかめて
 それなりに便利である。
 ところが「管理されるのには反対」との声もある。

◆特割
 ひさしぶりに全日空に乗る。
 東京-鹿児島の運賃が特割で2万円。
 JASの介護帰省割引より安いではないか。
 もうバーサンをダシに使う必要もないわけだ。


7/3

◆一橋ナショナリズム
 旧東京商大の寮歌は「自由は死もて守るべし」と繰り返す。
 一橋大の同窓生もこれを符丁に睦み合う。
 かつての学園紛争時も一橋の学内は比較的に和やかだった。
 これは「一橋ナショナリズム」と揶揄されたが
 学外では石を投げあっても学内では議論できた。
 居場所がいっしょなら気持ちもいっしょ。
 ぼくはこの幻想を引きずりながら今にいたっている。
 しかし,一般的にはどこの職場でも派閥づくりが常態らしい。
 オープンな議論より,ひそひそ話が好まれる。
 この職場での議論はただ疲れるだけの消耗戦。
 あらためて一橋ナショナリズムののどかさを懐かしむ。


7/4

◆天候の挨拶
 すれちがうと天候の挨拶をする人がいる。
 「今日は風が強いですねぇ」といった類。
 黙礼でいいのにと思い,かったるかった。
 しかし,言葉を交わすことに意味があるのかもしれない。
 んで昨日,学長に「明後日の祭,雨でしょうかね」というと
 冷たく「わかりません」とあしらわれた。
 学長の方が一枚上手だった。


7/5

◆授業評価
 今学期の「社会思想」について学生の評価は低かった。
 5段階評価で総合点が3.8だ。
 ところが「コメント」欄には誉め言葉も並ぶので
 気分的にはそちらの方を信用したくなる。

 →参考:2002年前期の授業評価


7/6

◆栄養のバランス
 学内の夏祭りでダンゴ・餅・おにぎり・やきそば
 といった炭水化物を過剰に摂取したので
 今日の昼はサラダ食べ放題の焼肉屋へ。


7/7

◆チーズポテト
 日曜の朝,スイスの時計職人のドキュメントをテレビで見る。
 フランスとの国境近くの村で暮らす職人。
 その夕食は,大きなジャガイモにチーズを溶かしてかける。
 あとはハムと赤ワインとパン。
 チーズを溶かす専用のホットプレートが食卓の中心。
 なつかしいな,この料理。
 フランス東部の町ブザンソンで,何度か食べた。
 質素な内容だから極貧層の食事かと思っていたら
 今日のテレビを見ると,ごく普通の家庭料理らしい。

◆赤狩り
 映画館で「マジェスティック」The Majestic を観る。
 ハリウッドのレッドパージという深刻なテーマと
 肉体派の喜劇役者ジム・キャリーの組み合わせ。
 やはり仕上がりはファンタジックなほのぼの人情劇どまり。


7/8

◆侠気
 鹿児島東映は月曜=メンズデイで男一人千円。
 VHS開発物語「陽はまた昇る」を観る。
 松下幸之助を美化しているとの悪評はそのとおり。
 また,主人公の演説が万雷の拍手を得る構図は
 前日観た「マジェスティック」と同型だが
 涙腺の刺激度は邦画の方が上だった。
 目標に向かって人を束ね前進する,その点の苦労ぶりが
 ぼく自身の悩みとシンクロしたせいだろう。
 集団作業をうっとうしがる職場の空気,変えたいね。


7/9

◆夏向きの靴
 素足で履けて通気性のよい靴を探していたが
 どうやらそれはウォーターシューズというカテゴリーで
 このところ流行中のものらしい。
 繁華街の靴屋をまわり,Adidas Climacool を購入。
 オモチャっぽい外観で1万3900円!
 「ヒヤー,かっこいー,抜群ですねー」と
 店員(オニーサン)の勧め上手にのせられた。

 [翌日(10日),本屋で立ち読みしたカタログ雑誌は
  靴特集のトップにこの靴を一頁大で掲載。
  しかし,じっさいの履き心地は月星シューズ並み。
  けっこうジトーっとした空気が足指を包む。]


