2005年
 つぶやき

7/1
◆合宿
 商経学科の教員と1年生全員で合宿をした。
 これまでは入学早々の4月に実施していた行事だ。
 今回の合宿では、学生のゼミ選択に役立つよう
 教員が各自の「売り」をアピールした。
 斉藤ゼミは脱力系で、「ゆるさ」が味わい、と宣伝。
 この逆説的な物言いは多分きちんと伝わらず
 文字どおり「ゆるい」学生ばかりが集まるかもね。

7/2
◆ War of the Worlds
 毎月1日は映画の日で、千円均一。
 そのことにハタと気がつき、チャリで街に出る。
 駅ビルのなかの映画館で「宇宙戦争」を観た。
 前半はドキドキしたが、だんだん力が抜ける。
 親子のきずな回復の物語だというのに
 子どもたちが少しもめんこくないからだ。
 パニクるたびにギャーギャー騒ぐ娘には
 ぼくが親なら頭でもドツイたろか、と思うほど。

7/3
◆大作もの
 このごろよく映画館に行ってる。
 "Batman Begins"も"Star Wars Episode 3"も観た。
 どれも「大味の」大活劇ばかりだね。
 CGに慣れてきたせいか、眠気すら催す。
 一昔前なら、どのシーンにも驚かされただろうに。

7/4
◆授業満足度
 学期末が近く、恒例の授業評価アンケートを実施。
 こういう日はお客様=学生に愛想よくすべし
 と思いながら、普段になく「切れて」しまった。
 なぜかいつも以上に私語が多かったので
 誰も聞かない授業なら、と早めに切り上げた。
 ところが、提出させたペーパーを読むと
 マイクが入ってないとか、先生の声が聞こえないとか
 明らかに教員側にも問題があったことがわかる。
 たしかにマイクの使い方は下手だが
 かつて教室に拡声装置がなかった時代には
 ぼくの声はむしろよく聞こえると言われたものだ。

7/5
◆潔癖
 ぼくの「現代社会論」についての授業評価
 つぎのような感想を書いた学生がいる。
 「ときどき下品で耳をふさぎたくなるけど内容はおもしろいです」
 耳をふさぎたくなるほど下品な話とはどんな話なのか。
 (そんな話なら、ぼくも聞いてみたい)
 似たような意見は6月21日の「つぶやき」で紹介したが
 これらの意見の主は同一人物のような気がする。

7/6
◆赤信号
 車で夜道を帰るとき赤信号を無視しかけた。
 前を走るバスに隠れて、よく見えなかったのだ。
 なんて言い訳はしちゃいけない。
 横断歩道にいたオジサンににらまれた。
 しかしな〜、オジサン、信号機を信用するのも危険だぞ
 と思いつつ黙礼。

7/7
◆弁当屋
 学校近くの「ほっかほっか弁当」の店が消えた。
 国道3号線沿いの店で大繁盛だったのに
 フランチャイズ料か何かでもめたのか。
 最近、近くに無名の(!)弁当屋ができた。
 働いているのはかつての「ほか弁」の従業員だ。
 チェーンを離れて食材を調達しているためか
 弁当は外見にも味にも「素人」っぽさが漂う。
 バス停の前なのに(あるいは、そのせいで)客は少ない。
 経営も危ういと予感させるが、がんばってほしい。

7/8
◆福祉館
 公民館とどう違うのか知らないが
 うちの近所に福祉館なる施設がある。
 市の広報によればそこでも料理教室をやってる。
 今まで足を踏み入れたことのない建物に
 ついフラフラと立ち寄り、窓口で相談してみた。
 受付のオジサンは料理の先生に電話をかけ
 ぼくに受話器を渡して、自分で聞けという。
 引っ込みのつかない状況に陥る。
 しかも先生から開口一番「まあ、うれしい」と叫ばれ
 たちまち来週から教室に通うことが決まる。
 生徒は現在6名だそうです。

7/9
◆雑本
 うちの学校の図書館内をうろついては本を借りる。
 おかげで自分では買わなさそうな本を読んでいる。
 近頃評判の『電車男』も読んだ。
 1時間で読めるが、少し感動したりして自分でも驚く。
 また、図書館では思いがけず良い本にも出会う。
 『戦争が遺したもの』(04年、新曜社)では
 鶴見俊輔の含蓄のある思い出話が楽しめる。
 座談の相手である上野千鶴子の人柄の悪さや
 小熊英二の要領の良さも印象に残る。

7/10
◆ FileMaker Pro 7
 PCソフト「ファイルメーカー」ユーザーの集いに出る。
 場所は県民交流センター内の研修室だ。
 鹿児島や宮崎から30人ほどの人が集まる。
 ぼくは初歩的な質問を三つほど抱えて参加。
 ところが専門的な質問が先行し、出鼻をくじかれる。
 けっきょく黙りこんで退屈な時間を過ごす。
 閉会後、いかにも詳しげな人に近づき、尋ねてみた。
 ぼくの疑問はいずれも解消しなかったので
 なんだ、ぼくだけじゃないじゃん、と安心する。

