2007年
 つぶやき

2/1
◆予想外
 このごろ,ときどき左手の指先が切れる。
 それはきまって台所で食器を洗った後なので
 スポンジに含まれる金属片のせいだろうと思った。
 ところが,これがヒビ・アカギレなるものだと知る。
 かねてより名前だけは聞いていたが
 それが我が身に生じるとは!

2/2
◆東京蕎麦
 西の郊外(松元町)にある温泉に行こうと思い立つ。
 その近所には,ちょっと評判の蕎麦屋もある。
 店の名前「東京蕎麦・多久馬」は恥ずかしいが
 関東風の味を楽しんでもみたかった。
 評判どおり,田舎にしてはおしゃれな店。
 しかし,味はやはり鹿児島風に甘ったるい。
 悪いことは重なるもんで,財布にキャッシュカードがなく
 そばの代金8百円を払えば,もう風呂代もない。
 風呂には入れず,30分の道のりをむなしく引き返す。

2/3
◆ご高説
 うちでは教員どうし,ろくに挨拶もしない。
 せめて黙礼ぐらいは交わすだろう,ふつう。
 新任の若手の方がきちんと挨拶しあってるぞ。
 いい年こいた教員が,世間知を欠いたまま
 教養教育の重要性を語る,その奇妙さ。

2/4
◆お前が言うな
 うちの学校の「将来構想委員会」の一員である。
 末席に座っているだけでいいのに
 回りのそうした期待を裏切って発言したりする。
 しかも,自分としては重要発言をしているつもり。
 みんなが気づかぬ大事な点を言っているつもり。
 つまり「ご高説を垂れていた」のだ。
 冷たい空気の意味を悟ったのは,二晩ほど経ってから。

2/5
◆プロバイダ
 娘が「メールが使えない」とPCの不具合を訴える。
 調べてみると,今月1日よりメールの認証方法が変わっていた。
 おまけにプロバイダの経営母体も変わっている。
 その昔,最初に契約したときはATTだった。
 それが途中から SpinNet に変わり,今はソフトバンク。
 メールのアドレス(***@att)は同じままなので
 何も気づかずにいたが,背後じゃ大きな変化があったのね。

 [ATTは海外ローミングの安さが売り。120分/月まで無料。
  今でもぼくは海外旅行中のときだけ利用してます。]


2/6
◆朝のテレビ
 テレビを見ながら朝食,というのが最近の習慣だ。
 いま住んでる団地の部屋は狭いので
 ベッドと食卓とテレビが同じ部屋にある。
 すべてが一部屋で済むのが便利なところ。
 それにしても,ワイドショーはどの局も暑苦しいね,朝から。

2/7
◆老いのモデル
 このごろちょっといい映画を2本観た。
 "Little Miss Sunshine"(2006,US)
 "The World's Fastest Indian"(2005,NZ)
 どちらからも「正しい」老いの姿が学べる。
 自分の気持ちをストレートに出せば
 下品にも見られ,うざったくも思われる。
 が,それでいいのだ,という映画である。
 よ〜し,ぼくもますます顰蹙を買うぞ〜。
 と,胸を張りながら深夜の道を歩く。

2/8
◆異国趣味の変化
 フィリピンやベトナムなどのトヨタ工場について
 現地調査した学生たちの報告を聞く。
 まだ見ぬアジアの国々に,ぼくも行ってみたいと思う。
 同じ日に,米映画「マリー・アントワネット」を観たが
 フランスには特別行きたいという感情はわかず。

2/9
◆韜晦(とうかい)でもなく
 卒業をひかえたゼミ生とのお食事会は豚しゃぶ。
 2時間,食べ放題なので,みな必死でパクつく。
 とぎれとぎれに会話もするのだが
 そもそもぼくの話をきちんと聞く者はいない。
 対面に座った学生のみ「お愛想」で質問してくれた。
 「先生も研究とかするんですか?」
 「先生はフランス語をしゃべれるんですか?」
 いずれの質問にも否定形で答えた。
 それで学生が納得したのもさびしいが
 答がじっさい正解に近いのもさびしい。
 顔には出さず,心で泣いた。