7/10

◆遇・不遇
 NHK教育で「失敗学」についての対談番組をみる。
 宇宙開発事業団総裁は見かけよりも賢い人だった。
 その話を聞いていると,世の中はちゃんとできてると思う。
 それなりの人がそれなりのポジションについている。
 ふだん感じる世の中の理不尽さは自分の不遇感とセットだが
 わが身を不遇と思う方が理に合わないのかもしれない。


7/11

◆鬱から躁へ
 ふだん暗そうにしている人が元気に声をかけてくる。
 元気がよくてけっこう,というわけでもなさそうだ。
 うわさによれば入院が近いらしい。
 躁への転化はその予兆だと。


7/12

◆ばね指の治療
 左手薬指・中指の屈伸時に感ずる不快は
 春からのもので,とくに変化はないが
 ふと思い立って,近くの整形外科へ行く。
 医者は注射をし,1週間後にまた様子を見たいという。
 たしかに注射だけでは症状の解消につながらず。
 手術しても20分程度の軽微なものというが
 万一失敗して指が曲がらなくなったら困る。
 現状の「不快感」ががまんできる間は見合わせたい。


7/13

◆経済学の教科書
 『人口減少社会の設計』(中公新書,02年6月)は
 経済学の教科書に使いたいような良書だ!
 少子高齢化にまつわる謬論俗説を「経済学」で斬りつつ
 経済学を学べば地方での生活が楽しくなると教える。
 経済学の勉強は生きる力につながる。
 著者:松谷明彦はもと大蔵省の主計官だった。
 鋭い批判力と表現力を備えた人を大蔵省は抱えていたわけだ。
 あなどれないと思う。

◆韓国B級映画
 県の国際交流プラザで「韓国映画を楽しむ会」。
 7月の上映は「ヘアドレッサー」(1995)。
 B級映画ばかりですよ,のうわさどおりだったが
 むしろ,そういう映画はなかなか観る機会がない。
 凡庸で通俗的な作品を勉強のつもりで観る。


7/14

◆喫茶店
 ここ数年,一人で喫茶店に入ったことがない。
 一人お茶を飲んで時間を過ごす気分になれない。
 旅先でも,どこかに入ろうとすると決まって食堂系列。
 街の大型書店で本を買ったあと
 喫茶店に入って本を眺めてもよさそうなのに
 なぜかラーメン屋とかに入ってしまう。

◆STAR WARS
 映画館で「エピソード2:Attack of the Clones」を観る。
 こういうのは大型スクリーンでなきゃ,ね。


7/15

◆台風接近
 上陸間近ということで2時限目から休講。
 学生は帰宅を促されている。
 嵐が近づくと心も騒ぐ。

◆「初恋のきた道」
 研究室のパソコンでDVDビデオを鑑賞する。
 原題「我的父親母親」(1999年,中国)だ。
 部屋を暗くして,一人で眺め,涙する。
 台風は海上を素通りしつつあるが
 学内には警備員さん以外に人影なし。


7/16

◆畳のカビ
 畳の上,一面に黒いほこり……と思ったら
 それはカビだった。
 庭の雑草も生い茂り,ヤブ蚊が飛び回る。


7/17

◆会議
 結論は見えているのに,いちおう全員の消耗が必要。
 それぞれがエネルギーを出し切らないとダメらしい。
 かつては会議の場で大半の人は居眠りをしていたが
 このごろは眠気覚ましに発言する者が多い。
 自分の頭に浮かぶ言葉をそのまま垂れ流すので
 おつきあいをさせられる側にとっては大迷惑。


7/18

◆父親の真価
 娘がどうしても大学をやめたいらしい。
 やめてどうする?についての娘の考えはいかにも浅慮。
 とはいえ,とめてどうなるものでもない。
 自分で決断して自己責任で行動するようになること
 これが子育ての目標だったと思えば
 父親としては深くうなずくしかなかろう。


7/19

◆跳び箱
 跳び箱が跳べて喜ぶ小学生の姿をテレビでみる。
 ひとつ新しいことができるようになった喜び。
 大学だって,学ぶ喜び,習得の手応えを与えたい。
 跳び箱といえば向山という有名教師が小学校にはいたが
 大学での教育実践は具体的な成功例をほとんど聞かない。
 個別の「成功」は個人の財産として抱え込まれるからだ。
 大学教員のたこつぼ化は研究面ばかりではない。