7/11
◆レンタルDVD
 鹿児島では390円が標準価格であるが
 近所の店は昨日100円というサービスを実施。
 それで数年ぶりに利用する気になった。
 5枚借りて、鹿児島の「都会化」を実感する。
 仏映画「女はみんな生きている」("Chaos", 2001) を
 観ることができ、ちょっとうれしい。

7/12
◆茶碗屋
 重宝してきたラーメン丼が割れた。
 わが家で大きい器はそれ一個だったので困る。
 鹿児島駅近くに瀬戸物屋があったことを思い出す。
 客を遠ざけるような古ぼけた構えの店だ。
 やや暗い店内に勇を鼓して入る。
 ラーメン丼を探している、というと
 店主:「かけらをお持ちなら探せます」
 中華料理屋への弁償用、との早とちりだが
 どうやら各店の丼をそろえているのが自慢らしい。
 う〜む、ここは隠れた名店だったのだろうか?
 大盛り用の丼(800円)を買って帰る。

7/13
◆茶碗屋馬場
 茶碗といえば鹿児島市内に「ちゃんや馬場」がある。
 茶碗屋が「ちゃんや」となまった地名だ。
 と、これはうろ覚えの記憶ゆえ
 インターネットで検索したがヒットしたのは1件のみ。
 ただし、「ちゃんやばば」とは呼ばれていない。
 さらに、在の者(学生や教職員)に尋ねても
 そろって「茶碗屋馬場」など知らぬという。
 学生にいたっては、有名な「ボサド通り」や「いづろ交差点」が
 「菩薩堂」や「石灯籠」のなまりであることも知らぬ。
 これまた鹿児島の都会化を物語る事象か。

[追記:7月15日]
 通勤途中、県立図書館に立ち寄り、古地図で調べたら
 ちゃわんや馬場は、何と、うちの近所だった!
 ネット検索してここを見ている人のために
 少し詳しくいうと、現在の地名では長田町22番地あたり。
 長田神社下の路地だ。
 南風病院前の裏通りといった方がわかりやすいか。

 [後記:地元における茶碗屋馬場の読み方=ちゃんやんばあ]


7/14
◆荒れる料理教室
 近所の福祉館での料理教室に出る。
 2階に1テーブルだけの小さな調理室があった。
 ジーサンばかり男6名が生徒だ。
 献立の柱は豚冷しゃぶで、かなり簡単。
 ところが先生は材料=豚肉を自宅に忘れてきた。
 先生、あわててタクシーで取りに帰る。
 その間われわれは無政府的に作業を進める。
 炊飯器のスイッチを入れたオヤジは
 ただ「保温」のボタンを押しただけだった。
 最後には大騒ぎが待っていた。

7/15
◆閉店
 先月号のタウン情報誌で紹介されていた店へ行く。
 繁華街のなかにある「人気の」中華料理屋
 龍華樓(りゅうかろう)のランチがお目当てだ。
 店は探し当てたが、入口は固く閉ざされていた。
 倒産したらしく、店舗差し押さえの形。
 情報誌に載ったのは最後のあがきだったのか。

7/16
◆炭化
 干し椎茸と昆布を水に入れて煮る。
 公民館での料理教室で学んだ「煮出し法」。
 昆布を途中で取り出さず、そのまま煮続ける方法。
 この方法で夜のうちに出汁をつくっておこうと考えた。
 火にかけたまま放置してテレビを観る。
 1時間後に気づき、あわてて火をとめた。
 中身はすっかり炭化し、鍋そのものも真っ黒。

7/17
◆おはら節
 中国は南京農大から短期研修生10名が来たので
 学食にて歓迎会が催された。
 うちの学生たちが浴衣を着て踊りを披露した。
 おかげでぼくも初めて「おはら節」の踊り方を知る。
 福岡の炭坑節をさらに単純化した感じ。
 覚えるのは簡単だが、頭の悪そうな踊りである。
 鹿児島のビッグイベント「おはら祭」では
 数万人がこの動作を緩慢にくりかえすのだろうか。
 じつは祭もじっくり見物したことがない。
 踊り方がこれだと、いささかゾッとさせられるね。

7/18
◆「マラソン」
 泣かせると評判の韓国映画を観に行った。
 近所の神社がお祭りで、夕方から騒々しく
 そこから避難するためでもあった。
 映画は、自閉症の青年とその母親の物語だが
 泣かせどころや笑わせどころのツボがずれる。
 だから、比較文化論的にはちょっとおもしろい。

7/19
◆FD
 世間では休日だが学内でのお勉強会に出る。
 このごろ諸大学で流行のFD= Faculty Development。
 大学教員も授業技術改善に努めなければならない。
 しかし、数年前ぼくが呼びかけたころと変わらず
 いまも先生方はなかなかFDに寄りつかぬ。
 ボランタリーな勉強会だとこんなもの。

7/20
◆まいう〜
 鹿児島の中華の老舗「美華園」に行く。
 テレビ番組「でぶや」御一行様来訪と貼り紙があり
 出演者たちの色紙が飾ってあった。
 グルメ番組に取材されての歓喜ぶりが伝わる。
 しかし、その分だけ店が安っぽくなった。
 老舗の矜恃、保つべし。