2/10
◆スキルの伝達
 日本の場合,スポーツ指導に「コーチ学がない」という。
 あるのは「体験談を中心としたコーチ術」だけだそうだ。
 基礎トレーニングから試合の戦術まで
 一貫して体系化された指導方法がない。
 あれれ,これはぼくがやってる「教育」の姿じゃないか。
 世の中を「おもしろく眺める」こと
 そういう「ものの見方」を教えたいのに
 それがいままで成功しなかった原因はこれだね。

2/11
◆無自覚的セクハラ
 授業評価アンケートの答のなかに,気になるものがある。
 今年の分にも「下ネタはやめてほしい」というのがある。
 数年前にも「例え話がエロすぎる」と書かれた。
 夜間部のゼミ生たちと飲む機会があったので,質問してみた。
 どういう話がエロいのか? (ぼくには自覚がない)
 ゼミの学生はこう教えてくれた。
 「先生は生殖とかセックスとか,平気でいうから」だと。
 一方に,自分の性体験をあけすけに語る学生もいる。
 →(2004年5月26日のつぶやき:「愛の新世界」)
 他方には,「セックス」と聞いただけで硬直する学生もいる。

2/12
◆善意
 店主は善良そうだが客の入らぬラーメン屋に行く。
 店主の動きや段取りの悪さをガマンする。
 時間がかかってもイライラしてはいけない。
 障害者とおつきあいするのと同じ要領?
 なんて風に考える時点で「善意の人」失格。
 ほんとうに優しい人間ならそもそも急がない。
 ゆったりとした時間の流れに自らもたゆたう。
 これがむずかしい。

2/13
◆ショコラ
 NHKでチョコレート特集の番組を観た。
 チョコレートのおいしさをフランス人が語る。
 カカオ入りの肉料理を食べたオヤジは
 ちょっと下品に笑って"Orgasmique"という。
 字幕には「天にも昇るような気分」と出る。
 芸術関係者のシャンペン・パーティーは
 チョコレートだけがおつまみである。
 出席者のひとりがチョコの効用を弁ずる。
 「恋愛と同じ幸福感・高揚感が得られる」んだと。
 ん〜,何だか説得されて,食べたくなったよ。
 冷蔵庫にしまっておいた板チョコをしみじみと食す。

2/14
◆遠隔指導
 家族宅の無線LANが不調だという。
 奥さんと娘が困っている。
 電話で解決策(と思われるもの)を伝えるが
 さっぱりラチがあかない。
 奥さんはその昔SONYのショールームで働いていたので
 電気製品の扱いが不得手ではない。
 にもかかわらず問題が解決しないのは
 原因がより深いところにあるのかもしれぬ。
 ぼくは遠くでヤキモキするばかり。

 [後記:奥さんが自力で解決したとのこと。さすがだね。]


2/15
◆インドはちょっと
 異文化紹介マンガをいくつか持っている。
 高橋由佳利『トルコで私も考えた』1〜3(集英社)
 小越なつえ『それいけ!パキスタン通い妻』(小学館)
 流水りんこ『インドな日々』1〜3(朝日ソノラマ)
 トルコには新しい興味をかきたてられたし
 パキスタンはインドネシアと類似点が多いとわかった。
 しかし,インドは不潔・不衛生のきわみで,引くな〜。
 さすがのぼくでもちょっとね。

2/16
◆ウェイト
 いかん,胴回りがタプタプしてきた。
 先週から暴食が続いたからな〜。
 豚しゃぶ食べ放題が2回。
 そして,ご飯類は食べ放題のランチが1回。
 さらに,普通の飲み会1回,フレンチ1回。
 昔は食べても食べても太らなかったのに
 このごろは,食べた分だけ体重が増える。

2/17
◆地域情報化
 丸田一『ウェブが創る新しい郷土』(講談社新書,2007)は
 いろいろなヒントを与えてくれる良い本だ。
 読みづらいし具体例もインパクト不足なのが良い。
 たとえ読んでもインスパイアされる人は少なかろう。
 だから,地域活性化のヒントをひそかに我がものにできる。