7/20

◆人の話を聞く修行
 21世紀の鹿児島市改造プランを語る会に出る。
 誰に頼まれたわけでもなく「一般市民」としての参加だ。
 要するに「しゃべりたがりの有閑老人」の一人。
 いつも感心するのだが座長は「仕切り」がうまい。
 老人たちの長広舌をさえぎらず,最後まで語らせ
 それでいて,会議を約2時間の枠内で終わらせる。
 座長は元JC会長というが,老人のあしらいが実にうまい。
 ぼくよりはるかに年少ながら,この座長に学びたい。
 人に存分に語らせて,最後はちゃんと落としどころへ導く。


7/21

◆本の二度買い
 暑気払いの飲み会のため街に出た。
 少し時間があったので本屋で文庫本を2冊買う。
 深夜,自宅で本を開けば,1冊は数週間前に読んだ本。
 随筆ゆえ2時間もあれば読了できるが
 読んだことすら忘れるほど中身も軽い本だ。
 なんて強がりを言っちゃいけない。
 要するにボケが進んでいるだけ。


7/22

◆夏祭り
 花火大会の音が聞こえてくるが,ひとり家にいる。
 盆踊りの太鼓の音に誘われ子連れで出歩いたのも昔。
 今は一人,扇風機の首振りを目で追う。


7/23

◆かい〜の
 頭がかゆくて朝5時に目を覚ました。
 シャワーを浴び,シャンプーをして再び就床。
 シャワーで副交感神経を刺激されたはずだし
 いろいろ思い悩むこともあるのに,なぜかすぐに入眠。


7/24

◆黒消し
 Roy Stuartの写真集(Taschen, 2001)を入手した。
 浜松町の大型書店で見かけ,生協に注文したもの。
 ところが,本を開いてびっくり。
 あちこち「怪しい部分」が黒マジックで消されている。
 今でもまだこういう処置が続いているんだね。


7/25

◆山国体質?
 俳人の金子兜太 vs. いとうせいこうの対談集を読む。
 古本屋で買った『他流試合』(新潮社,01年4月)という本。

  兜太:私自身は,根は非常に真面目なくせにいいかげん。
  せいこう:山国体質なんじゃないですか。
    一所懸命やるけど,他人にだめって言われたら,
    もういいやって言って,次のところへ行っちゃう。

 あれ? んなら,ぼくも山国体質?


7/26

◆木の枝
 玄関先の木の枝が伸び,表の道路にはみ出していた。
 昨夜の台風で枝が折れ,もう通行人に迷惑をかけることもない。
 しかし,なぜだか折れた枝はすべて玄関先に落ちている。


7/27

◆BOZE
 教育目的のためのPC用スピーカーを購入した。
 画面を液晶プロジェクタで投影し,音も大きく出したい。
 最初のセッティングで音が出ず,返品したところ
 メーカーから「異常なし」として送り返されてきた。
 じつはコードの差し方が間違っていたのだ。(単純ミス)
 音が出ると,周囲の教員から感嘆の声。
 小さいのに音が良い,という狙いどおりの反応。
 ミーハーながらBOZEを指定したぼくの鼻も高い。


7/28

◆ウィスキー
 少し胃が痛む。
 ときおり胸も塞いで息苦しい。
 2年前ソウルの空港で買ったオールドパーの口を開ける。
 何かの時のために買ったもので,今がその時。


7/29

◆サバ缶
 夜の半額セールでご飯とサラダを買って帰る。
 家にはサバの味噌煮の缶詰があるのだ。
 台所で開けた缶詰を運ぶ途中,廊下に落とす。
 畳の上じゃなかったのは不幸中の幸いだが
 いまでも家中にサバのにおいが漂う。


7/30

◆スタンド・アローン
 帰宅してもパソコンのスイッチを入れるが
 モデムが壊れているのでインターネットにはつながらぬ。
 「ちょっとした仕事」ならできると思えども
 パソコンの前に座ることもなく,無為のまま就寝時にOFF。


7/31

◆弁当
 学食も夏休みモードに入ったため
 スーパーの弁当で昼食・夕食をすませている。
 体に悪いような気もする。


過去の記事:
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2001年---------10-11-12月
2000年---------10-11-12月
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1998年

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