7/21
◆繕い物
 南京農大の学生をつれて県知事に会いに行く。
 というんで、普通っぽいズボンを奥から引っぱりだした。
 ところが裾の糸がほつれて、ヘロヘロになってる。
 あわてて朝、下半身をさらし、応急処置の針仕事。
 すーすーすー[福岡弁で「スースーする」の意]

7/22
◆配所の月
 鹿児島で一番立派な建物は県庁である。
 中で働く職員たちもちょっと胸を張っている。
 うちの学校の事務●長は、ふだん影が薄いが
 一緒に県庁に行けば、彼は生気あふれる姿を見せた。
 自分の本当の居場所はここ、という趣。

7/23
◆佐賀に行く
 九州新幹線を初めて利用した。
 佐賀大学での学会に出るためである。
 二度寝したおかげで8時半に起床し、あわてる。
 8時45分発に乗る予定だったからね。

7/24
◆まるで異邦人
 学会の後、その日のうちに鹿児島に帰る手もあった。
 しかし、高校まで過ごした故郷を眺めてみたくて
 久留米のホテルに泊まることにした。
 夜9時過ぎ、JR久留米駅に降りたち
 繁華街へ向かうバスに乗った(つもりだった)。
 行き先表示に「西鉄久留米」の文字があったからだが
 じつは「西鉄久留米→佐賀」と書いてあったらしい。
 バスは街に背を向け、ひたすら暗闇を走る。
 大回りの循環バスかな、と思って乗り続け
 15分ほどたって、ようやく誤解に気づく。
 あわてて降りたが、車などめったに通らぬ田舎道。
 おぼろ月の下、周囲の田んぼで蛙たちが鳴く。

7/25
◆スモール・タウン
 生まれ育った町(八女市)に行ってみた。
 20年ぶりに見る町の荒廃ぶりに涙した。
 開いている商店は少なく、通行人の姿もまれだ。
 昔ぼくたち家族が住んでいた長屋は
 今見ると驚くほど小さく、屋根も低い。
 また、町そのものまで縮んでしまったようだ。
 町をざっと一巡りしたが、要した時間は30分ほど。
 こんなにちっぽけな町だったのか!

◆墓参り?
 これも出来心というべきか、父の墓に行く。
 JRの駅(羽犬塚)に向かうバスを途中下車。
 炎天下のあぜ道をうねうねと歩く。
 納骨に来たとき(これが20年前)以来だ。
 合掌はせず、墓石に手を触れただけ。
 木陰でしばし風に吹かれる。


7/26
◆放置と過干渉の間で
 ゼミ学生たちに、新しいイベントづくりを励ます。
 学生らはうなずきながら、動きが遅い。
 ヤキモキして、ぼく自ら少し動いたりする。
 いや、それじゃいかん、と振り返れば
 学生は教員の動きに期待している様子。
 ぼくは適正な距離のとり方がつかめず
 進むもならず退くもならず、立ち往生。

7/27
◆ハッチオープナー
 愛車(スズキ・ツイン)は2人乗りの軽である。
 運転席から後部ガラスに手が届くほど小さい。
 このガラスハッチを内側から開ける装置を自作した。
 改造愛好者のWebページを参考に、約1時間の作業。
 材料は100円ショップで買ったスチールワイヤと
 もらいもののキーホルダー(招き猫)のみ。
 [→右の画像をクリックすると全体像]

7/28
◆荒野に叫ぶ
 看護専門学校での非常勤の授業が終わった。
 生徒たちは教室に閉じこめられ
 受講を強いられて、心ここにあらず。
 ぼくの言葉は彼らの頭上を素通りしていく。
 成人式で記念講演をする「文化人」が
 聴衆に向かって、ときどき怒ったりするが
 ぼくも似たような空しさを味わうことができた。

7/29
◆内紛の種
 イベントづくりについて、ゼミ外の学生にも語ってしまった。
 すると、ぜひ参加したいとの反応。
 ところが、ゼミ生の数人はその学生の参加を喜ばぬ。
 そりが合わない、ということらしい。
 今からこれじゃ先が思いやられる。

7/30
◆プラプラ
 レンタルDVDで「サイドウェイ」Sideways を観る。
 2004年のアカデミー賞(脚色賞)受賞作だが
 期待した度合いからすれば満足度は半分。
 いまちょっと心に残るのは裸のオヤジが走るシーン。
 性交渉の最中に闖入してきた男を追って
 小太りの亭主が公道を全裸で走る。
 ポコチンも揺れる。
 その揺れ方がせつない。

7/31
◆豪雨
 郊外の温泉に行こうと国道3号線を北上した。
 途中からものすごい雨でワイパーも効かぬ。
 左側の川(甲突川)の濁流も恐ろしい。
 なにしろ93年の大水害もこんな雨から始まった。
 来なきゃよかったと後悔しつつノロノロ走る。

過去の記事
1998年
1999年
2000年---------10-11-12
2001年---------10-11-12
2002年---------10-11-12
2003年---------10-11-12
2004年---------10-11-12
2005年-----

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