2/18
◆胃痛
 上京の便を待って鹿児島空港で昼食をとる。
 そのとき胃のあたりがチクチク痛んだ。
 この手の痛みを覚えるはすごく久しぶり。
 ストレスともほとんど無縁に暮らしているので
 かえって心配になる。

2/19
◆老犬
 わが家の犬もかなりヨボヨボになってきた。
 散歩中,よその犬と出会っても,もう吠えたりしない。
 その老成ぶり,その穏やかさが悲しい。

2/20
◆韓食
 バーサンをデイケアに送り出せば,家には誰もいない。
 冷蔵庫に自家製のキムチがあるけど
 ほかにめぼしい食材はない。
 冷やご飯だけはたっぷり残っている。
 はた,と閃いて,レトルトを買いに走る。
 ソルロンタンをご飯にかけてガシガシ食べた。

2/21
◆グループワーク
 4月から1年間,学科長をつとめねばならない。
 学科から,談論風発の趣が消え失せて久しく
 教育の理念を語り合うなんて,もはや至難の業だ。
 逆に,ルーティンワークをこなしていれば文句は出ない。
 これは楽なようで実はむずかしい。
 そつなくこなす,ってのが個人的には難行。

2/22
◆おねだり
 うちの奥さんは2年前から花粉症で悩む。
 奥さんは同僚から空気清浄機が効くと聞き
 どうしても買いたいとねだる。
 こうしてまたひとつ怪しい機械が家の中に増える。

2/23
◆彫り物
 鹿児島にもどり,どしゃ降りの雨の中,銭湯に行く。
 りっぱな入れ墨の若者と出会う。
 こいつが年取ったらどうなるんだろう。
 「母の名はおやじの腕にしなびて居」
 なんて古川柳を思い出す。

2/24
◆仰げば尊し
 近々転出する同僚が送別会で語った。
 卒業生にいかに慕われているか,という話だ。
 う〜む,それが教育の成果ならぼくは零点。

2/25
◆風呂場の怪
 浴槽の水は抜いているのに,底はいつも濡れている。
 ぼくはもっぱら銭湯に通い,内湯は使わない。
 水道の蛇口はきちんと閉まってる。
 天井から水が落ちてくるのでもない。
 この家は,ときどき廊下にも水たまりができる。
 これも原因不明だ。

2/26
◆未体験ゾーン
 来月末,大阪に行くついでに「吉本」を楽しみたい。
 2年前,なんば花月に行ったが当日券はなかった。
 かなり早くから予約しないと買えないらしい。
 今度は1ヶ月前からのネット予約で確保。
 花月のサイトではダメだったが
 チケットぴあのサイトでなんとか買えた。
 出演者はザ・ぼんちとかコメディーNo.1などだから
 老人の団体客で席がいっぱいになるのかも。

2/27
◆ Calling
 それはお前の仕事ではない,という声が
 夜,頭の中に響いた。
 「それ」とは商店街活性化やコミュニティビジネスをさす。
 ここ数年,ゼミのテーマにまでして楽しんできたし
 田舎の大学にふさわしい取り組みだとも思ってきた。
 しかし,それはぼくでなきゃできない仕事ではない。
 また,自分にとっての楽しさも逓減傾向にある。
 もともと世間からの要請もないので,潮時かな。

2/28
◆着地姿勢
 昔の研究仲間(山崎耕一君)から本が送られてきた。
 『啓蒙運動とフランス革命』(刀水書房,2007)
 山崎君はしばらく武蔵大学で働き,一橋大に戻った。
 「業績を形あるものにまとめなければ」という雰囲気が
 いまの一橋大にはあるのだという。
 彼が師事した古賀英三郎先生,津田内匠先生は
 いずれもあまり「形」を残していないので
 昔とは空気そのものが大きく変わったようだ。

過去の記事
1998年
1999年
2000年---------10-11-12
2001年---------10-11-12
2002年---------10-11-12
2003年---------10-11-12
2004年---------10-11-12
2005年---------10-11-12
2006年---------10-11-12
2007年

Back to Home